インデックスファンドの「欠点」について
2022年9月16日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
世の中に完璧なモノなど存在しません。
インデックスファンドにも(もちろん)『欠点』はあります。
ここでは株式インデックスファンドを想定しますが、端的に言って、インデックスファンドは『軍需産業』も応援します。
これはインデックス投資の宿命です。
兵器全般は
主権を有する国々が、
その国土の自衛・防衛のために用いられる面があります。
しかし、
最終的にはヒトを殺戮する(またはそれを手助けする)ことが可能な道具です。
現在、
米国が世界最大の軍事国であるため、
巨大な軍需企業も米国を中心に存在します。
以下、あくまで一例です。
Lockheed Martin
Northrop Grumman
という『会社』を、
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)も、
ニッセイ外国株式インデックスファンドも、
たわらノーロード 先進国株式も、
S&P500指数との連動を目指す
米国株式インデックスファンドも、
みな組み入れています。
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を例に挙げてみましょう。
たしかに↑
ロッキード・マーティンを「286株」組み入れています。
画像元:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
運用報告書(全体版)22年4月25日
『ロッキード・マーティン社の株価推移』
画像元:ブルームバーグ
ロシア・ウクライナ戦争を境に急上昇しています。
いっぽう、↑
ノースロップ・グラマンは「181株」を組み入れています。
画像元:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
運用報告書(全体版)22年4月25日
『ノースロップ・グラマン社の株価推移』
画像元:ブルームバーグ
ちなみに
ロッキード・マーティン社は
最新鋭ステルス戦闘機F35の製造で有名です。
ロシア・ウクライナ戦争が始まって以来、
世界の地政学的な緊張が一挙に高まりました。
実際、多くの国で『軍事費』を積み増ししているわけです。
これから(どんどん)売られていくわけです。
戦争という悲劇が起こって、
ウクライナ支援のために「寄付」をするあなたと、
インデックスファンドを通じて
軍需産業の株式を保有し、
しかもそれらの株価が上昇して、
ファンドの成績に貢献していると認知するあなたが「共存」してしまう・・。
なんとも複雑です。
そしてもちろん、
インデックスファンドは
アルコール、タバコ関連の会社にも投資します。
あるいは不祥事を起こして
「あの会社にだけは心情的に投資したくない。」という会社にも、容赦なく投資してしまうのがインデックスファンドです。
これをインデックスファンドの「欠点」というなら、もう立派な欠点です。
血や涙よりも、
効果的な投資実践を優先する側面が「インデックスファンド」にはあるのです。
『市場全体を網羅する。』を標榜するインデックスファンドの投資対象は、清濁が混じり合います。
時に「やるせなさ」が募ってしまうことも(正直)あります。。
『組み入れ国』についても同じでしょう。
例えば、
中国政府による
ウイグル人への人権侵害、弾圧はけしからんことだ。許しがたい。と思いながらも、
『オルカン』は中国株式にも投資を行っています。
『新興国株式インデックスファンド』を保有すれば3割以上が中国株式です。
あるいはインデックスファンドは
倫理的な「善」「悪」で、
銘柄選定や組入れ国の決定をするわけでもありません。
心情的になんか納得できないよなぁ・・というファンド保有者を尻目に、ひたすら「利」と「効率性」を重んじて冷めた目で投資を行う。
清濁入り混じりの投資。
(よく考えてみますと、)毎日生きるということも、清濁が入り混じります・・。
インデックスファンドには一筋縄でいかぬところがあるのです。
カテゴリ:インデックス投資全般