最後の最後、相続で見える景色が異なる「iDeCo」と「つみたてNISA」
2022年9月13日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
まだまだずっと先のことですが・・。
あなたはすでに年老いて
職業上のバッジも返上していて、
リタイア生活を満喫している最中に、ふと思うわけです。
もっと具体的に言いますと、
もしもずっとファンドを持ち続けたままで居たら、
iDeCo、つみたてNISA、
それぞれ最終的に『どのような扱い』になってしまうのでしょうか?
まずiDeCoから。
iDeCoはあくまで『年金制度』ですから、
遅くとも、
〇 年金形式の場合も、74歳中に『給付』の請求をする
もしもこれ(手続き)をしないで、
75歳を迎えてしまうと、
『一時金』の形で
強制的に
「受給」させられます。
(持っているファンドも強制的に売却させられるのです)
まあ「年金制度」ですから、最終は「受け取る」しか選択肢はないわけです。
「えっ、じゃあ、
iDeCoでファンドを積み立てている最中とか、
年金形式でもらっている途中で死んじゃったら?」
ハイ、あなたがもしも死んでしまったら、
ご遺族の方に『死亡一時金』として支払われます。
この「死亡一時金」は
(実は)みなし相続財産となります。
iDeCoの『死亡一時金』には
「500万円×法定相続人の人数」の非課税枠があるため、
例えば企業型DCの「死亡一時金」
勤務先からの「死亡退職金」などを併せた金額が、
上記非課税枠を超えなければ課税されることはありません。
では、つみたてNISAはどうでしょう?
現行制度では、
つみたてNISAの非課税期間は「20年」です。
あなたが死んでしまったら・・?
(※余談になるのですが、
今、NISA制度の「恒久化」が本格的に議論されています。
もしも、の話なのですが、
・NISA制度が恒久化され、
・NISAの非課税期間も『恒久化』が実現すれば、
ヘンな日本語ですが、
つみたてNISA制度でいえば、
あなたがいつ死んでも、
NISAの非課税期間中に亡くなることになります。)
(ハイ、そういうこと。)
元に戻します!
仮にAファンドを保有したまま、
つみたてNISAの非課税期間中にあなたが死んでしまったら?
ファンドはそのまま相続人に『相続』されます。
でも、その、
「相続のされ方」が一種独特なのです。
仮にその時、
Aファンドの評価額が480万円(時価)だったとしましょう。
Aファンドの平均取得元本は300万円で
利益が180万円だったとします。
『ここでは相続人は
あなたのお子さん一人とします。』
上記ケースでは、
あなたのお子さんが
たとえ「つみたてNISA口座」を持っていたとしても、
・・残念。・・
あなたが死んでしまうと
つみたてNISA内の『Aファンド』は、
そのままの状態、つまり時価480万円のまま、あなたの特定口座(課税口座)に移されます。
(そして)そこから、
お子さん(相続人)の
特定口座(課税口座)に「Aファンド」は移されるわけです。
ちょっと複雑?
ここで重要なのは、
お子さんがファンドを相続する際、
相続時のAファンドの時価「480万円」を、
自身の『取得価格』として引き継げる点でしょう。
これこそが、つみたてNISAでファンドを保有してきた利点なのです。
えっ、なんで上記が「利点」と言えるの?
ちょっと別のケースを想起してみましょう。
あなたが、
特定口座(課税口座)で保有してきたファンドを『相続』させるケースです。
Aファンドの評価額が480万円(時価)のときに「相続」が発生。
Aファンドの平均取得元本は300万円でした(利益が180万円)。
お子さん(相続人)がAファンドを引き継ぐと、
お子さん自身の『取得価格』は300万円と見なされるのです。
ちょっと複雑でスミマセン。。
まとめましょう。
「iDeCo」「つみたてNISA」で
ファンドを持ち続けたまま居たら、あるいは途上で死んでしまったら、
つみたてNISAの場合、
ファンドという形態のまま「相続」させることが可能です。
iDeCoの場合、75歳時点でiDeCo資産は現金化され「一時金」受給、もしくは亡くなった場合は「死亡一時金」(みなし相続財産)となります。
両者は最後の最後で、見える景色が違ってくるのです。
カテゴリ:NISA活用法, 確定拠出年金(iDeCo・企業型)