その「リスク許容度」、外部環境の影響を受けていませんか?
2022年9月6日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
投資信託のオモテの顔は?
「プラスの収益」!
多くの人はこちらの顔が気になります。
投資信託のウラの顔は?
「マイナスの収益」。
こちらを直視して初めて、金融商品の『リスク』、
つまりは、
価格変動の「不規則性」を知ることになります。
マーケットが高騰し続ける時って、
株式100%のファンドが脚光を浴びやすいです。
だって上がっているんですから。
その後、
直近のリターンがより高い
「投資対象が(より)狭めの株式100%ファンド」が花形となり、
さらに進むと、
株100%に「レバレッジ」を掛けたファンドが
彗星の如くスターになったりします。
欲望の『三段跳び現象』と呼びます。
なにを隠そう、
2020年の後半から2021年の年末にかけて、
私たちはこの、『欲望の三段跳び現象』を経験したばかりです。
この種の『三段跳び現象』は、
100年前も
150年前も、
あいも変わらず(何度も)何度も繰り返されてきました。
例えば1929年に起こったアメリカの大恐慌では、
『個別株』を
レバレッジを掛けて買っていた人(信用取引)が多数に上り、
―当時は証拠金の10倍の取引が可能だった。―
暴落が起こると資産ゼロではなく、
資産が「マイナス」に陥る人が続出し、
自殺者が多数出てしまったのです。
翻って、
マーケットの「低迷」が長期化したりするとどうでしょう。
株100%のファンドより、
「株式」と「債券」を合わせたバランスファンドがにわかに脚光を浴びたりします。
その後、さらに景気が悪くなると、
『リスク限定型の投資信託』が
これまた彗星のように現れ、スターになったりするのです。
(2010年、2011年などそうでした)
ハイ。
あなたの「リスク許容度」は
『外部環境』に影響を受けるのです。
たとえば2021年、
「S&P500インデックスファンドは、ワタシの意思で選んだもの。」と思っていたものが、
実は『外部環境』の影響で
あなたにそういうチョイスをさせた。
という側面もあるのではないでしょうか。
十分な「リスク耐性」を持っているのに、
債券を含んだバランスファンドを選んでしまう・・。
という事例も発生してしまうのです。
難しいですね・・。
私たち投資家は、「自分はどのくらいのリスクなら許せるのだろう?」と思考する際、自身の内側で持つ、客観的なリスクに対する耐性要因よりも、
マーケット(外部)が織り成す不確実性によって、自分のリスク耐性を計ってしまう傾向があります。
でも、です。
実は『リスクに対する許容度』には
二つの要素があることをぜひとも復習しておくべきでしょう。
もう一つ、違った側面の事例もよろしいでしょうか?
カウンセリングで詳しく投資の経緯などを伺っていると、
人の内側(こころ)でも、
時に『矛盾』が発生したりします。
より高いリターンが期待できるファンドに投資したいという「お気持ち」と、
より価格変動を抑えた投資信託にシフトしたいという「お気持ち」が、ひとつ所に『同居』したりもします。
ホントです。
ここから学べるのは、
最初から、
瞬時に
『最適解』を見つけるって至難の技。ということ。
3~5年の時間軸をイメージすると、
最初に「株式100%のファンド」で保有し、
そのあと(リスク許容度の再認識のすえ、)
「バランスファンド」にしぶしぶ乗り換えるよりは、
そのあと(リスク許容度の再認識のすえ、)
「株式100%のファンド」に乗り換えるかもしれないし、
という『道筋』の作り方のほうが、
気持ちの負担が少ないとわたしは思います。
リスク許容度は、10年、20年の投資生活の中で、何度か変遷するものです。
生真面目になり過ぎずに、
無理のない、
ゆとりを持った
今の時点での「ベターな解」でOKと割り切り、まずは投資をスタートさせましょう。
こんなサイトも見つけましたよ。
『あなたのリスク許容度診断テスト』