毎月のつみたての配分比率を変えて『リ・バランス』しても徒労かも?
2022年9月5日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
人間は不思議な生き物です。
たとえば、
不意打ちのような
本質的な『変化』に遭遇しないと、
普段目にしているモノやカタチについて、
ゼロベースな『?』は、なかなか生まれて来ないものなのです。
た・と・え・ば、
はい、資産ベースで配分のズレを元に戻すことです。
―資産ベースで配分のズレを元に戻すこと。―
運用資産が600万円の横山さんは、
資産ベースのポートフォリオを
「株式:債券 = 60:40」と定めています。
もちろん毎月5万円の『つみたて投資』も行っています。
で、その「比率」は?
えっと、毎月のつみたての『配分比率』のことですか? ハイ。
「株式:債券 = 60:40」ですよ。
そんなある年、株式マーケットが落ち込んでしまいました。
横山さんの成績もマイナスになり、
気付けば、資産ベースのポートフォリオは、
「株式:債券 = 50:50」になってしまっています。
運用資産も500万円に減少・・(悲)
横山さんは取りあえず、
毎月のつみたての配分比率を、
「株式:債券 = 80:20」にしました。
えっ、なんで?
毎月の積み立てで「株式」の割合を増やしたのです。
えーっと、
お気持ちはよーく分かりますよ。
でも、
毎月のつみたては『5万円』ですから、
そこで株式を80%にしても、すぐには追い付かないのでは?
「えっ?」
今、横山さんの積み上がった運用資産は500万円です。
資産ベースで、
「株式50%」を「株式60%」に戻すためには、
50万円分、株式を買い増ししなければなりません。
仮に、
毎月のつみたての配分比率を
「株式:債券 = 100:0」にしたとしても、
月5万円の積み立てですから、
『10ヶ月』もかかってしまいます・・。
日々、不規則に上がったり下がったりしますよね?
時間をかけ、
毎月のつみたての「配分比率」を変えて『リ・バランス』するのは、出来なくはないですが、
上の例でいうと
横山さんがせっかく10ヶ月かけて調整作業を行っても、
10ヶ月後、資産ベースでは
また「株式:債券 = 60:40」からズレていた・・
というのは(実は)よくあることなのです。
運用資産が400万、500万円ベースになれば、
資産ベースで配分のズレを元に戻す『リ・バランス』を年に1回、一度に行うことをお勧めします。
【毎月のつみたての配分比率は、変えません!】
(ところで、)リ・バランスは勇気を伴う、英断的な行いなのでしょうか?
いいえ、『リ・バランス』とはズレを元に戻すだけの行為です。
ネクタイがズレていたら、元に戻す。
帽子を被っていて、強風が吹いてズレてしまったら元に戻しますね?
それと同じです。
(ネクタイのズレを、ゆっくりゆっくり時間をかけて元に戻す人はいないはず)
例外的に、
「つみたて投資」を始めたばかりで
運用資産が200万円にも満たない、
あるいは運用資産と比較して、「毎月のつみたて金額」が相応に大きい人は、毎月のつみたて「配分比率」を変える『リ・バランス』でも対応可能でしょう。
また、理屈の上では
資産ベースで配分のズレを元に戻す『リ・バランス』を理解できても、
たとえば「株式」を売って「債券」を買い増す際に、利益に対して「税金」を支払う必要があるために、『リ・バランス』を躊躇される方が少なかれずおられます。
が、ここ一度よーく考えてみましょう。
自分で自分のリスクをコントロールする手綱こそ、
リ・バランスなのです。
同じ『リスク量』を維持していく健全性と、
税金という名の『経費』を支払うデメリット、
資産ベースで配分のズレを元に戻す『リ・バランス』の励行は、資産運用の1丁目2番地なのです。
(ちなみに1丁目1番地は?)
自分が許せるリスクの大きさを知り、
それに見合った「資産配分(ポートフォリオ)」を組むこと!