ワタシの安全資産とリスク資産の比率を決める、客観的な基準はありますか?
2022年8月27日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
「安全資産」と「リスク資産」の比率・・。
よくいただくご質問です。
投資に回さないお金と、投資に回すお金の「比率」とも云えるでしょう。
正直申し上げて、
若いうちは
安全資産とリスク資産の比率を厳格に決める必要はないです。
なぜか? 『総資産額』がまだまだ少ないためです。
あなたのお給料もまだ発展途上ですね。
わずか数年で総資産額がドンと増える可能性もあれば、
わずか数年で総資産額がドンと減る可能性もあります。
「若い」とはそういうことではないでしょうか・・。
あなたの「ライフステージ」はこの先幾度か変わることでしょう。
収入も支出も変動し、
つみたて投資に回せる『金額ベース』も変化することでしょう。
まだ30歳の米田さん(仮名)にとって重要なのは、「安全資産」(預貯金)と「リスク資産」(投資信託)の比率を決定することではなく、
自分が無理なく始められ、
そして続けられそうな、
現実的な『投資額』(つみたて金額)を決めることでしょう。
このファーストステップを踏んだのちに、
毎月ベースでコンスタントに残るお金を睨みながら、もし可能であれば、つみたて金額を少しずつ増やしていくわけです。
(もちろん、リスク耐性が高いのであれば、
お手元のまとまった資産からも「拡大つみたて」を実施しましょう)
ただ「若い人」といっても、
一人ひとりでリスクに対する感じ方は異なります。ここは注意が必要でしょう。
「安全資産」と「リスク資産」の比率を、
暮らしの『骨太ルール』のように明文化する必要が出てくるのは、あなたが50歳を超えてからです。
トータル資産額が相応に『大きくなる』ためです。
例えば、
5000万円の資産を持っていれば、
安全資産40%:リスク資産60% なら、
リスク資産3000万円ですが、
安全資産30%:リスク資産70% なら、
リスク資産は3500万円に。
逆に、リスク資産が50%なら、
リスク資産の額は2500万円です。
赤で記した↑金額ベースを見て下さい。
リスク資産50~70%の中での違いなのに、
背中に背負う「リスク量の大きさ」がかなり違ってくるのです。
そして50代にもなれば、
(自分には来るはずがないと思っていた、)
勤労収入が得られる「エンドの日」(退職日)が遠くに見えてきます。
収入面では
おそらくピークは過ぎているでしょう。
いっぽう、支出のピークもすでに過ぎているはずです。
今までやってきた
雑多な投資スタイルを『スリム化』し、
かつ、資産全体のリスクを制御する方向で、
―即ち、意識して安全資産を増やして、
背中に背負うリスク量を下げる方向で―
改めて、
「安全資産」「リスク資産」の比率を定めるべきでしょう。
「安全資産」「リスク資産」の比率は、
老後の資産管理を意識した場合に、
若い時よりもうんとその重要度が増すのです。
老後までを見据えた、
「安全資産」「リスク資産」の比率とは?
安全資産:リスク資産 = 50:50 を
大きな軸として捉えるとよいでしょう。
50:50とは? どんな『概念』を持った資産配分なのか?
大きく揺れる「リスク資産」と、
「揺れずに」防波堤となってくれる『安全資産』を、同程度持つという安心感を有する資産配分、なのです。
(リスク資産で)暴落が起こった場合に、
資産の毀損率が「半分」程度に収まるイメージであります。
それが
安全:リスク資産 = 50:50。
しかし、
上記はあくまでセオリー的なお話です。
老後の長い生活から、
【次の世代】のことまで想起するのであれば、
以下『A~Cの設問』も重要になります。
A 今より資産を増やして(次世代に)バトンタッチしたいか
B (名目上)現状の資産額をキープ。あるいは逓減していってもOKか
C この世から隠れる時、資産額は大幅に減っていってもよいのか
いずれを希望されますか?
もし「C」をご希望であれば、
「安全資産」「リスク資産」
70~80% 20~30% でも十分かもしれません。
「B」をご希望であれば、
「安全資産」「リスク資産」
50% 50% を推奨します。
「A」をご希望の場合は、
「安全資産」と「リスク資産」
30~40% 60~70% 程度が必要になってくるでしょう。
あくまで私見ですが、
わたしはリタイア後の生活の中で
「A」まで頑張られる必要はないと思います。
より多く遺すことが、
資産を引き継いだ人にとってハッピーなのか?といえば、この効用を計るのはきわめて難しいです。
最後に念のため。
安全資産:リスク資産 = 50:50の「比率」にすることが大事なのではなく、
長きにわたって安全:リスク = 50:50 を堅持すること、
すなわち、
定期的にリ・バランスを行い、
「50:50」をお題目のように保っていくことが、
資産管理という名の「仕事」であることをどうかお忘れなきよう。
カテゴリ:ポートフォリオ運用, リタイアメント・資産の取り崩し