つみたて投資, 経済よもやま話

こんなに『円安』が進むと、積立投資が不利になりませんか?

2022年7月16日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

最近多いご質問です(^^)

 

こんなに『円安』が進むと、積立投資が不利になりませんか?

 

たしかに、有利ではないでしょうね。

 

 

 

 

仮にあなたが
「全世界株式インデックスファンド」に積み立てをしていて、
アメリカドル建ての株式がおよそ『6割』を占めていて、

今1ドル138円台ですから、
1ドル100円の頃に比べると、

 

(株価が変わっていないとすれば)

同じ1万円の積立投資でも、
買える『株数』は明らかに減ってしまいます。

(円という通貨の購買力が減じているわけです)

 

 

ほんとうは?

 

『円高』で、かつ
株価が『安い』ときに積み立てが出来れば、
(同じ1万円の積立投資でも)
効果的にもっとたくさんの「株数」が買えます。

 

が、世の中
自分の都合の良いようにコトは運びません。

 

 

 

 

ところで、
「為替のリスク」って何でしょう?

 

それは国際分散投資を行うあなたが、
価格変動リスクと同様、
普遍的に背中に負い続けなければならない「不確定要素(リスク)」なのです。

 

ノルウェー人も、シンガポール人も、
タイ人も、チリ人も、

みんな(あなたと同じように)
『為替リスク』を負って長期投資を実践しています。

 

 

 

 

いっぽう
全世界株式インデックスファンドを積み立てるあなたは、

『ユーロ建て株式』
『オーストラリアドル建て株式』も買っています。

 

 

為替とは
多通貨間の『人気・不人気コンテスト』ですから、

 

たとえばこの4ヵ月は
「円」が(先進国通貨では)もっとも不人気だったとしても、

 

「あれ?ユーロのほうがさらにやばくね?」

 

 

みたいに
多くの投機家が認識し始めると、

円安よりもユーロ安のほうが
為替取引のメイントピックになり得るわけです。

(事実その方向に潮目が変わりつつあります)

 

 

もしそうであれば、
「円」は「ドル」に対しては引き続き「円安」かもしれませんが、

「ユーロ」に対しては逆に高くなって
『円高・ユーロ安』の状態がもしも続くようなことになれば、

 

欧州株式については
(株価が同じであれば)
同じ1万円の積立投資でもより多くの「株数」が買えることになります。

 

 

 

 

 

豊島逸夫さんはよく「3つの目」のお話をされます。

 

虫の目、魚の目、鳥の目。

 

虫の目とは
「今、何が起こっているのか」の分析。

 

魚の目とは
「これから中期的に、潮流がどうなるのか?」の分析。

 

そして鳥の目は、
「長い目で見て全体がどう変化していくのか?」の分析。

 

 

個人投資家にとって、いつも重要なのは「鳥の目」です。

 

なにしろゴールは40~60年後だったりするわけですから。
(※ゴールとはあなたの死のこと)

 

以下、
macrotrendsのドル円レートの「長期チャート」(1971年以降)を見ると、

 

 

 

 

1980年代後半から
「ドル円レート」は基本的にボックス圏内で、

時に円高になったり
時に円安になったりを繰り返していることが分かります。

 

為替相場は
株式市場のように、

「右肩上がり」がずっと続いたり、
「右肩下がり」がずっと続いたりは基本しないわけです。←ココ、重要。

 

たしかに
『円安時』にコツコツ積み立てを続けることはちょっと居心地が悪いですが、

 

それでも、
為替レートの変動幅という名の『リスクの大きさ』より、
あなたが現に積み立てている
「世界株式」の『期待リターンの大きさ』のほうがずっと大きいわけですから、

 

 

極端な『円安』に振れるということは、
極端な『円高』に振れるエネルギーも内包していると意識しながら、

淡々と積み立てを続けるべきなのです。

 

淡々と。

 

 

 

 

為替と株価をマトリックスにすると
以下『4つのパターン』に分類されます。

 

円高 円安
株価 ↓ 最悪 そこそこ
株価 ↑ そこそこ 最高

 

まだ積み立てを始めて数年の人は、
これから積んでいく資金があなたの老後を支えるわけですから、

ほんとうは『円高』・『株安↓』のほうが好ましいわけです。

 

ところがこれから10年もすれば、
運用資産額が今よりうんと積み上がって、

すでに保有する「リスク資産」の額がより重要になるため、

『円安』の状態に、
今ほど居心地の悪さは感じなくなるはずです。

 

 

あっ、4つのパターンの中で
「最悪」「最高」と記しているのは、
あくまで
あなたの運用資産額が2000万円、3000万円と、すでに大きく積み上がっている『前提』であります。
まだ積立を始めて数年の人は、上記「最悪」「最高」真逆になります。

 

 

結局のところ、
あなたの「積立投資のステージ」によって、

円高が好ましく感じたり、
円安を好ましく感じたりと、
あなたの心持ちも『変遷』するわけですから、

 

極端な『円安』に振れるということは、
極端な『円高』に振れるエネルギーも内包していると意識しながら、

淡々と積み立てを続けるべきなのです。

 

淡々と。

 

 

 

最後に、
日銀の黒田東彦総裁の任期満了は
来年4月8日です。

後任の日銀総裁が誰になるかによって、
金融政策の方向性が大きく変化する可能性があります。

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