100年ライフプラン, お金の摩訶不思議

残された宿題:「さて、何にお金を使っていきますか?」

2022年7月10日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

ヒトの歴史の99.9%は飢えとの戦いでした。
定住社会になっても大多数の人は貧しいままでした。

商品経済が整い、
貨幣が行き渡るようになっても、
それ(お金)は単に『用いるもの』だったのです。

 

わたしは
宗教がヒトの社会に広まったのは、

世の中が圧倒的に貧しく、
日々の暮らしが悲惨だったためだと思っています。

「神」を作り「神」に救いを求めなければ
とてもじゃないけど
「やってられない」ほど現実は過酷だったのです。

 

 

 

 

それでも時代が下り、
ぽつぽつと豊かさが芽生え始めると、

人はお金を『貯める』ことを覚えました。

今使わずに、
将来のために蓄えるお金が発生したのです。

 

これは画期的なことでした。

 

人はその日暮らしではなくなり、
来月や、来年や、5年後のことを思考するようになりました。

(「計画」の始まりです)

 

 

余談ですが、穀物にしろ、お金にしろ、
人は『貯める』を覚えた際に、
住居や蔵を施錠するようになったのでは・・?

 

 

時間が経って
さらに豊かさが重なると、
貯めたお金は資産(ストック)になりました。

人はこの時はじめて
「お金」で「お金」を『殖やそう』と試みます。

それが「利殖」の始まり。

 

 

 

 

大多数の生活者にとって、

貯めたお金が
ある程度積み上がっている状態 = 資産(ストック)を見るのは生まれて初めてのこと。

 

生まれてはじめて味わう「興奮」です。

人間の原始的なギラギラ感を駆使して、
まとまったお金を用いて殖やすという行為にヒトは熱狂します。

 

(※国・地域によって、お金の用い方の成熟度は異なるため、今も『殖やす』に熱狂する国は決して少なくありません。)

 

 

さらに時代は下ります。

ずっとずっと長い時間が経って
今あなたは資産形成を行っています。

これは上記の「利殖」を洗練させたものであります。
(かつ、パーソナライズした行いとなります)。

ギラギラただ殖やすという行為から、
大きく失敗しないよう、注意深くお金を『育てる』行為にシフトします。

 

意外に思われるかもしれませんが、

先進各国における個人の『資産形成』は、
既にその方法論が確立されつつあります。

「長期・分散・低コスト」

 

 

 

 

問題はここからです。

 

積み上げた資産を取り崩し、
生活費以外のお金を使う段になると、

私たちは さて、何にお金を『使うか?』と、二の足を踏んでしまうのです。

 

何にお金を使うか・・。

これが
ヒトにとって
もっとも「未知なこと」です。

 

例えば、
あなたの趣味や生きがいにお金を使う。これは素晴らしいこと。

また、残りの人生で賭けたい事柄(ライフワーク)にお金を用いる。これも素晴らしいです。

お金は基本、あなたが人生をもっと楽しむために用いるべきでしょう。

 

でも、です。

 

 

不思議なことに
「自分のために・・」「もっと楽しむために・・」を意識すると、逆に足がすくんでしまう人がいます。

 

お金を自分用に費やすことに、何とも言えない『居心地の悪さ』を感じてしまうのです。

 

そういう場合は、
誰か(何か)を照らすためにお金を用いるという手があります。

 

<あなたのお金は私的な財産であると同時に、社会の中で使われる公器でもあります>

 

自分以外のためにお金を使うことで、別種の喜びを見出すことは可能です。←ココ、大事!

 

 

 

 

それは身近な友人、親族でも構いませんし、各種団体、グループに貢献する(=寄付をする)という形でもよいでしょう。

クラウドファンディングのサイトを覗くと、お金の需要は多種多様であることが分かります。

 

 

 

 

資産の一部を
社会に還元する行為は、
『還す(かえす)お金』と位置づけられるでしょう。

 

ちょっと整理してみます。

 

有史以来、
お金を用いる、貯める、殖やす、育てる(投資)、使う、還すと循環させてきた人間ですが、

 

お金の使い方については(実は)まだまだ発展途上です。

これは私たちに残された『宿題』なのです。

 

いずれにしろ、
「育てるお金」が増えれば増えるほど、
「還す」に向かうお金も自然に増えていくことでしょう。

わたしはそう思っています。

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