持ち株会への「つみたて」思い切って止めませんか?
2022年6月21日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
時間制のカウンセリングを実施しているため、
『サブ』のご相談も多岐にわたってお受けします。
案件として多いのが、
「保険関連」
「住宅ローン」
「相続」
そして「持ち株会」(自社株購入)です。
「持ち株会」を通じて
『自社株』を買っておられるお客様は意外と多いもの。
自分が勤める会社の「株式」を保有するって
立派な『資産運用』です。
でも、です。
「ワタシ、持ち株会に入っている」という感覚は、
文字通り「会」に所属するイメージで、
会社の『福利厚生』の一つに参加している、と解釈される人も少なくありません。
実際『持ち株会』に入ると、
会社が株式の購入金額の
5~15%程度を「上乗せ」してくれます。
(「補助金制度」と呼ばれ、同じ積立金額でも株式を多めに買えるのです)
わたしが拝見した中では、
「25%」の補助を出している会社もありました。
ただ、今のように世界的にマーケットが低迷すると、
「投資信託」を保有する自分の、
資産運用のあり様が大きく異なることに気付かされませんか?
あなたがお勤めの会社の業種によって差はあると思いますが、
全世界株式インデックスファンド300万円分と、
「持ち株会」を通じた株式投資の300万円分は、
例えば今、
⇒ご自分のメインの資産運用(評価額マイナス14%)
⇒自社株(持ち株会) (評価額マイナス30%)
という状況になっていても不思議ではありません。
株式市場が大きく下がった今だからこそ、
「たったひとつの株式」を持つことが
果たして自分に合った資産運用なのか? と、自問してみる価値はありそうです。
会社から見ると、
『安定株主』を作り出す装置であります。
株主構成比率において
安定株主「多数」とすることは経営戦略上たいへん重要であり、
さて、
「持ち株会」を通じた自社株購入は
資産運用の『原則論』から云うと
推奨されるべき行いなのでしょうか?
残念ながら「否」です。
理由はカンタン。
??
先月もあなたが『給与』を得られたのは、
あなたが自身が頑張ったからですね。
具体的には、
あなたが『自分資産』を稼働させた結果です。
でも、よく考えてみますと、
「自分資産」は『消耗する資産』でもあるため、
「やっぱりこれだけでは心細いなあ・・」ということで、
給与所得の一部を用いて
せっせと『金融資産』を積み上げているわけです。
(これを世の中では資産運用という。)
つまり、そもそも論なのですが、
【自分資産】の「リスクヘッジ」として行うものです。
ということは、考え方として、
『金融資産』への投資は、
『自分資産』を稼働させている場所から、できるだけ離れた場所で行うのが得策だと思いませんか?
金融資産 ← ← ← 自分資産(←給与所得)
『持ち株会』で自社株を買い続けると、
【自分資産】を働かせている「ところ」と
【金融資産】を積み上げている「ところ」が、
【重なってしまう】わけです。
自分資産(←給与所得)
金融資産
『金融資産』は容易に分散させることが可能ですが、
『自分資産』はなかなか「分散」が難しいという特徴があります。
金融資産A 自分資産(←給与所得)
金融資産B
金融資産C
金融資産D
万が一、あなたがお勤めの会社の企業価値が大きく毀損し、
『給与所得』が大きく下がるとともに、
『自社株』の価値までも大幅に減じてしまえば、
(文字通り)ダブルパンチを食らうわけで・・。
自分資産(←給与所得)
金融資産
この見直しが難しいのは承知しています。
何しろ買っている「個別株式」が
単に情報として既知の株(かぶ)ではなく、
あなたが勤めている、
毎日通っている会社の株式であり、
その業界に5年、10年、15年と勤続して、その業界のメリット・デメリットも知り尽くしているために、
単純に、
〇 2900銘柄以上を保有する
全世界株式インデックスファンド100万円と、
〇 1銘柄(自社株)である
「持ち株会」を通じた株式投資100万円分
という「比較」がしにくくなってしまっているのです。
でも、あえて見直しをお勧めします。
その理由は、資産運用の原則にフォーカスしたほうが、致命的な事態に陥りにくくなるためです。
これが実行できれば、
今以上「保有株数」が増えることはありません。
そして、これまで持ち株会に掛けてきた毎月の「つみたて金額」を、王道のインデックスファンドへの積立にシフトさせるのです。
2.保有する株式を売却していきましょう。
少しずつ少しずつで結構ですから、規則的に売るのです。
自社株を売却するからといって、
あなたの、お仕事に対する熱意が変わるとはわたしには思えません。
この場合、自社株を単に「売る」わけではないのです。
自社株でお持ちだった資産を、
骨太の資産配分(メインのポートフォリオ)に移行させるのが真の目的です。
今から自社株を少しずつ売っていくと、
「安く」売ることになるかもしれませんが、
買っていくほうも、
すなわち株式インデックスファンド等も「安く」買えるはずです。
〇 2900銘柄以上を保有する
全世界株式インデックスファンドと、
〇 持ち株会を通じた1銘柄(自社株)への投資の「違い」を、ぜひ反芻してみましょう。
カテゴリ:インデックス投資全般, 投資の発想法