インデックス投資の痛いところ(稲妻が輝く瞬間の真逆 → ナイフが落ちてくる瞬間にも立ち会わないといけない)
2022年5月25日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
この問いに対しては、
市場が上昇する時は、
駆け上がるように一気に、短期間で上がってしまうので、その『瞬間』を逃さないために、
(本当は下落相場に居続けるのはイヤだけれど、)
マーケットに留まり続ける
(=長期投資する)というのが解なのです。
チャールズ・エリス氏の名著
『敗者のゲーム』では、
駆け上がるように
一気に上昇する市場のさまを、
稲妻が輝く瞬間 と形容しています。
稲妻が輝く瞬間に
市場に居合わせるために、
せつなくて苦痛な下落相場とも付き合うしかない。というわけです。
同書から引用してみましょう。
S&P500指数のデータを使って
過去75年間という長期間分析した結果を見ると、
この間の株式リターンの大部分は、
上昇率のベスト60ヵ月間
(900ヵ月という長期間のわずか7%だが)に達成されているという。
なるほど・・。
夢の60ヵ月を逃さないために、
パッとしない残りの840ヵ月も(市場の中で)やり過ごす。ということですね。
ところで、
稲妻が輝く瞬間の『反対』は?
痛そう。。
上例で云えば、
パッとしない840ヵ月の中で、
『ナイフが落ちてくる瞬間』というのは、それこそ過去何十回、何百回とあったわけです。
市場はたった一日で、
ドーンという衝撃とともに
4%、5%も下落することもあります。
あるいは、
アップダウンを繰り返しながら、
週単位で数%下落をし続け、
1年で振り返ってみると、
最高値から20%、30%落ちていたというケースもあります。
インデックス投資の弱点って・・・
そのまま
丸ごと背負う。
・・せつないです。。
さて、これから先、
どんなタイプの『ナイフ』が落ちてくる可能性があるのか?
それはこのグラフを見れば鮮明です。
S&P500指数に占めるトップ5社のシェアです。
実はコロナ禍の前から
大手IT系企業の株価上昇は顕著であり、
その結果、S&P500に占める
上位5社(アップル、マイクロソフト、グーグル、アマゾン、フェイスブック(現メタ)の時価総額比率は肥大化していました。
2019年時点で「17%」近くに。
そして21年ではナント「24.5%」に。
このグラフをよーく見ると、
いたって平凡(ノーマル)なものだったと想像できます。
実は2017年以降も、
上位5社を除く「S&P495」的な視点で見れば、パフォーマンスそのものは平凡なのです。
上位5社が爆発的な株価上昇を実現したのかが分かります。
えっ、それもインデックス投資の弊害?
いや、弊害というよりは、
インデックス投資の『実態』なのです。
過熱化して時価総額が肥大した企業も、下落の一途を辿る企業も「一緒くたに」保有することが、市場全体を再現するということですから・・。
山高ければ、谷深し・・。
今後、時価総額が肥大したテック系企業の株価がさらに下落すれば、S&P500の各企業の「構成比率」は正常化に向かい、より健全な「市場平均」へと回帰するでしょう。
このアップダウンのダイナミズムを、誰も任意に操ることは出来ません。
逆にこのダイナミズムを上手く利用するのが『つみたて投資』という投資実行法なのです。
稲妻が輝く瞬間だけでなく、
ナイフが落ちてくる瞬間も経験するなんてイヤだ。
となったら、
いったいどこに「引っ越し」ますか?
大型バリュー株で「配当」狙いのスタイルに移行しますか?
今株価が好調なインドネシア株ETFにシフトしますか?
それともいぶし銀のアクティブファンドを探しますか?
あなたが仮に「別の投資スタイル」に引っ越せば、
「山高ければ、谷深し。」が存在するに過ぎません。
網羅的な分散を施すという意味では、
―具体例として全世界株式インデックスファンドを挙げますが、―
アクティブファンドも
大型バリュー株も
インドネシア株ETFも
全世界株式インデックスファンドには劣るわけです。
インデックス投資とは
もっとも「ましな」
山高ければ、谷深し。と理解しましょう。
リスク量を下げるなら、
全世界の株式を半分、全世界の債券を半分ミックスした「楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型)」のような道具を選ぶ手もありますよ。
カテゴリ:インデックス投資全般