インデックス投資をめぐる商標使用料(ライセンスフィー)のミステリーについて
2022年4月19日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
もしも、ファンドの手数料を
事細かく探し当ててくれる
『手数料ハンター 虎夫くん』みたいな人がいたら、
こんな疑問を口にするかもしれません。
カンさん。
ETFでは指数の商標使用料(ライセンスフィー)が「%」として明示されますが、インデックスファンドでは見当たらないよ。
フム、たしかに・・。
ETFにしろ、インデックスファンドにしろ、
指数の提供会社に
商標使用料「ライセンスフィー」を支払う必要があります。
これは立派なコストです。
ETFではこの商標の使用料が「%」で明示されています。
以下、例を挙げてみましょう。
『SMDAM 東証REIT指数上場投信』の交付目論見書
年0.033%(上限)と書いてあります。
『NZAM 上場投信 S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数』
ちょっとマニアックな指数との連動を目指すETFですが、
マンスリーレポートには、
年0.015%以内と記されています。
ちなみにこの種のコストは、
継続的に支払う「運用管理費用」以外の
その他の費用の「ひとつ」ということになります。
(もちろんファンド(ETF含む)保有者が負担するコストのひとつ。)
インデックスファンドではこの種のコストが明示されないのか?
理由の一つとして、
商標使用料の支払われ方が「一ファンド」につき「いくら」ではなく、
「該当するすべてのインデックスファンド」について、
運用会社が『まとめて』
指数提供会社にフィーの支払いをしている場合がある(おそらくこれは「慣習」なのでは?)ためと思われます。
ただ、そうだとしても、
「ライセンスフィー」という手数料が存在し、
当社ではこのような支払い方をしています。
という情報開示が(インデックスファンドにおいても)あるべきではないでしょうか?
インデックスファンドという道具を精査する中で、
この「ライセンスフィー」なるものが、
わたしにとっては長年『ザ・ミステリー』な存在でした。
わたしが調べた限り、
商標使用料は『一律』ではありません。
「指数提供会社」によって、
またどの「指数」かによって、
あるいは「時代」によって?
あるいは
指数提供会社と運用会社の『関係』によって?
個別相対的に
『手数料の率、あるいは金額』が異なるのが実態であると推察します。
そしてこれまで、
指数提供会社が提供する『指数』というもののブランド価値、希少性は抜群であり、実際「指数提供会社」は驚異の利益率を誇っています。
『具体例』を挙げてみましょう。
大手指数提供会社のひとつ、
「MSCI社」の2021年第四四半期の営業利益率はナント51%!
画像元:MSCI
スゴイですね。 そんなに儲かるんだ。。
ちょっと体勢を変えます。
私たち(ファンド保有者)の立場に戻ってみましょう。
私たちファンド保有者から見ると、
商標使用料そのものが「ベールに包まれて」いるため、
以下の本質的な議論から、私たち自身が遠ざけられている感があります。
市場全体をおおまかに再現する中身では、インデックスファンドとは呼べない?
ライセンスフィーの存在、また手数料の根拠がより明確化することで、指数提供会社は「指数」の意義をもっと告知啓蒙できるでしょうし、
運用会社から見れば、
指数提供会社間の「競争」が促進され、
また運用会社間の「コスト比較」も明示化され、より費用を抑えることが可能になります。
トータルコストの軽減につながると考えます。
最後に、以下ETFについては
なんと・・商標使用料は「ありません」の一言が・・。
『NF・日経300 ETF』
画像元:野村アセットマネジメント
なんでだろう・・
当該ETFは「日経株価指数300」との連動を目指します。
この指数の提供会社は日本経済新聞社です。
野村アセットマネジメントでは
日本経済新聞社が提供する指数に対するライセンスフィーは、
すべてのETF、インデックスファンドを含めて
野村アセットマネジメントとして『まとめて』支払っているのだろうか?
(もしそうだとしたら、それは1年間でいったいいくらになるのだろう?)
嗚呼、やっぱりミステリーだ。。
Twitterのスペースでも同様の話題についてお喋りしました。
摩訶不思議な指数のライセンスフィー。運用会社と指数提供会社のヒミツ契約なの?https://t.co/gSElPzFDXu
— カン・チュンド@インデックス投資アドバイザー🙋♂️ (@4649kang) June 24, 2023
カテゴリ:インデックス投資全般, 指数のお話