出口戦略にて、つみたてNISAと特定口座はどちらから取り崩すべきか?
2022年4月15日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
カウンセリングのご質問・ご要望事項とは、
わたしにとっては『大いなる命題』です。
以前あるお客様から、
インデックスファンドを取り崩していくときに
・つみたてNISAと
という質問をいただきました。
課税口座で運用するファンドの取り崩し戦略だけでも、
なかなかに深い立案になりますが、
別の口座(つみたてNISA)が絡んでくると、
「二次方程式」のように複雑に感じてしまう人もいるのでは?
仮にそのお客様を青山さん(仮名)としましょう。
青山さんは2018年から
「つみたてNISA」でインデックスファンドを積み立てています。
ちょうど2027年の年末に「リタイア」の予定。
つみたてNISAには計10年間で
400万円のお金(40万円×10年)を入れる予定です。
(もちろんリタイアすれば、その時点で『積み立て』そのものはジ・エンドです。)
もしもつみたてNISAでの運用が順調で
投資元本400万円が
2027年末時点で700万円になったとしましょう。
(ガッツポーズ、ですね)
青山さんの投資のメインはもちろん「特定口座」で、
もう長く投資をされていて、
これも「仮に」ですが、
2027年末までに
特定口座の運用資産が2500万円ほどになるとします。
青山さんはめでたくリタイア!!
その時点でのトータル資産を計5300万円とします。
2100万円(約40%)
3200万円(約60%)
おおよそですが
安全資産:リスク資産 = 4:6 であり、
これが青山さんのセカンドライフにおける『骨太比率』としましょう。
※詳細は省きますが、この「骨太比率」を定めることはたいへん重要。
長い老後生活で
この「骨太比率」を維持しながら基本、
安全、リスク資産、双方から取り崩しを行うことになります。
ここからお話しする方法論の『前提』は、
冒頭の「問い」にお答えすると、
リタイア後の取り崩しで
先に解約していくのは『特定口座』のほうのファンドです。
以下、つみたてNISAの図。
青山さんは↑2027年の年末時点におられます。
今のところつみたてNISAは
非課税期間が20年あって、
青山さんが積み立てをする最後の年、
つまり「2027年」に入れた「40万円分」の、
非課税期間20年の満了は・・2046年の年末となりますね。
なるだけ長~く使い倒したほうがいいですよね。
ここからは資産全体を
ざっくり「比率」でお話ししましょう。
〇 安全資産:リスク資産 = 4:6 から、
ファンド価格が上昇して総資産も増えた状態で、
安全資産:リスク資産 = 3:7 になったとしましょう。
ここから、
リ・バランスを兼ねながら「定率」で取り崩しを行うとき、
安全資産:リスク資産 = 4:6 の状態になるまで、
『特定口座』のファンドを解約するわけです。(つみたてNISAは放ったらかし)
逆に、ファンド価格が下落して総資産も減った状態はどうでしょう。
安全資産:リスク資産 = 4:6 から、
たとえば
安全資産:リスク資産 = 5:5 になってしまっています。
この場合も
リ・バランスを兼ねながら「定率」で取り崩しを行い、
安全資産:リスク資産 = 5:5 を
安全資産:リスク資産 = 4:6 に戻すのですが、
ファンドの『買い増し』に充てて、
つまり、解約したり、買い増ししたりは、
『課税口座』のほうのファンドで行えばよいわけです。
※もちろん解約時の税金はコストとして割り切ります。
このように取り崩しを続けていくと、
どうしてもつみたてNISAの
『20年の非課税期間』が気になってきます。
老後の取り崩しでは、
つみたてNISAの ↑ ブルーの「非課税期間内」で、
タイミングをうまく捉えてファンドを解約しないと!と思ってしまうわけです。
でも、
です。
「老後の資産管理」の主人公は、あなた。です。
別につみたてNISAの「非課税期間」に囚われる必要はありません。
そもそも、いつから投資信託の『取り崩し』を始めるのか?も、あなた本位で決定していくはず(あなたの人生計画がメインですから!)
20年の非課税期間うんぬんより、
基本、あなたの「取り崩し計画」に合わせて、つみたてNISAを売っていけばいいのです。
次の『事実』に耳を傾けましょう。
つみたてNISAという制度は
非課税期間が恒久化されない限り、ファンドを持ち続けていれば、
いずれは、
随時、
『課税口座(特定口座)』に戻っていくのです。
一例を挙げましょう。
2018年に積み立てた40万円分のファンド。
2037年末まで持ち続け、
(2038年以降)特定口座に移っても、持ち続ける・・。
OKです。
特にあなたがまだ若ければ、リタイアには至っていないはずです。
仮に、
2018年 2037年末
40万円 → 70万円 というふうにファンドの時価が推移すれば、
資産運用とは、最終ファンドを取り崩し、
そのお金をどんどん使うために存在しますから、
仮に、
2038年 2044年
70万円 → 84万円 となり、
「84万円」の時にファンドを解約すれば、14万円分のみが利益と見なされます。
つまり?
20年間の非課税期間の恩恵も立派に受けるわけです。
期間限定の「売却時非課税制度」である。という点でしょう。
先ほどの青山さん(仮名)の例に戻ってみましょう。
青山さんのリスク資産を
〇(特定口座2500万円・つみたてNISA700万円)
と述べました。
長い取り崩し期の中で
「課税口座」のファンド売却を優先させ、
のちに「つみたてNISA」からの売却も開始する頃には、
非課税期間の満了を迎え、
つみたてNISA口座 →『特定口座』に移る資金も少しずつ出始めているはず・・。
あくまでイメージですが、
〇 リスク資産(特定口座2500万円・つみたてNISA700万円)
↓
〇 リスク資産(特定口座2700万円・つみたてNISA500万円)
↓
〇 リスク資産(特定口座3000万円・つみたてNISA200万円)
というふうに、
つみたてNISA口座で保有していたファンドが、
特定口座に徐々に戻っていくわけです。
(非課税期間の20年の中でファンドを売らなければ・・)
あなたの年齢に依り、
あるいはリタイア計画に依り、
同じつみたてNISAでも、
・非課税期間の20年内で売る部分もあれば、
・特定口座に戻したあとに売る部分も出てきます。
そう考えると、
つまり、
「つみたてNISA口座」で保有していたファンドが一部「特定口座」に戻ってくることを考えると、
特定口座と、
つみたてNISAのインデックスファンドは、
『同じインデックスファンド』で揃えたほうがよいといえるでしょう。
つみたてNISAと特定口座は、
実は課税口座という「土台」で根っこの部分はつながっています。
資産管理上扱うことをお勧めします。
それに対して
iDeCoや企業型DCは(つみたてNISAよりも資産額が少ないという前提ですが、)
「老後のごほうび」と捉えて、
リタイア開始から10年程度の『年金形式』でもらい、
元気なときに思い切って使っていくのが良いとわたしは思います。
カテゴリ:NISA活用法, リタイアメント・資産の取り崩し