1939年、第二次世界大戦の開始と同時に104社の株式を買ったジョン・テンプルトンさん
2022年4月11日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
この世界は一体どんな形状をしているのか・・?
そんなこと、壮大すぎて分かりません。
しかし、人間のことなら多少は分かります。
人間は何百、何千という個体数になっても、
統率され、共に行動を取り、貴重な事を成し得る力を持ちます。
集団のチカラ、とでもいいましょうか。
ところが人間は、
同じ種の中で
集団同士で殺し合いをする、稀有な生き物でもあります。
今日も凄惨なウクライナ戦争の実態には寄り添わず、
冷徹な目のみで語ることをご承知おきください。
現に世の中に戦争が起こっており
「寝た子を起こす」状態となり、
より多くの国(政府)で
より多くの武器を購入する事態になっています。
軍事防衛産業の売り上げが増加していることも明白。
(言うのも心苦しいのですが、)
世界のGDP成長に寄与します。
以前「戦争になる → 株価暴落ではありません」という記事を書きましたが、
地球のある地域で戦争が起きていても、
他の大部分の人々の生産活動、消費活動が大きく変わるわけではありません。
逆に(ウクライナ戦争では顕著なのですが、)
流通の遮断等が起こり、
食料、資源、原材料等が以前より手に入りにくくなって、
それらの価格が高騰することにより、
〇 売る側は・・より多くの利益を手にする。
これもまた歴然とした事実なのです。
今からお話しすることは、あくまで思考の訓練と捉えてください。
ほんとうに仮の話ですが、
ロシア軍が今回の戦争で戦略核を用いて
ウクライナ国内で万が一にも「核兵器」が使用されるようなことがあれば、
株式市場は暴落し、
その暴落は何年も続いてしまうのでしょうか。
わたしはそうは思いません。
ヒトの生産、創造、消費活動(=経済活動)は依然として続きます。
世の中の営みは続くわけです。
ウクライナは現在、
その国土が破壊蹂躙される中にあります。
しかし長期の視点で見れば、
たとえ物理的に国土が破壊されたとしても、
いやそうだからこそ、
たとえば首都キーウなどは、
世界で最先端の情報科学都市に生まれ変わる「可能性」を秘めているといえます。
(もともとIT産業の振興に力を入れていた国ですから。)
戦後復興は一大チャンスになり得るのです。
こんなことを平気で口走る投資家というもの(わたし)は、冷酷です。
繰り返しですが、
目の前の悲惨で痛切な状況をスルーして申し上げます。
次の、何が起こり得るのかという、
まだ見えない「変化」のあり様を妄想する・・
今から80年以上前に、
そんな性(さが)を持った投資家がいました。
当時26歳だった米国人、ジョン・テンプルトンさんです。
彼は1939年の秋に
株式の仲買人に次のような注文を出したそうです。
以下、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事
『大荒れの株式市場 「勇敢」な投資の秘訣とは』から引用します。
米主要取引所で
株価が1株1ドルを割り込んだ上場銘柄を
すべて100ドル相当購入してくれ――。
ナチスドイツが
ポーランドに侵攻したのは1939年9月1日ですから、
テンプルトン青年はまさに第二次世界大戦が始まった矢先に投資を開始したわけです。
上記記事内での彼のことばです。
「物事がいかに悲惨な状況にあるかを測る目安として、自分の恐怖心をとらえている」。
彼は当時のお金で1万ドル、
今の価値でいえば20万ドル以上のお金を借りて株式を購入しました。
引用、続けます。
「状況がさらに悪化するか確信が持てなかったし、実のところ悪化した。
しかし、悲観論が極限に近づいていることは強く確信していた。
事態がさらに悪化すれば、文明自体が生き残れなかっただろう――神がそのような状況になることを容認するとは思えなかった」
上記で云う、
『悲観論が極限に近づく』というような感覚は、
平和ボケしたわたしなどには皆目分かりません。
客観的に見ても、
「世界が真っ暗になりつつある・・」という現実を、
人類はそこそこ長い間、経験していないのではないでしょうか。← それ自体は良いこと。
ひとつだけ確かなことは、
結局テンプルトンさんは1944年に
購入していた104銘柄をすべて売却します。
うち100銘柄で利益を上げ、氏の財産は4倍以上になったのだそう。
ウォール・ストリート・ジャーナルの記事は次のように締めくくっています。
あなたが直感で感じることに耳を傾け、
その反対の行動をした時、
投資家として勇気ある行動を実践していると確信できるだろう。
反対の、行動ですよ・・
追記)
ジョン・テンプルトンさんは第二次大戦後、復興期にあった日本株式にも果敢に投資し、巨利を得たことでも有名です。