投資信託あれこれ

「さんまの塩焼き」と「さんま塩焼き定食」はぜんぜん違います

2022年4月10日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

ファンド業界では相変わらず、
投資信託の中身を『わざと』複雑にして、
もらえる手数料を膨らませるような製品が、日常的に売られています。

 

「倉敷大衆食堂」では、
「さんまの塩焼き」の単品が380円(税込)で売られているとしましょう。

 

 

 

仮に、この「さんまの塩焼き」に
意味のない「ごはん」を10粒ぐらい加えて、

 

「はい、これで
さんま塩焼き定食ですよ。680円になります!」

 

と言ったら、

お客さんは間違いなく怒り出すでしょう。

 

 

 

(残念ながら)これと変わらないことが、
投資信託では行われています。

『具体例』を挙げてみましょう。

ダイワDBモメンタム戦略ファンド」という投資信託があります。
(運用会社は大和アセットマネジメント)

 

ファンドの特色は?

 

 

 

まあ、アメリカの株や、長期金利や
USドルに直接投資するのでしょうね。

投資信託って『大きなフクロ』ですから、
どんなファンドであろうと、

フクロの中に「株式」や「債券」をせっせと詰め込むわけです。

 

ところが以下、
当該ファンドの仕組みを見てみると・・。

 

 

 

あれ?

どうやら当ファンドが直接「株式」などを
買い付けるのではなく、

『投資対象ファンド』(ふたつのファンド)を買っているようです。

 

つまり、
「ダイワDBモメンタム戦略ファンド」という
フクロの中に、

さらに『ふたつのファンド』を詰め込む形です。

そう、これは立派な『ファンド・オブ・ファンズ形式』。

 

 

 

なんだかおかしいなと思うのは、

上の図表内、
ブルーで塗られたほうの【投資対象ファンド】
―外国投資信託(円建)― が、

アメリカの株式、アメリカの長期金利、
USドル、金(ゴールド)を対象とするモメンタム戦略指数に投資を行っている点です。

 

 

ん?・・だったら、
この投資対象ファンド(外国投資信託(円建)を、そのまま商品にすればいいじゃん・・。
って思いませんか?

 

 

いったい何のために、
わざわざ『投資対象ファンド』を間に挟んでいるの?

 

 

わたしなりの答え)

金融機関にとっては報酬である、
『運用管理費用』をより多く取るため。

 

上の図表が意味するのは、

 

普通の「さんまの塩焼き」で
わざわざ意味のない『ごはん』を10粒ぐらい加えて、
「はい、さんま塩焼き定食で、
680円になるよ!」
と言っているのと変わりません・・。

 

 

注:この場合、
『ごはん』10粒の役割を果たすのが、

 

 

意味のない、
(円建ての債券に投資するだけの)
『ダイワ・マネーアセット・マザーファンド』↑です。

 

※ 実際、この投資信託の
目論見書」を見てみると、

『マネーアセット・マザーファンド』の
運用管理費用については【かかりません。】と明記されているのです。

 

コスト「ゼロ」 ただより怖いものはない・・・

 

消費者からより多くの報酬を得るため、
わざわざ『ファンド・オブ・ファンズ形式』にしているため、

「ダイワDBモメンタム戦略ファンド」の
運用管理費用は、
計1.936%(税込)程度となります・・。

 

 

 

上記を見ていただくと、
1.161% + 0.775%程度で、結果として手数料の『二重取り』になっています。

0.775%程度が内側のファンド(投資対象ファンド)のコストで、1.161%が外側のファンド(ダイワDBモメンタム戦略ファンド)のコストです。

 

 

決して少なくない運用会社が、
このように意味のない
『ファンド・オブ・ファンズ形式』の投資信託を数多く運用しています。

 

まずはこのような悪質なファンドの仕組みを知ること。
そしてNOの声を上げる人(そのようなファンドは買わない人)を増やすこと。 

そうすれば、このような投資信託は早晩作られなくなります。

カテゴリ:投資信託あれこれ

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