アメリカ株式と先進国株式全般への投資はどちらが有利なの?(モーニングスター記事では「五分五分」との評)
2022年3月8日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
この数年、
なぜ米国株式の人気に火が付いたのでしょう。
それはアメリカ株式のパフォーマンスが
他の国々の成績に比べ、格段に良かったからでしょう。
しかし、私たちが行っているのは長期の運用です。
したがって長い目で見て
過去はどうであったか?という検証も必要でしょう。
モーニングスターに興味深い記事がありました。
同記事では、
S&P500(アメリカ株式)と
MSCIワールド・インデックス(日本を含む先進国株式)を、1970年以降のヒストリカルデータで比較しています。
以下、引用です。
10年リターンで米国株が複数国株平均を上回ったのは2022年1月末までの505カ月中278カ月と、5割強の月にとどまった(図表2参照)。
注:複数国株平均とはMSCIワールド・インデックスのこと。
画像元:モーニングスター
10年リターンの差(緑色)を見ると、
ITバブル時、
そしてGAFAMに代表されるテック企業が相場を牽引し始めたこの5年程度では、米国株式がかなり強かったことが分かります。
米国株が一貫して上回った時期をみると、ITバブル期をピークとした前後10年間、2015年以降の2期間に大まかに分けられるが、両期間は金利が低位で推移する中で成長性を評価しやすく、米国企業の優位性が発揮しやすいテクノロジー関連株に特に注目が集まった局面でもある。
はい、ココなかなか鋭い分析です。
米国社会の特徴とは?
起業・イノベーションを称賛する「チャレンジ精神」にあります。
大局で云えば
米国株式そのものが「グロース株的特徴」を備えていると云えるでしょう。
従って
おおむね低金利で、
グロース株式が羽ばたき、その期待成長が膨らむときに、
他の国・地域と比して米国株式の優位性が顕著になると思われます。
次に20年のリターン差(茶色)で見てみましょう。
画像元:モーニングスター
モーニングスター記事によると、
(505カ月中)9割の月で、
アメリカ株が先進国株全般を上回る結果となりました。
やはり米国株式は強い。
ハイ、これは事実です。
アメリカ株式が一貫して
世界株式の『中心』であり続けたため、これは当然といえば当然でしょう。
ちょっと視点を変えてみましょう。
以下、日本国内の「たとえ」になりますが、
東京都のそれが+1.6%であってもおかしくはないですよね?
(なぜなら東京は日本の『中心』であるためです)
閑話休題。
わたしは米国株式 VS.全世界株式
米国株式 VS. 先進国株式全般 という、
対立軸的な捉え方に、
ほとほと辟易しております(笑)
例えばあなたは、
日本は東京を含んでいますから、
『どっちが良いの?』という聞き方より、
日本にしますか、
それともより絞り込んで東京都に投資しますか?
という設問のほうが
すんなりくると思います。
それと同様、
「先進国株式」と「米国株式」どっちが良いの?ではなく、
それとも絞り込んで米国株式にしますか?
という聞き方のほうがナチュラルでは?
2月末現在、
MSCIワールド・インデックスの68.5%は米国株式なのです。
画像元:MSCI
ただ、先進国株式全般にしますか、
それとも絞り込んで米国株式にしますか・・? と聞かれても、
アメリカ株式が
先進国株式全般の68%以上を占めるわけですから、
どちらを選んでも(まあ)そんなに大差はないわけです(^^)
あえて国の分散を図るのか、図らないのか、という違いがあるだけ・・。
なにもわたしは、
先進国株式全般、全世界株式という投資対象を積極的に好むわけではありません。
今、実際に『戦争』というまさかの事態が起こり、
もしかすると戦争による人的被害よりも、
経済制裁を引き金とするグローバルな経済的損失のほうが大きくなって、
どこの国・地域に
どの程度の影響を及ぼすか分からない状況では、
もう本当にシンプルに、「銘柄の分散」を徹底して行うのと同様、「国・地域の分散」も(しないよりは)絶対したほうがいいよねという、私なりの帰結なのです。
以前のツイートです。
もしも日本 = 全世界株式だったら、
— カン・チュンド (インデックス投資アドバイザー) (@4649kang) November 26, 2021
わたしの中ではこんなイメージです。
東京23 区 S&P500
東京都 全米株式
先進国株式 四大都市圏
全世界株式 日本
わたしはとりあえず先進国株式以上に分散する派です🙂
繰り返しですが、仮に日本全国に投資しても、
東京にも丸ごと投資するわけですよ。。
〇 関連記事
『アメリカ株式を選ぶべき(それとも)全世界株式を選ぶべき?』
カテゴリ:インデックス投資全般