投資の発想法, 投資家の感情リスク

市場はあなたの思惑を超えて動くもの?(WSJの記事『相場波乱でも「ミスター・マーケット」に惑わされるな』より)

2022年2月12日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

株式市場とは?
株式のマーケットのことです。

そこには「ミスター・マーケット」なるものがひっそり君臨している?

ミスター・マーケット
いったいどんな顔をしているのでしょう?

・・誰も見たことがありません。

 

どんな視線で物事を見渡し、どんな声を発するのか。
・・誰にも分かりません。

その存在はあまりにも巨大で、
複雑で、捉えどころがありません。

 

ところが、Mr.Marketの『七変化』のひとつなのでしょう・・、

『それ』は不意にあなたの傍にやって来て、
わざとその心情をこぼして垣間見せて、

一度や二度は、

 

あなたが
「ミスター・マーケット」の動きを言い当てた!と信じ込ませることまですることがあります。

 

 

 

こわーぃ。

狡猾(悪賢い)という言葉がぴったりです。

 

3年近く前の記事ですが、
ウォール・ストリート・ジャーナルに興味深い記事があります。

相場波乱でも「ミスター・マーケット」に惑わされるな

 

ちょっと引用してみましょう。

 

2009年3月、
米株式市場は過去1年に4割近く下落していた。

 

しかしイエール大学の調査によると、
8割以上の個人・機関投資家は、
株式市場がその後の半年間に、急落する可能性が極めて高いと予想した。

 

(実際には32%の値上がりで予想は外れた)。

 

 

長くマーケットと付き合っている人なら、
「分かるよ、その気持ち!」
と頷かれるのではないでしょうか。

 

実際、
2008年10月頃から2009年3月末くらいまでの、
まるで大きな地震が何度も続くような下落の連鎖は、

わたし自身も忘れようがない辛い経験でした。

今でも覚えていますが、

わたしが把握しただけでも、
2008年の年末までに
3名のお客様がリスク資産をすべて売却されてしまっていたのです・・。

 

この時期は、
下がり続けるという『トレンド』が市場を支配していました。

その場に、
あなたも居合わせていると想像してみてください。

 

ヒトはたとえば、
下落を続けているという「流れ」に悪い意味で適応してしまうものです。
その「流れ」が続くという刷り込みを
どこかで勝手に行ってしまっているのです。

 

まさに【慣性の法則】です。

 

実はこれは
急騰を続けるマーケットでも、まったく同じことが云えます。

 

2009年4月以降の反騰が、
どうして予測できなかったのか・・?

下落を続けていた「流れ」に対して、
突如、上昇し始めるというのは『突然変異』であったためです。

 

真逆のパターンを考えても、理屈は同じでしょう。

(上昇を続けていた「流れ」に対して、
突如、下落し始めるというのも、まさに『突然変異』なのです)

 

 

 

 

私たちは日頃の生活において、
今の現状を
そのまま維持しようという思いを強く持っています。

【慣性の法則】。

ここから方向を変える、
すなわち何かを止めたり、新たなコトを始めるには、大きなエネルギーが要るもの。

 

ただし資産運用においては、

(下落のトレンドから)
突如「上昇」に変わっても、

(上昇のトレンドから)
突如「下落」に移っても、

あなたは自分の『投資姿勢』を変える必要はありません。

 

 

 

 

長い投資生活の中で
『突然変異』が何度か不規則に起こることは、

すでに「ミスター・マーケット」のシナリオに織り込み済みなのですから・・。

(それが投資という行いの本質です。)

 

山崎元さんは次のようにおっしゃっていますよ。

 

相場の上げにも下げにも
全部付き合うというのが
ほったらかし投資の基本思想です。

 

まさに・・。

 

でもそうは言っても、
投資を始めてまだ日が浅い人は、昨日そして今日とまた「そわそわ」し始めているかもしれません。

 

ひとつだけしてはいけないこと。
それは「ミスター・マーケット」にお願いすることです。

 

 

来週はまた上がってくれますよね!(お願い。)

もっと下がり続けて、10ヵ月くらい低迷し続けて!その間に、うんと積立金額増やして底でたくさん買いますから!(お願い。) 

傾向として「ミスター・マーケット」はお願いされればされるほど、真逆の行動を取ったりします(><)

 

マーケットは、あなたやわたしの『思惑』を超えたところで動くものなのです。

 

最後に、
上記WSJ記事から引用しておきましょう。

 

1896年以降、ダウが1日で
2%以上下落したケースは1011回あった
(ダウ・ジョーンズ・マーケット・データ調べ)。

 

これは平均で33営業日に1回の割合だ。

 

歴史的な基準のみからしても、
現在のダウの水準では、
およそ6週間に一度は520ドル超下落することがあると
投資家は覚悟すべきだ。

 

ハイ、そんな感じで、
しょっちゅう下落するものなのです、株式市場って・・。

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