リスク許容度とは「心の許す度」と「数字の許す度」の合作です
2022年1月7日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
人の気持ちは、プラスにもマイナスにも敏感に反応します。
これって理屈ではありません。
たとえご資産が多く
経済的に余裕がある人でも、
最悪の1年に遭遇した場合、
資産の『マイナス幅』が
ごっ、ごっ、5%を超えるなんて、まったく許容できない!
という人もいます。
これって、
「気持ち的に許せない。」
⇒ これが【心の許す度】。
実は「リスク許容度」には
もうひとつあります。
それは【数字の許す度】です。
??
たとえば1000万円相当の
運用をしているあなたが、
最悪の1年に遭遇し
「10%のマイナス」となってしまいました。
1,000万円 ⇒ 900万円 です。
あなたは意気消沈し、
「もう自分の運用はダメだ・・」と思い詰めています。
明らかに限界を超えている様子・・。
しかし、
『数字の面』で冷静に俯瞰してみると、
別の景色が見えてきます。
実はあなたは毎月6万円程度、コンスタントにお金が残せており、別途、保守的に見積もっても、年50万円程度のボーナス(ほぼ使わない)があります。
この二つを合わせると、
年間120万円程度は恒常的にお金が残る人、なのです。
投資成績になってしまいましたが、
今の生活を維持していれば
年間120万円程度、お金が残ります。
つまり?
あなたの運用状況を眺めれば、
十分『許容できる範囲内』なのです。
実は資産運用の世界でしばしば語られる
「リスク許容度」とは、
【心で感じるリスクを許す度】と
【数字から見たリスクを許す度】の合作なのです。
以下、
こんなふうに想像してみてください・・。
あなたと、同じ年齢で、
同じ職種で
同じ手取り収入で、
その他諸条件もまったく同じ「サトウさん」がいるとしましょう。
唯一の違いは
それぞれの『お金の残り方』です。
サトウさん・・年間24万円程度。
【数字上のリスクを許す度】では、
サトウさんより、
あなたのほうが「許容度」が高いと云えます。なぜなら毎年残るお金が多いからです。
では、
あなたとサトウさんが
同年齢、同職種、同じ収入、
お金の残り方も同じとしましょう。
サトウさん・・子どもが3人います。
(配偶者は働いていません)
どちらのほうが
『数字上のリスクを許す度』は高いですか?
4800万円のローンを組んで
都心にマンションを買いました。
その他条件がすべて同じとすれば、どちらのほうが『リスク許容度』は高いですか?
あなたとサトウさん、
お勤めの職種が違うとしましょう。
営業利益がここ10年純増。
市場寡占率が高いです)
業界の競争が激しくリストラの可能性も・・。
その他条件がすべて同じとすれば、
どちらのほうが
『リスク許容度』は高いですか?
ご両親はすでに他界されています。
(おまけにサトウさんは一人っ子です)
その他条件がすべて同じとすれば、どちらのほうが『リスク許容度』は高い?
このように
あなたというお人の『経済的状況』は
横断的に診て、
評価されるべきものなのです。
カウンセリングの現場で
しばしば投資と直接関係ない『設問』が為されるのは、
あなたの、心と数字のリスク許容度を
深く知ろうとする試みに他ならないのです・・。
カテゴリ:投資家の感情リスク