投資の発想法

新橋に行ったら、寄ってみてください(投資の原点について)その1

2022年1月2日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

1872年(明治5年)に
日本初の鉄道が新橋―横浜間で開通しました。

これは歴史の教科書に載っていますね。

でも、大事なことが「抜けている」と思いませんか?

 

いったい『お金』をどうしたのか。
鉄道敷設事業の資金はどうやって調達したのでしょう?

 

当時はまだ、
明治政府になりたての頃で「お金」なんてありません。

ここに投資の原点があります・・。

 

実は明治政府は『国債』を発行し、
鉄道敷設の資金を調達しました。

 

イギリスのヘンリー・シュローダー商会(現:シュローダー・グループ)が主幹事となって、1870年(明治3年)、九分の利付きで100万ポンド分の日本国債が発行されました。
(この国債はロンドン証券取引所で『公募』されました)

 

 

日本初の国債は
外貨建て(英ポンド建て)だったのです。

 

 

1870年の日本国債の目論見書

画像元:シュローダー・グループ

 

日本から遥か1万キロ離れた
イギリスという国の数多の投資家が、

「債券」という金融商品を通じて
リスクマネーを貸与しました。

だからこそ、
鉄道建設は可能になったわけです。

 

 

ところで、九分の利息とは「9%」。

当時の日本は「超」が付く新興国であり、
物価上昇率を鑑みても妥当な利率だったのではないでしょうか。

債券という商品ではありますが、
投資家は立派にリスクを負います。

まだ新生日本に成りたての頃で
「デフォルトリスク」が少なからずあったためです。

 

 

 

 

新政府樹立から3年足らずの国の債券を、
(9%の利息が付くとはいえ、)あなたなら買えますか?

 

 

名前も顔も知らない
どこかの国の、
だれかのリスクマネーが、

名前も顔も知らない
どこかの人や会社の『未来』を拓いている・・

これが投資の原点なのです。

 

 

 

今日もあなたは、自身のお金を増やすために、
投資に勤しんでいることでしょう。

今年(22年)も去年と同じように
粛々とつみたて投資をしようと意気込んでいるはずです。

でも、その気持ちは、
「投資という行為」のほんの一部を表しているに過ぎません。

 

鉄道の話に戻りますと、

明治初期、多くの日本人には
この文明の利器(鉄道)が正しく理解されていませんでした。

鉄道敷設に対しても『反対』の連呼であり、
なかなか土地の確保ができなかったのだそう。

(なにか得体の知れない鉄の塊が、大轟音と煤煙をまき散らしながら、日常生活を驚かすといったイメージだったのでしょうか?)

 

 

 

 

たとえば、JR新宿駅は
本当は今の伊勢丹がある辺り(新宿三丁目)を予定していたものの、土地の買収が進まず、今の場所に落ち着いたのだとか。

 

あるいは、
わたしはかつて東京の田町に住んでいましたが、

今の田町から品川にかけても(土地の確保ができず、)

鉄道は仕方なく
陸ではなく海上にレールを敷いて、
工事が進められたのだそう。

 

 

 

上がそれを示した錦絵です。
(現在の高輪付近を描いています。)

画像元:三井住友トラスト不動産

 

 

株式であれ、債券であれ、投資の本質は、

より豊かになりたいと願う人そして会社が
『リスクマネー』を欲する、

その気持ちに応じる
『リスクテイカー』としての、意気の表れ、なのです。

 

こんな書き方をするとなんだか浪花節みたいですが、
でも投資の奥底に流れるマインドは、浪花節そのもの。

 

意気を感じ、
そこに可能性(ポテンシャル)を感じ、
あなた自身に興味が募って、
さまざまな不確実性も承知のうえで『それ』にお金を託すことで、もしかすると未来のあり様が大きく変わるかも・・・(なんだか面白そう)
このワクワク感の発露がないと、
保証のないお金なんてしょせん託せないのではないでしょうか・・?
(これはインデックス投資も同じです。)

 

 

実際、日本では鉄道敷設によって
延べにして億、兆という人々が行き交い、
さまざまな物資が全国縦横無尽に輸送され、

今日の高度資本主義社会の礎となったのです。

続く・・)

カテゴリ:投資の発想法

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