SPYの経費率が下がらない理由
2021年12月28日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
ある時、個別相談でお客様からこんな質問をいただきました。
S&P500指数に連動する米国ETFのうち、
どうしてSPYだけが他の2本に比べ継続コストが高めなのですか?」
なかなか鋭い質問です!
SPY
『スパイダー S&P 500 ETF Trust』はアメリカ初のETF。
文字通り、ETFの歴史はここから始まったわけです。
かつては世界中のETFの中で
もっとも純資産額が大きいETFとして知られていました。
i シェアーズのIVV、
バンガードのVOOは
ともに年間経費率 0.03%なので、コスト高感は否めません。
わたしは指数算出会社である
「S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社」に支払う、
『指数の使用料』が足かせになって経費率がなかなか下がらないのだと推察します。
インデックスファンドもETFも、
特定の指数との連動を目指す商品であるため、
指数を算出する会社に
「ライセンス料」を支払う必要があります。
「1本のETFあたりいくら?」という『金額ベース』にはなっていません。
SPYの【目論見書】(Prospectus)を見てみましょう。
当該ETF支払う指数使用料(S&P License Fee)は、
0.0302%となっています。
かっこ書きのところでご丁寧に、
『毎年、あなたの運用資産残高に対してあなたが支払う費用です。』と説明されています。
ざっくりですが、SPYの純資産残高を4000億ドルとして、
その0.03%とは・・?
(ナント)年1.2億ドルにもなります!
この『固定経費』がSPYの運営上、
重たくのしかかっているのでは・・?
実はインデックスファンド、ETFにとって
『指数の使用料』が負担となっており、
たとえばバンガード社は2012年から、
インデックスファンド、ETFに採用する『指数』をMSCIからFTSEやCRSPに変更し始めました。
(コストを軽減するためですね。)
Solactiveやモーニングスターは
より利用料が安い『指数』を提供しています。
中には運用会社自らが「自前の指数」を組成したりもしています。
(たとえばWisdomTree Investmentsなど。)
そう、
たとえば、ですが、
三菱UFJ国際投信も自前で『指数』を組成すれば、
Slimシリーズの年間コストは
さらに下げられる余地が生まれるかもしれません。
〇 こんな記事も書いています。
『インデックス・ファンドの難敵、それは指数使用料(ライセンスフィー)です』
カテゴリ:指数のお話