指数のお話

インデックス・ファンドの難敵、それは指数使用料(ライセンスフィー)です

2020年5月13日


こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。 

インデックス・ファンドを運用する現場は、
私たちのイメージよりずっと「地味」です。

まるで時計職人さんのように
きめ細かい作業がいくつもこなされています。

すべてはより低コストにかつ、
(より効率的に)指数との連動を目指すためですね。

〇 たとえば、株式を売り買いすればするほど、
売買委託手数料がかさむため、
なるだけ売買の頻度を下げる。

 

〇 売買を発注する際に、
複数の証券会社に相見積もりを出して、
最良執行を心がける。

 

〇 また、海外株式の場合は
(売り買いに)有価証券取引税がかかる場合もあるため、
あえて「現物」の株式を保有せず、「先物」を利用したりする。

 

 

私たちは毎年『運用管理費用』なるコストを支払っていますが、
インデックス・ファンドではその他、
売買委託手数料、有価証券取引税などの『費用』もかかってきます。

さまざまな費用の中で
インデックス・ファンドにとって意外な難敵が、
指数使用料(ライセンスフィー)なのです。

 




実は運用会社は、
日経平均株価やS&P500指数など、
『指数を算出している会社』に対して、

指数の使用料を継続的に支払う必要があります。

あっ、もちろん↑このコストも
最終的にファンド保有者が負担しているのですよ!


では、この指数使用料は一体どのくらいかかるのか?

あなたやわたしのような
インデックス投資家にとって重要な事柄なのですが、
(実は)ベールに包まれています・・。






こちらの週刊ダイヤモンドの記事によりますと、
ある運用会社の例では、
「商標利用料」が資産残高の0.01~0.03%にもなっているのだそう。

また指数使用料(ライセンスフィー)は
運用会社と指数算出会社の間で「契約」ごとに異なっています。

(おそらくは「秘密保持契約」で口外することも禁止されている?)
なんとも前近代的な仕様だと思いませんか・・?


具体例を挙げてみましょう。

『スパイダー S&P 500 ETF』(SPY)の年間経費率は0.0945%ですが、
同ETFが支払う指数使用料(S&P License Fee)は、
資産残高の0.0302%にもなります!




画像元:SPY「Prospectus」(目論見書)


これだと経費率もなかなか下げられませんね。

実際、インデックス運用を行う運用会社にとって
この指数使用料(ライセンスフィー)は足かせとなっており、

たとえばバンガード社は2012年から、
ETFに採用する「指数」をMSCIから
FTSEやCRSPに変更し始めました。

Solactiveやモーニングスターといった、
より利用料が安い指数を採用する運用会社も出始めています。

また一部ETFでは、運用会社自ら
「指数」を組成する動きも見られます。

あるいは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)では、
指数ライセンス料を直接指数算出会社に支払う取り組みをすでに始めています。

参照資料:GPIFワーキングペーパー
パッシブ運用の機能分化と付加価値向上策」(PDF)

 

わたしは黒いベールに包まれた
「指数使用料」という聖域をなくすべきと考えます。

 

 

なにも特別なことではなく、

指数算出会社に支払っている『フィー』を、
個別のETF、インデックス・ファンドごとでファンド保有者にしっかり『情報開示』する。

そうすれば、
運用会社さんも相互比較が容易になり、
指数算出会社との「フィー交渉」もしやすくなるはずです。

それは最終的にさらなる継続コストの低下という形で
ファンド保有者に恩恵をもたらすことでしょう・・。


ちなみに日経平均株価の指数算出会社は
日本経済新聞社です。

日経新聞が自ら課している指数使用料を開示し、
それを御紙の記事とすれば、
賢明な姿勢として評価されることは間違いありません。


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