最後の最後、引き出すことを強制されるiDeCoと、フリーハンドのつみたてNISAの違いとは?
2021年12月7日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
iDeCoもつみたてNISAも
根底の思想は同じです。
長期で積み立てる。
でもiDeCoは「年金制度」なので、
最後の最後、
お金を引き出す際の『間口の広さ』が(つみたてNISAとは)異なります。
結論を先に言いましょう。
ちょっと【寄り道】していいですか?
岩崎淳子さんのブログ
「Smart & Responsible」を見て、なるほど・・と思いました。
RMDって何かというと、
Required Minimum Distributionの略。
アメリカの確定拠出年金、
401(k)プランでは、
最低限、義務付けられたお金を引き出さないといけません。
この
「引き出さないといけない最低限のお金」のことをRMDと言います。
具体的には、
「70歳半」になった年の翌年の4月1日までに
401(k)プランから
義務付けられた最低限のお金を引き出さないと、
『手痛いペナルティ』が待っています。
ペナルティ?
はい。こちらの該当記事は
【RMDを知る(2)】になります。
正しいRMDを引き出さなかった場合は、
引き出すべきであったのに
引き出されなかった額の50%が
ペナルティとして没収されます。
数ある税ペナルティのうちでも、
非常に高額のペナルティです。
RMDは必ず守るよう気構えが必要です。
半分(50%)が没収されるなんて
かなりキツい罰則ですね。
でも、これって、
ある意味理に適っているかもしれません。
なぜなら401(k)プランは
『年金制度』ですから・・。
主旨はこうです。
『税制優遇』を活用して、
自分の年金原資を有利に増やしてきましたよね。
『使っていく』のは強制です。
そのお金が次の世代へ引き継がれたりしちゃうと、
制度の本筋からまったく外れてしまいますよね。
ということなのです・・。
なので?
なので日本の
iDeCo(個人型確定拠出年金)においても、
最後の最後には、
お金は・強制的に引き出されてしまいます。
ハイ、実は2022年はiDeCoの大改正が控えています。
これまでiDeCoの受給開始年齢は
60歳~69歳でしたが、
iDeCoの受取り開始年齢が60歳~74歳に繰り延べされます。
〇 年金形式の場合は74歳中に『受給』を開始する
フム。
人生100年時代に合わせてきていますね。
「もしもiDeCoで給付の請求をせずに、
75歳になっちゃったらどうなるの?」
あっ、はい、
ここはちょっと堅苦しくなりますが、
確定拠出年金法の第三十四条を
覗いてみましょう。
(熟語アレルギーの人はスルーして(^^;
(七十歳到達時の支給)
第三十四条企業型年金加入者であった者
(当該企業型年金に個人別管理資産がある者に限る。)が
前条の規定により
老齢給付金の支給を請求することなく
七十歳に達したときは、
資産管理機関は、その者に、
企業型記録関連運営管理機関等の裁定に基づいて、
老齢給付金を支給する。
※ 条文では企業型年金とありますが、
個人型確定拠出年金も同様と思われます。
これってつまり?
つまり、給付の請求もせずに、
(法改正後は)75歳になってしまったら、一時金の形で(強制的に)受給させます。という意味です。
まあ「年金制度」ですから、当然ですね。
【閑話休題・・】
じゃあ「つみたてNISA」ってどうなのでしょう?
つみたてNISAではふつう、
非課税期間20年の中で
投資信託を解約しようとするでしょう。
でも、非課税期間内にお金を引き出して、
それを使う必要性が低い人もいるかもしれません。
そのような場合は、
投資信託を解約せず持ち続けるわけですが、
非課税期間20年のあとも(もし)ファンドを持ち続けると、ファンドは『特定口座(課税口座)』に払い出され、
そのまま運用を続けることが可能です。
YESです(^^)
一般NISAも、つみたてNISAも、実は通常の口座(特定口座)のインフラの上に、期間限定で特別に設置された口座と解釈できます。
通常の口座(特定口座)に戻るだけ・・と解釈してください。
以下、具体的なイメージです。
2022年に「つみたてNISA」に入れた40万円が、
20年満期の
2041年末に75万円になっていて、
それが特定口座(課税口座)に払い出されると、
75万円がファンドの取得価格と見なされ、
月日が経って
2059年に110万円になったときにファンドを売却すれば、
「110万円-75万円」が
「利益」と見なされることになります。
iDeCoの場合、あなたの私的年金ですから、
『次の世代』に引き継ぐことは出来ません。
この点、
つまり最後の最後の「出口」のところでは、
iDeCoとつみたてNISAは
まったく主旨が違う制度と云えるのです・・。
カテゴリ:NISA活用法, 確定拠出年金(iDeCo・企業型)