投資家の感情リスク

「A」と「B」のつなぎ合わせの間違いのことを、勘違いと云います(マネー編)

2021年11月26日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

勘違いは誰にでもあります。

ある「コト」と別の「コト」の
つなぎ合わせ方がちょっと間違っているのです。

たとえば・・

 

住宅ローン控除が縮小される見通しだから、
「早く家を買ったほうがいいよ。」

 

この言葉をあなたはどう思いますか?

「コト」と「コト」のつなぎ方がちょっとヘンだと思いませんか?

 

・住宅ローン控除「縮小」

・住宅を早く買う

住宅を買うことは人生の大きな「買い物」です。
紛れもなく『メイン』のイベント。

でも、住宅ローン控除は
『メイン』に付随する『おまけ』ですよね?

 

『おまけ』の良し・悪しで
『メインの買い物』を決めてしまっていいのでしょうか?

 

 

仮に住宅ローン控除が縮小され、
あなたの納税額からの「税額控除」が小さくなったとしても、

ライフプランに鑑み、「家」を保有することに有形無形の価値を感じる人は(やっぱり)「家」を買うわけです。
(より重要なことは不動産そのものの選別、そして無理のない返済計画であったりします。)

 

逆に、今より住宅ローン控除が拡充されても、
たとえば『金利負担』がローン終了までゼロになったとしても、自身のライフプラン上、マイホームを買う必要を感じない人は「家」を買わないわけです。

 


 

過去のカウンセリングではこんなこともありました。

 

『今、豪ドル建て終身保険を解約すると約40万円のマイナスです。「支払った保険料」と「戻ってくるお金」がトントンになるまであと4年ほどなので、あと4年だけこの保険に加入します。』

 

あと4年だけ・・?

 

ということは、
この「豪ドル建て終身保険」という商品が、あなたに必要ないと判断されているわけですね。

先ほどの「家」の例では、

マイホームの『ニーズ』あり → だから「家」を買う
スマホの『ニーズ』あり → 「iPhone」を買う

 

「豪ドル建て終身保険」という商品の『ニーズ』がない
→ でもその商品を持ち続ける。

 

んー「コト」と「コト」のつなぎ方としてヘンではないですか?

 

 

もしかすると、あなたのやるせない気持ちが、
ヘンな『つなぎ合わせ方』を強化してしまっているかもしれません。

~損失(40万円のマイナス)を抱えたまま、
この商品とサヨナラするなんて許しがたい。~ という気持ちです。

 

仮に、この保険商品を売ったあと、
あらゆる金融商品との付き合いが終わってしまうなら、それこそ悔しさ100倍だと思います。

 

でも、ちょっと待ってください。

 

 

スマホでも「iPhone」が気に入らなければ、
「Google Pixel」に乗り換えたりしますよね。

たとえば「豪ドル建て終身保険」から、
あなたのニーズに合った金融商品に乗り換えると考えれば、いかがでしょうか?

 

仮に今、月2万円保険料を払っているとしましょう。
このまま同保険に4年間入り続けると、
計96万円掛け金を支払うことになります。

(実際の支払いは豪ドル建てなので保険料は変動します)

スマホの場合、
「iPhone」が気に入らないのに、
4年(48ヵ月)も我慢しないはず・・。

 

「豪ドル建て終身保険」ではなく、
もしも「8資産均等型ファンド(投資信託)」のほうがあなたのニーズに合致しているとすれば、

今すぐ乗り換えたほうがいいでしょう。

 

 

理由はふたつです。

 

1.「8資産均等型ファンド」は投資商品ですから、
早く乗り換えれば、
それだけ『長い運用期間』を獲得できます。
2.もし今乗り換えることができえば、
4年分の掛け金(計96万円)を
ファンドのほうに積み増すことが出来ます。

 

マラソンでたとえれば、
今までの「遅れ」を気にするよりも、
これから先いかに「早く走れるか」に注力したほうが利口だと思いませんか?

過去は変えられませんが、未来は変えられるわけです。

 

最後に、住宅ローンのTips。

 

シンプルな住宅ローン商品より少し金利は高くなるが、「8大疾病保障付き住宅ローン」はどうでしょうか?

 

と、カウンセリングでご質問をいただきました。

 

 

 

その商品のキャッチには

~8大疾病と診断され、所定の条件を満たした場合、住宅ローンの残高が0円に。~ 

と謳われています。あなたはどう思われますか?

 

メインの「コト」・・住宅ローン

これはお金の貸し借りに係る商品です。
(いくら借ります、借入期間は何年、借入金利は・・%。支払う利息は・・円になります。)

 

この「コト」と、
「医療保障」という「コト」を
結び付けると話が歪曲してきませんか?

 

 

そもそも住宅ローンという商品を買う際に
「生命保険」の加入は義務付けられています。

ヘンな言い方ですが「死んでしまった場合」は生命保険でローンを返すわけです。

 

じゃあ「死なずに」病気とかケガでお仕事が長く出来なかったら・・、でも住宅ローンは返済しないといけないよ!!

 

そういうケースを想定されているなら、
(=そういうニーズがあるなら)

シンプルに『就業不能保険』を、別途買えばいいわけです。

 

ライフネット生命で見ましたら、
30歳(男性)標準的な設定で月2000円ほどの保険料ですよ。

 

そもそもこの「8大疾病保障付き住宅ローン」は、
「8大疾病保障」のコストを明示していません。⇒ 借り入れ金利に含んでしまっているわけです。

 

一例ですが、
4000万円の借り入れ金利「0.2%」は8万円にあたります。
そして、借り入れ金利(利息)とは、けっこう長ーく払い続けるコストなのです・・。

 

住宅ローン8大疾病保障、ふたつの機能が合わさってお得(安そう!)というのは、単なる思い込みに過ぎません。

くれぐれも注意しましょう。

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