終身保険はエッシャーの「だまし絵」のようなもの? その1)
2021年11月13日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
あなたの「つみたて投資」を邪魔しているのは、
もしかすると『終身保険』かもしれません。
『終身保険』・・。
この商品の感想でよく聞かれるのは、
「貯蓄」にもなるらしいよ!(=お金も増えるよ)というもの。
2つの機能が一つの商品の中に入っているなんて、
「なんか★お得感満載!」と、消費者としては感じてしまいますね。
まずは「死亡保障」です・・。
貯蓄にはなく、投資商品にもなく、
『保険』だけにあるもの。
それは 保障(補償)です。
保険という道具を買った次の日から、
「死亡保障1000万円」なら
ホントに1000万円の保障が付きます。
これはスゴイこと!
でも、です。
なぜなら、
あなたが支払う保険料の多くは
自分自身の積み立て(貯蓄性)に回っているためです。
※ココ、外貨建て終身保険の場合は、
あなたが支払う保険料の多くは
自分自身の積み立て投資に回っているためです。
とお読みください。
純粋に「死亡保障」のみを買うなら、
「収入保障保険」や「定期保険」のほうがコストはうんと安くなります。
飛魚入り中華そばを食べたいときのあなたを「分ける」ように、
保障(補償)を求めるあなたは、
『別々で』分けて考えたほうが良いというヒントが隠されています。
ちょっと図表を見てみましょう。
以下は1000万円の死亡保障がある『終身保険』です。
「青いところ」が自分自身の積み立て(貯蓄性)の部分なのですが、保険料の支払い期間が25年を過ぎてくると、
ちょっと不思議な現象が起こります。
保険会社に保障してもらうのではなく、
賄い始めることに気付くはずです。
ココ、伝わっていますか?
なるほど、
契約をしてまだ2、3年の頃は貯蓄性の機能はほとんど「ゼロ」です。
この終身保険の『効用』のほとんどは、
「死亡保障が1000万円得られること!」
⇒ まさにこれを
保険会社がサービスとして提供しているわけです。
あなたは収入が上がっても下がっても、
毎月まじめに「保険料」を支払い続けました。
ところが『終身保険』では、
保険料の支払期間が長くなればなるほど、
もはや死亡保障というサービスの多くの部分は、
保険会社が提供するのではなく、
長年積んだ「あなた自身の保険料」が担う状態になるのです。
たとえば、
86歳でこの世からサヨナラしたときに、
パートナーが死亡保険金1000万円を受け取ります。
あなたは棺桶の中で、
「ああ、オレはこの保険で1000万円の保障を準備できた。良かったな」と呟くかもしれませんが、
その1000万円のお金は(実は)
あなた自身の保険料で積み上げて、
(そして保険会社さんが規定に従って運用をしてくれて、)
『1000万円』になっているだけで、
別に「死亡保障のサービス」を受け取ったわけではないのです。
ココ、伝わっていますか?
もう、あなたもお気づきかもしれませんが、
『終身保険』のウリは、
「死亡保障」と「貯蓄性」という、2つの機能が一つの商品に入っている。というモノなのですが、
「死亡保障」と「投資性」は多くの部分で重なっている、とお読みください。
んー、まるで
エッシャーの「だまし絵」のよう。
続く・・)
カテゴリ:投資の発想法