退職金、どう用いる?(運用状況による3つのパターンについて)
2021年10月29日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
退職金は、
長年働かれたあなたへのご褒美です。
これを目標にがんばってきたわけですから、退職金の受取りはひとつの達成感につながります。
でも、
所詮?
『給与の後払い』なのです。
なにも特別なお金ではなく、
いつももらってきた『給与の大きいバージョン』に過ぎません。
この退職金を、
あなたの資産管理に「どう用いるのか?」は、あなたの運用状況によって大きく3つに分かれます。
退職金(受け取り)→ セカンドライフのスタートとすると、(セカンドライフでは)現役時代と比べて、リスクに対する【感応度】が違ってくる可能性が高いでしょう。
仮に株式ファンドが「25%下落した!」としても、
50歳でバリバリ働いているときと、68歳で悠々自適に過ごしているときでは、その『感じ方』が異なります。
それを運用しながら『取り崩す』生活になるわけですから、
大きく冒険するのではなく、
適度にリスクテイクし、
適度に安全性を確保する、
ちょっと「緩めの姿勢」が求められます。
ただ「緩めの姿勢」と云っても、
安全資産(預金):リスク資産(投信)= 80:20 くらいにするわけではありません。
人生時間は年々長くなっていますから、
『リスクをある程度取る、そして取り続ける』という姿勢を堅持しないと、長い目で見て資産を守り切れなくなってしまいますから。
当クリニックが推奨するのは
安全資産(預金):リスク資産(投信)= 50:50 です。
リスク資産5000万円程度で運用を積極的に行ってきた横山さん(仮名)
このたび退職金2000万円を受け取られます。
横山さんの場合、
退職金はすべて「安全資産」として確保でよいと思います。
それにプラスして、
リスク資産を1000万円分『解約』をすれば、
リスク資産 4000万円
悪くないバランスです。
(実際はリスク資産売却分に税金がかかるため、
より50:50に近いイメージになるでしょう)
セカンドライフは
なかなか終わらない歌と同じで、
「もうそろそろかな・・」と思っても、そこから13年くらい生きちゃったりもします。
あなたの印象よりもうんと長いのです。
だからこそ、アクセルを緩めて、
しかし、ある程度のスピードは出し続けて、
投資という名のクルマに『乗り続ける覚悟』が必要です。
安全資産(預金):リスク資産(投信)= 50:50 は、
「キープ」し続ける前提です。
「セカンドライフってそこそこリスク取っていくんだ」という印象になりませんか?
(※セカンドライフの期間は下手をすると、
積み立てをしてきた期間よりも長くなる可能性があります。)
安全資産:リスク資産 = 50:50 を維持してきた人
具体例)今度は加藤さん(仮名)としましょう。
同じように退職金2000万円が入ってきます。
ずっと
安全資産(預金):リスク資産(投信)= 50:50 を維持してきた加藤さんですから、退職金も、半分は預金に、半分は投資信託の買い付けに回すことになります。
ココが、難しいのかも・・。
退職金は、
会社を一度退職する時にしか受け取れません。
エイヤーと「一度に」1000万円分投資信託を買うにはちょっと勇気が要ります(というか、大きなストレスを伴う可能性が大です。)
ということは?
ハイ、賛成です。
50ヵ月とはおよそ4年ですから、
60歳で退職金を受け取って、
仮に再雇用(嘱託)で65歳まで働くという場合、4年ほどかけての「拡大つみたて」は理に適っています。
もしも働かない場合は?
1000万円分一括でファンドを買い付けるのも「アリ」だと思います。
「えっ、大丈夫なの?」と思われるかもしれませんが、
加藤さんの例の場合、
預金(安全資産)も1000万円分、積み増すわけです。
つまり、退職金の半分を預金に預け、
もう半分で投資信託を買い付けても、
預金:投資信託 = 50:50 は堅持するわけです。
(相対的に見た「リスク量」は変わりません)
さて、
ほんとうの資産管理はここからが「スタート」です。
毎年、預金:投資信託 = 50:50 をキープするよう、
生活費として『足りないお金』を、
預金からも、
投資信託からも
バランスよく取り崩します。
それを毎年、継続します。
これが本当の『メンテナンス作業』です。
(間違っても預金からばかりお金を取り崩すことがないよう。逆に投資信託ばかり解約するのもNGです。)
3.退職金受取時に負債がある人。
住宅ローン等が残っている場合は、
まずは退職金を用いて負債をゼロにしましょう。
そして残ったお金を
自身で納得がいく、預金(安全資産):投資信託(リスク資産)の『割合』になるよう、預金を積み増し、投資信託も購入していきます。
蛇足ですが、
住宅ローンを消す方法はもうひとつあります。
それは「家の住み替え」を行うことです。
退職を機に、
よりコンパクトな(たとえば)中古マンションに買い換えることで、資金が生まれる可能性があります。
リフォームが必要ならそれに用いてもよいですし、資金が余れば、退職金と同様、預金、投資信託に振り分けていきます。
くれぐれも退職金を『特別なお金』だと思い過ぎないように・・。
カテゴリ:ポートフォリオ運用