チャールズシュワブのロボアド運用「ゼロ%」手数料で逆に損失?
2021年10月28日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
インデックス投資は手動で
自ら資産管理を行うイメージがあります。
が、資産配分からリ・バランス、
資産のメンテナンスに至るまで
「すべて」をお任せできるのがロボアドバイザー運用です。
(立派なインデックス投資のひとつです。)
〇 手数料は預けている資産の時価に対して「パーセント」で支払うこと。
ロボアドバイザー運用は
日本ではウェルスナビが有名ですが、
元祖は米国です。
たとえばWealthfrontも、
手数料率は年0.25%です。
(別途、保有するETFの年間経費がかかります)
実はバンガード社も「Digital Advisor」というサービス名で、完全オンラインのロボアドバイザー運用に参入しています。
手数料率は年0.15%です。
さらに驚くべきことに、
手数料「0%」でロボアドバイザー運用を行うのが
大手オンライン証券チャールズシュワブの
Schwab Intelligent Portfolios(SIA)です。
でも、
ゼロ%(無料)って・・。
わたしは、
Smart&Responsibleの記事
『ただより高いものはない:Schwab のロボアドバイザー』で知りました。
Schwab Intelligent Portfolio(SIA)について、連邦政府からのペナルティチャージが課せられる可能性があり、そのために$200ミリオンを計上することを発表しました。
そうなのですね・・。
($200ミリオンとは2億ドルのこと。)
7月分になりますが、
米国CNBCにも記事があります。
SEC(米国証券取引委員会)が
チャールズシュワブのロボアドサービスの「情報開示」について調査していたのですね。
では何が問題だったのでしょう?
Smart&Responsibleの記事はこう伝えています。
たとえば、上のポートフォリオは
SIPが低リスク志向のリタイヤメント投資者
(リタイヤメントまで25年ある人)にアドバイスするポートフォリオですが、
なんと、10.5%が現金に回っています。
25年以上の投資期間があるのに、
10%以上も現金に割り振るのはちょっとありえない設定です。
フム。
現金比率がそこそこ高いわけですね。
ちょっと「寄り道」をさせてください。
そもそもチャールズシュワブは2019年に、
米国株式、ETFなどの売買委託手数料を「ゼロ」にするという英断を下しました。
ではなぜ、そんなことが出来たのか?
シュワブは株式の売り買いの手数料で稼ぐ時代をとっくの昔に卒業していたためです。
既存の大手金融機関に匹敵する
預かり資産残高をすでに獲得しています。
そこから得られる『金利収入』だけでも膨大ですが、その他、RIA(登録投資アドバイザー)にバックオフィス機能を貸与したりもしています。
つまり、
今回のロボアドサービス
Schwab Intelligent Portfolios(SIA)も、
多くの顧客から莫大な資金を集めることで、
しかしそれは、
フィデューシャリー・デューティー
(顧客の利益を最優先する義務)に違反します。
Smart&Responsibleの記事によると、
Schwab Intelligent Portfolios(SIA)を利用する顧客から『集団訴訟』も起こされているのだそう。
ある試算では、もしもSIPが
0.30%のロボアド料金を課したうえで、
多すぎた現金割り振り分を投資に回していたらば、
顧客は$531ミリオン相当を得ることができており、
それは平均的に顧客の利回りを2%上げる計算だというからびっくりです。
ホントにびっくりです!
誤解がないように申し上げると、
低コストのロボアドバイザー運用は個人投資家にとって有用であります。
米国の大手運用会社いずれを見ても、
それは、金融サービス業として自然な姿であり、
手数料ゼロの桃源郷(リスクなし)などあり得ないのです。
〇 こんな記事も書いています。
【ウェルスフロントの手数料0.25%を見ると、やっぱりウェルスナビの手数料1.0%は高いと感じます】
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