投資の発想法

イタリアに住むなら通貨を買うより債券を買ったほうが良さそう・・(投資対象として「外貨預金」も「FX」も特に必要ありません)

2021年10月13日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

北野武 著『全思考』という本の中に、
こんな文章が載っています。

 

ある山の麓で
おじいさんと孫が
山鳩の雛を育てていた。

 

その山の反対側に
別のおじいさんと孫がいて
こっちは鷹の雛を育てていた。

 

それぞれの雛が成長して飛べるようになったんで、
ある日、空に放してやった。

 

 

そしたら、
鷹が山鳩を食べてしまった。

 

山のこっち側では、
山鳩が喰われたって泣いた。

 

向こう側では、
鷹がはじめて餌を獲ったって喜んだ。

 

たったひとつの出来事も、
見る人の視点によって真逆に、
具体的には「喜び」と「悲しみ」に別れることがあります。

 

 

 

 

株式市場というところはどうでしょう?

 

〇 株式マーケットは「変化」を売りモノに
「利益」と「損失」というプレゼントが用意されている舞台です。

 

「株式市場の下落」は
ロング(買い持ち)している人にとっては損失ですが、

ショート(売り建て)している人にとっては利益です。

ごく短いスパンで見れば、
ロングする人も、ショートする人も勝率は五分五分に見えますが、

長期で見ると景色は違ってきます。

 

 

「株式市場」が長いスパンで見れば、
右肩上がりで上昇してきたため、
『売り建て(ショート)』を続けた人は、
とっくの昔に一文無しになっているためです。

 

 

では、同じ市場でも
「通貨の世界」はどうでしょう?

 

外為マーケットでは低コストで通貨の売買が可能です。

ロング(買い持ち)も
ショート(売り建て)も自由自在です。

たとえば短期的に見た場合、

米ドルを買い持ちする人も、
米ドルを売り建てる人も、
勝率は五分五分のはずです。

そして長期的に見ても、(やはり)勝率は五分五分なのです。

 

 

通貨の世界も株式と同様
「変化」を売りモノにしますが、
株式と違って
『自律的にその価値が育っていく』ということがありません。

 

Aという通貨が高くなれば
その分、Cという通貨が安くなる。

その価値の上下は相対的であり、
通貨の価値全体が、膨らんでいくことは残念ながらありません。

 

 

 

ヘンな日本語になりますが、

 

〇 主要10か国の通貨がすべて高くなっています!

 

というニュースが流れることは起き得ないのです。

 

 

いっぽう株式は、長期ではそのパイの大きさが着実に大きくなっている(成長している)のが、通貨と異なる点でしょう。

インデックスファンドを買い続けていれば、
田中さんと佐藤さんが「利益」を奪い合うことなく、
ともに「プラスの収益」を目指すことが可能になります。

 

ちなみに、FX取引の4割以上を日本人が占めると言いますが、

リスク資産の運用歴が長い、
欧米の個人投資家がそれほど
思ったほど「外国通貨」に投資していないのはなぜでしょうか?

 

それは・・
「通貨を買う」ことを、
そもそも投資と見なしていないためです。

 

 

 

 

ちょっとこんな想像をしてみてください。

あなたはイタリアで美味しいものを食べるのが大好き!
もう4回くらいイタリアに旅行しています。
その際、ユーロという通貨が必要ですね。←これは投資ではありません。

 

 

(もしも)イタリアに住むことになったらどうでしょう?

 

5年、10年と住み続けるなら、
あなたは生活で必要なユーロ(通貨)以外に、
ユーロ建ての『国債』を買うかもしれません。←これは投資です。

 

 

 

 

なぜなら、
ユーロという通貨をただ持つだけより(=預金するのみより)
債券を買ったほうが期待リターンが高くなるためです。

 

そしてイタリアにハマったあなたは、
15年超かの地に住むことになりました。

そのときには
あなたは現地のネット証券を開いて、
ユーロ建てで全世界株式ETFを積み立てているかもしれませんね。

 

「外貨預金」や「FX」では、
収益のパイが成長していくことはありません。

それなら外貨建ての債券や株式を買ったほうが良さそうです。

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