確定拠出年金(iDeCo・企業型)

マッチング拠出するか、来年の10月を待ってiDeCo(イデコ)を選ぶか?

2021年9月13日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者がずいぶん増えました。

が、そのうち「マッチング拠出」を導入する企業は、
まだ少ないと感じています。

「マッチング拠出って?」

 

企業型DCでは会社が『掛け金』を拠出しますが、
加入者であるあなたも『掛け金』を出していいよ、という制度のこと。

 

あなたが出す『掛け金』は所得控除できますから、
節税効果が生まれます。
(もちろん「つみたて金額」が増えるというメリットが一番大きいです)

 

少し前の『投資の三重奏セミナー』で
以下のような「質問」をいただきました。

 

会社が企業型DCを導入しますが、
「マッチング拠出」をやったほうがいいのか、
来年の10月まで待って「iDeCo」(イデコ)に加入したほうがいいのか迷っています。

 

はい、高度な質問ですね。
(ちょっとテンション上がります(^^)

 

 

「マッチング拠出」そのものは素晴らしい制度なのですが、
ヘンな制約がありまして・・。

それは、

 

加入者の『掛け金』は
会社の『掛け金』と同額までに限る。という制約。 なんで??

 

企業型DCでは
(確定給付年金など他の年金制度がなければ、)
拠出の限度額は5万5000円(月)です。

が、

もし会社が拠出する『掛け金』が5000円だけなら、
残念ながらマッチング拠出できる『掛け金』も
5000円に制限されます。(残念。)

 

逆に、
会社が拠出する『掛け金』が3万円なら、
マッチング拠出できる『掛け金』も3万円!と言いたい所ですが、

企業型DCの掛金限度額(5万5000円)があるので、
この場合、マッチング拠出できるのは「2万5000円」になります。

ん?

これが、
どうiDeCo(イデコ)と関係するのでしょう?

 

実は2022年10月以降、
企業型DC加入者も
(もれなく)iDeCoに加入できるようになります。

 

がしかし、
それは
「マッチング拠出」をしていないことが前提なのです。

(「マッチング拠出」を選ぶとiDeCoには加入できません!)

 

 

ですので来年の10月以降、
「マッチング拠出」?
それとも「iDeCo」がいい?という悩みが生じるわけです。

 

先ほどの例に戻ってみましょう。

企業型DCの掛け金限度額
5万5000円(月)で、

・会社が拠出する『掛け金』5000円
・マッチング拠出できる『掛け金』5000円です。

この場合「マッチング拠出」ではなく
「iDeCo」を選んだほうが掛け金の枠は大きくなります。

企業型DCの掛け金限度額5万5000円(月)の場合、
iDeCoの『掛け金』限度額は「2万円」になるためです。

 

では、
会社が拠出する『掛け金』が3万円なら?

〇 同じくiDeCoの『掛け金』限度額は「2万円」。←これが上限のため。

〇 いっぽう「マッチング拠出」を選べば?
先述の通り「2万5000円」が限度額になります。

 

つまり
会社側の『掛け金』拠出額によって、
マッチングが有利か、iDeCoが有利か、違ってくるわけです。

 

(閑話休題・・)

 

 

今は「掛け金の大きさ」のみにフォーカスしましたが、
企業型DCに加えてiDeCoもスタートさせるとなると『資産管理』が煩雑になるかもしれません。

運用の窓口が「もうひとつ」増え、
ログインID、パスワードも「もうひとつ」増えますから・・。

 

たとえば、

 

・企業型DC
・iDeCo
・つみたてNISA
・特定口座
・ジュニアNISA

 

のような
複層的な資産管理が、
あなた自身ホントに出来るかどうかの検証は必要だと思います。

 

もうひとつ。

企業型DCの商品ラインナップが、
どのくらい「イケていないか」のチェックも必要でしょう。

 

・商品ラインナップがたとえば14、5本未満
・インデックスファンドの数が少ない
・インデックスファンドの運用管理費用でさえ年0.6%程度

 

このような状況なら、
2005年くらいで時間停止した『商品ラインナップ』である可能性が高いです。

 

 

企業型DCの商品があまりに酷いようなら、
マッチング拠出より若干拠出額が減るとしても、
「iDeCo」を始めるメリットは十分ありそうです。

 

なぜなら「iDeCo」なら、
超低コストのインデックスファンドを揃えた窓口を、自分で選ぶことが出来るためです。
(候補の最有力はSBI証券、マネックス証券、松井証券でしょう)

 

 

最後に、あなたの『キャリアパス』の観点から。

今の会社に5年、10年後、在籍している可能性が低いなら、
来年10月から「iDeCo」を始めておいたほうがよいでしょう。

結局のところ『企業型DC』(会社拠出+マッチング拠出)は、
あなたがその会社を辞めれば、
(運用資産は持ち運び出来ますが、)

一度資産を「現金化」しなければなりません。

 

 

いっぽうiDeCoという「箱」を持っておけば、
あなたがどんなキャリアパスを歩もうとも、同じ投資信託を長く積み立てることが可能になりますから、『運用の一貫性』という意味では有利になります。

よいご質問をありがとうございました!

カテゴリ:確定拠出年金(iDeCo・企業型)

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