楽天証券に死角は?
2021年9月11日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
SBI証券と楽天証券はよく
「2大ネット証券」という言われ方をします。
それはその通りなのですが、
たとえば当クリニックのお客様の中では、
両ネット証券の利用が
きれいに二分しているわけではありません。
『世代で鮮明に分かれているのです。』
あくまでわたしの肌感覚ですが、
「分水嶺」が44、45歳くらいで存在します。
すなわち、
楽天証券ユーザーが多いです。
これは?
楽天証券が若い世代を取り込んできた証左です。
(SBI証券にとっては脅威そのものでしょう。)
口座数で両社は拮抗していますが、
勢いでは明らかに楽天証券に分があります。
たとえば、
40代前半までの若い層で
・月5万円分を、
つみたてNISA、残りは特定口座で積み立て。
という例はポピュラーな投資法です。
また楽天証券と楽天銀行は実質一体になっているため、
自身のメインバンクを楽天銀行に置いている人も多いです。
それでも
楽天証券に工夫できる『余地』は大いにあります。
一顧客との付き合いの「長さ」を極限まで伸ばす、です。
湖池屋のポテトチップスを
2歳から92歳まで食べ続けるのはタイヘンですが、
証券会社とは
『生涯』付き合い続けることが可能なはず。
「ゆりかごから墓場まで。」
〇 オギャーとあなたが生まれます。
ただちに未成年口座でつみたて投資開始!
ジュニアNISAは2023年末で制度が廃止されますが、
あれは「未成年口座」を開いて、
そこから未成年の「NISA口座」を開くというプロセスでした。
〇 2024年以降は
たとえば『こども証券口座』と命名して、
生まれたらすぐ「積立投資」ができることを
積極的にアピールすべきではないでしょうか。
〇 そして定年退職したら・・、
『楽天証券(投資信託)定期売却サービス』です。
これはもう実施されていますね。
返す返す素晴らしい制度です。
課題は「次」です。
〇 もうすぐあなたが死ぬ。
さて、次に起こるのは?
『相続』です。
ネット証券はまだ誕生して20数年ですが、
すでに日本の社会は超高齢化へと突き進んでいます。
「遺言信託」や「家族信託」に力を入れるべきではないでしょうか。
あなた(楽天証券口座保有者)が死んで、
あなたの投資信託を相続させる際に、
相続人たちは
楽天証券に口座を開いて資産を継承することになりますから。
iDeCo(イデコ)だと思います。
2016年イデコをスタートさせた際は
「商品ラインナップ」に支障はなかったのですが、
その後、インデックスファンドの超低コスト化が進み、
(eMAXIS Slimシリーズのスタートは2017年)
楽天イデコの商品はどうしても見劣りしてしまうのです。
原因はいくつかあります。
・国内資産(国内株式、国内債券、J-REIT)に本数を割きすぎた。
(これは国内株、債券、REITそれぞれで、アクティブ運用に気を使いアクティブファンドの本数が多くなったことが原因。)
・計32本の商品ラインナップの中で
バランスファンドが8本もある。
三井住友・DC世界バランスファンド(動的配分型)、三菱UFJ DCバランス・イノベーション(KAKUSHIN)の2本は、おそらく楽天イデコ内でも大きな資金流入は起きていないはず。
ターゲットイヤー型の3本と併せて取扱いを止めたほうがよいと思います。
代わりに
楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型)
楽天・インデックス・バランス・ファンド(債券重視型)をラインナップすべきでは。
また債券では、
みずほUSハイイールドファンド<DC年金> はいかにも的外れだと思います。
(確定拠出年金商品でハイイールド債はそもそもふさわしくないのでは?)
最後に、
先進国株式、新興国株式、全世界株式などで「eMAXIS Slimシリーズ」を新たにラインナップすれば、イデコにおいてSBI証券、松井証券、マネックス証券等に対抗することができるはずです。
楽天証券のイデコはもともとコールセンターを含めユーザビリティは充実しています。ラインナップを改良できれば益々若年層(ビギナー層)に支持されることでしょう。
〇 こんな記事も書いています。
『楽天証券さん、今こそ「レッド」と「ブルー」に分社化を!』
カテゴリ:金融機関にモノ申す