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楽天証券さん、今こそ「レッド」と「ブルー」に分社化を!

2021年5月1日


こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

タイトル通りですw

楽天証券は今こそ、

トレードのための楽天証券『レッド』と、
資産育成のための楽天証券『ブルー』に分社化するべきです。

 

なぜなら、
トレード好きの人も
コツコツ積み上げタイプの人も、

「これこそワタシのためのサービスだ!」と満足度が上がって、ユーザーだけでなく、楽天証券自身の利益となるためです。

 

 




誤解がないように申し上げると、
今それをしないと、
楽天証券がジリ貧になってしまうとか、
そういうわけでは全然ありません。


逆に、楽天証券の業績は絶好調です。

 

まずはこちらの記事から拾ってみましょう。

楽天証券は2021年第1四半期(1-3月)の決算を発表、
営業利益は前年比45%増の56億3800万円となっています。

 

 

また今年3月末時点の口座数は
572万2000口座で、
すでに野村證券の口座数を超えている模様。

 

 

画像元:PRTIMES

 

この1、2年の伸びが↑顕著ですね。

 

また、こちらのリリースを見ると、

2月末現在で、
楽天証券の『つみたてNISA』口座数は109万口座に達しています。

 

 

これは、
つみたてNISA口座全体のおよそ1/3を占め、割合として驚異的。
さらに、
つみたてNISA口座開設者のおよそ6割は、
20代、30代の若年層なのだそう・・。

 

さて、
このブログを今お読みのあなた。 

 

突然ですが「まったく何も知らなかった時」を思い出してみてください。
あっ、投資について、ですよ(^^)

 

 

 

投資について
ほんとうにピュアで無知だった頃、

 

最初に聞いたワードがもし、
「つみたてNISA」とか「iDeCo(イデコ)」だったら、どんな反応をしていたと思いますか?

 

「へえー、iDeCoって60歳になるまでお金は出せないんだ。」
「へえー、つみたてNISAの非課税期間は『20年』なんだって。長いねぇ~」

 

みたいな感覚を持たれたはず。

 

つまりいの一番に
「税制優遇口座」に接するビギナーの人たちは、

自然と、

「投資 = 長くやるものなのね。」
感じやすくなるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

楽天証券がiDeCoをスタートさせたのは2016年ですが、
この頃から、

 

〇 最初から『長期志向』のユーザー
〇 最初から『つみたて志向』のユーザーが、
本格的にネット証券の顧客になり始めたのです。

 

 

それだけではありません。

 

楽天証券は楽天経済圏をうまく活用して
『ポイント投資』なるものを編み出し、

ほんらい投資の潜在ユーザーとしてカウントされていなかった、つまりは投資に関心がなかった人たちを、「つみたて投資」に巻き込むことに成功したのです。

 

今、大きな『流れ』を形成しつつあるのは、

 

「若者」×「つみたてNISA」×「ポイント投資」という掛け算です。

 

(おまけに将来、投資信託を取り崩す際には、楽天証券の「投資信託定期売却サービス」を利用することもできますし。)

 

 

 

 

これまでの、
お金が余っているから
「ちょっと儲けるために」投資をしようという『層』とは異なる、

 

自分の稼いだ分から、
「毎月、長く投資にお金を回していこう」という、いわゆる資産形成『層』が、楽天証券の顧客のメインとなったのです。

 

いや、失礼、
メインの顧客には全然なっていません・・(><)

 

ここからが「本題」です。

 

今申し上げた資産形成『層』に対するサービスは、
楽天証券の一面しか表していません。

 

「つみたてNISA」とか「コツコツ投資」とか
「超低コストのインデックスファンド」と聞いても、

楽天証券で
FXや個別株やCFDをやっている人にとっては、

 

『それが何か??』

 

というくらい、
自分たちには「ほとんど関心がない事柄」に映るはず。

 

 

 

 

 

いっぽう、
毎月低コストのファンドを積み立てている『層』から見ても、

トルコリラと円のチャート(FX)や、
ナスダック上場の個別株やCFD(差金決済取引)は、

 

『えっ、それが何か??』

 

というくらい、
自分たちには「ほとんど関心がない事柄」なのです。

 

 

つまり?

ひとつのサービス会社において、
顧客層が完全に『分断』してしまっているのです。

※これはSBI証券もマネックス証券も
松井証券もauカブコム証券もまったく同じです。

 

〇 ネット総合証券の真の問題はココにあります。

 

 

楽天証券代表取締役社長の楠雄治氏は、
こちらのインタビュー記事で以前、
次のようにコメントされています。

 

 

楠氏は事業を「トレーディング」と、
資産形成を中心にした「アセットマネジメント」に分けていると説明。

 

トレーディングの今後については、
人気の日本株、米国株に投資しやすいサービスづくりと、
新たな商品の追加を考えているといい、
その一つとして「CFD」を例に挙げた。

 

(中略)

 

アセットマネジメントについては、
初心者の流入が著しいことから、
投資信託、特にインデックスファンドで積立投資できる環境をより充実させる方針という。

 

フム。

両方、おっしゃっていることは分かります。

 

 

 

 

 

でもこれって、たとえるなら、

 

ウニたっぷりの三色海鮮丼と、
イチゴチョコレートパフェが
『同じ場所』で供されるようなものではないでしょうか?

 

同じ「食べ物」という範疇ではありますが、
まったく種類が違います。

 

 

あるいはメルセデスベンツのSUVタイプと、 日産自動車のNOTEが、同じディーラーで販売されているようなもの。

 

同じ「クルマ」ではありますが、 コンセプトがまるで違います。

 

 

 

 

 

少し『歴史』を振り返ってみましょう。

 

楽天証券をはじめ、
SBI証券、マネックス証券、auカブコム証券は
20世紀の終わりに、
有店舗の大手証券に対するアンチテーゼとして立ち上がりました。

 

トレード好き、株好きな人も、
投資信託を買いたい人も、
あらゆる投資家にとって、

 

(対面ではなく)インターネットで、
しかも低コストで金融取引ができる体制を樹立した。
この『革新性』こそが、
ネット総合証券の隆盛を支えたのです。

 

 

当初は
個別株でトレードを志向する人がほとんどでしたので、
顧客の分断という問題は表面化しませんでした。

 

 

 

 

ただすでに、
資産を育成したいという『層』が育ちつつあります。

 

トレードを志向する商品(サービス)と
資産育成を目的とする商品(サービス)は、
同じ「投資」という範疇ではありますが、
まったくその特性とスタイルが異なります。

 

 

わたしは個人的に
20世紀の終わりに始まった
ネット総合証券のサービス提供の仕方って、もうその役目を終えつつあると感じています。

 

それはかつて一世を風靡した
デパートの最上階の『大食堂』のようなサービスを想起させるのです。

 

 

(上記は東急百貨店東横店西館の大食堂)

画像元:渋谷文化

 

まだ食文化がそんなに成熟していなかった頃、

 

デパートの大食堂に行けば、
和・洋・中あらゆる料理と
あらゆる飲み物がオーダーできました。

 

でも今は、
カレー好きなあなたなら、
カレー専門店で美味しいカレーを食したいはずです。

 

 

日本における『投資文化』も、
それなりに質量とも積み上がってきたため、

 

たとえばトレードを希求する人は、
楽天証券の株取引アプリ「iSPEED」を核として、
FX、CFDなども縦横に取引できる画面のみを観たいのでは?

 

 

いっぽう資産形成を希求する人は、
より詳しい投資信託の比較評価を知りたいでしょうし、
アセットアロケーションとそれに付随するアドバイスを求めるかもしれません。

 

 

つまり現在、
いかにも大食堂的な『サイト内容』となってしまっているために、

『トレード層』『資産育成層』ともに、
多くの取りこぼしが発生してしまっていると推察します。

 

(※この問題はSBI証券、マネックス証券、松井証券、auカブコム証券なども同じです!)

 

~人は、
イチゴチョコレートパフェを食するときは、
それなりの雰囲気の店に入りたいのです。~

 

 

冒頭、楽天証券は絶好調です。と申し上げましたが、

ほんらい100のユーザー満足度を引き出し、
100の利益を上げられるところ、
わたしは40の利益しか獲得できていないと考えます。

 

楽天証券『レッド』
楽天証券『ブルー』のように、
それぞれ「トレード層」「資産育成層」のみをターゲットとし、

完全分社化をして、
まったく違うコンセプトのサイト、アプリ構築を行うべきと考えます。

その恩恵は計り知れないものがあります。


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