自分でコントロールしているように見えて、実は毎日毎日の市場の変化に身を委ねちゃうインデックス投資
2021年9月6日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
目の前に複数の投資対象があります。
それらを組み合わせるとき、
「何に、どれくらいの配分で投資を行うか、ちゃんと把握しようね。」とよく言われます。
自分が何に、
どれだけ投資をしているのか。
それが分かってはじめて、
『リスクの総量』が
イメージできるわけですから・・。
たとえば、
【日本株式2割、先進国株式8割】という
シンプルなポートフォリオを作るとします。
これは、
「各投資対象をこの割合で持とう!」
という
「固定型のポートフォリオ」です。
もし、保有割合がズレてくれば?
年に1度『リ・バランス』を行って、
当初決めた組み入れ割合(2割:8割)に戻してあげるわけです。
こうすれば
「何に、どれだけ投資しているかを
自分でコントロールできます。」
ね?
そうですよね?
ん・・?
でも、
そうとも言い切れないのです・・(-_-;)
今、日本株式(2割)は
TOPIX(東証株価指数)との連動を目指す
インデックスファンド、
先進国株式(8割)は、
MSCIコクサイ指数との連動を目指す
インデックスファンドを保有しているとしましょう。
『インデックスファンド』の中身は、
ぜんぜん【固定】ではありません。
??
たとえば、
「eMAXIS TOPIXインデックス」の運用報告書(21年1月26日現在)を見ると、
当該インデックスファンドでは、
「ソフトバンクグループ」と「伊藤ハム米久ホールディングス」の組入れ比率にはおよそ79倍の開きがあります。
今朝(9月6日)見た、
二つの会社の大きさ(=時価総額)も50倍程度違っています。
私たちはちょっと乱暴に
インデックス投資=「市場の平均」と言っていますが、
組入れ企業の『大きさ』に比例して、
各企業の「組み入れ割合」が決まるため、
企業の大きさ(時価総額)が毎日変わるためです。
・・やっぱり【固定】ではない。
でも、そもそもそういうものが「市場平均」なのです。
(S&P500や、MSCIコクサイ指数なども同じです)
日本株式(TOPIX)の中で、
「何に、どれだけ投資するかをちゃんと把握しよう!」と思っても、
トヨタ自動車を「何割」
ファナックを「何割」
サイバーエージェントを「何割」持っているよ、という『固定』のイメージとはぜんぜん違うわけです。
アメーバのように流動し、
常に移り変わります。
それは先進国株式インデックスファンドも同じ。
そもそも組み入れが
日本を除く22ヵ国の国・地域に及びますから、
もう「国ごと」の、
あるいは「銘柄ごと」の組み入れ割合はコロコロ変わります。
指数(MSCIコクサイ指数)は、
組み入れている企業の数を「1285社!」と記していますが(8月末現在)
でも年に2回、
組み入れ国や組み入れ銘柄の「見直し検討」を行っていて、
実際、ギリシャが新興国に格下げになったり、逆に新興国からイスラエルが格上げされて加わったり、また銘柄の入れ替えも継続的に実施されています。
結局のところ、
TOPIX(日本株式)の中身も、
MSCIコクサイ指数(先進国株式)の中身も、
自分で固定する(=コントロールする)という概念からはほど遠いわけです・・。
かろうじて?
『日本株式2割、先進国株式8割』というふうに、
投資の大枠において
あなたの側で「固定比率」をキープすることも(しようと思えば)出来ます。
つまりは『日本株式、先進国株式、新興国株式』の、
固定保有比率を放棄したのが、
このタイプのインデックスファンドでは、
日本株式と、先進国株式と、新興国株式の保有割合は、アメーバのように毎日変動します(それこそが『世界市場ポートフォリオ』なのです)
そういえばあの人も、
投資の大枠を自分で固定する型から、
毎日の自然な変動に身をゆだねる形にシフトされましたね。
カテゴリ:インデックス投資全般