お金の摩訶不思議

親と子は「資産」について分かり合える。とは思わないほうがイイですよ!

2021年8月30日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

個別カウンセリングの最後の6、7分程度、
時間が余ったときの『周辺相談』が意外に好きだったりします。

たとえば一例ですが、
周辺相談の中で
親と子の資産に対する「価値観の違い」に触れることがあります。

 

60代の親御さん世代の相談者さまが、

 

「自宅の土地が余っていて、
今息子は東京で働いているけれど、
いずれ結婚して、
もし家を建てるようなことになればと思って、
その土地は置いてあるんです。」 といった例。

 

ちょっと辛辣な物言いになってしまうのですが、
この場合、親御さんが「希望的観測」で語られているケースが多いように感じます。

 

 

おそらく、ですが
息子さん、娘さんは地元に戻るよりは
今働いている場所に留まる可能性のほうが高く、

時間スパンを少し伸ばしてみても、
親御さんの持ち家、地元の不動産を相続すること自体をあまり望んでいないケースが増えています。

(あくまでカウンセリングを通じたわたし個人の意見です。
わたしの場合、親御さん、子どもさんどちらもお客様になりますので・・

 

逆の見方をすれば、

息子さん娘さん側は
今の居住地から地元に戻ってくる可能性について、
あるいは、
地元で結婚して地元で住む可能性について、

その目がないのであれば、
早めに(はっきりと)親御さんに伝えたほうが利口というもの。

 

親子間では往々にして、
『おそらく相手は自分の気持ちを理解してくれているはずだ・・』という希望的観測に陥りやすいのです。← ココ要注意!

 

特に『相続』においてそれが顕著でしょう。

親御さん(ご資産を遺される側)は、希望的観測を捨て去り、はっきりしっかり資産の分け方について「明文化」(遺言を作成)しておく必要があります。

 

次に、子どもさん側から見てみましょう。

何より心配なのは、
親御さんがお金のことについて誰かを信頼し過ぎ、
具体的には、郵便局、JA、生保会社、信用金庫、地元の銀行、証券会社などですが、

「要らない金融商品を買ってしまわないか?」ということ。

 

総じて子どもさん世代のほうが
金融サービスに対しては冷めた視点をお持ちです。
気を付けるべき点についても知識があると思います。

ココは親御さんのほうが『学ばれる姿勢』を持たれたほうが良さそうですね。

子どもさんのほうは、

 

「ほんとうにお母さんのことを心配しているのはどっちだと思う?」
「じゃあその銀行の人は自分の親にもその投資信託を勧めるのかしら・・?」

 

と、やさしく尋ねてあげてくださいね。

 

それからもう一点!

できればメール、LINEではなく、
たまには親御さんに『電話』してあげてください。

 

 


親御さんはまさに電話世代であり、電話での会話のほうがホンネを聞き出しやすいと思うのです。

また、カウンセリング内で親御さんとお話をしていますと、
子どもの資金援助の話題になることがあります。

代表的なものは『マイホーム取得資金の援助』でしょう。

 

子どもさんがすでに結婚して、お子さんもおられ、
マイホームニーズがある場合はもちろん適していると思います。

ただし、です。

 

 

もしも息子さん娘さんが、
マイホームの取得をそんなに望んでおられないような場合は、

―『マイホーム取得資金の援助』は、
不動産という(ストック)を取得するための、
まとまった資金(ストック)の援助になるわけですが、―

『ストック』での資金援助にこだわりすぎず、
『フロー』での援助という選択肢も持っていただきたいのです。

 

唐突なたとえですが、

 

じいじが
高価なランドセルを買ってあげるより、
お孫さんに毎月1000円の「お小遣い」を
10年あげたほうがわたしは意味があると思っています。→ つみたて投資に回す!

 

つまり、資金援助はストックではなく、フローで、ということです。

まとまった資金(ストック)の援助は、
固定資産(モノ)の購入に結び付きやすいもの。

が、子どもさん世代に本当に必要なのは、
毎月、あるいは毎年の継続的な「プラスアルファの収入」ではないでしょうか。

 

また、
ここはまさにお金の微妙な点だと思うのですが、

親御さんが「ストック」での資金援助に傾倒すると、
息子さん、娘さんが
自分らしい人生を創りにくくなる恐れがあります。

ここ、↑ 伝わっていますでしょうか?)

 

 

親御さんは無理のない範囲で、
かつ、贈与税の非課税枠(年110万円)の範囲内で、

継続して、
息子さん、娘さん、あるいはお孫さんに「資金援助」してあげるほうが実りは多いと思います。

(また『フロー』での援助の利点として、
自分たちの老後の生活費が思ったよりかかりそうになったら、その時点で援助の額を減らしたり、終了することもできます。)

 

それと関連して
もらう側の息子さん娘さん側にもひと言。

できれば、援助された資金の一部を
『つみたて投資』に回しましょう。

援助を受けたお金を「育てる」ことこそが、親への恩返しになるとわたしは思います。

カテゴリ:お金の摩訶不思議

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