株式市場の『暴落』がやって来た場合の年代別対処法
2021年8月25日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
まずはちゅり男さんの記事
『「そろそろ暴落が来る」は言い続ければ必ず当たるという事実』より。
暴落がいつ来るかは分かりませんが、
好調な相場が続くことはなく、いつかはリーマンショックやコロナショックのような
大暴落が再来することは過去の歴史が証明しています。
よって、「そろそろ暴落が来る」という発言は
言い続ければいつかは必ず当たる類の発言と言えるでしょう。
なるほど・・たしかにそうですね。
わたしは昨年3月の「コロナショック」の際に、
株式市場が暴落した状況はもっと長く続くと思っていました。
(が、実際は数ヵ月で回復へと向かいます。
→ わたしの予想は外れています。)
その後、昨年の秋、冬、また今年に入ってからも、
一投資家のマインドとしては、
「いつ大きく下がっても全然不思議ではないぞ!」と思っていました。
でも実際は下がっていません。
(それどころか上がっています。
→ わたしの予想は外れています。)
山崎元さんがいつも言われる通り、
やっぱり「よそう」(予想)は うそよ なのですねw
『暴落』と呼ばれる市場の急変は
なければないに越したことはないですが、
100年超のマーケットの軌跡を振り返れば
残念ながら次なる『暴落』は必ずやって来ます。
※投資に関する話題で「必ず」は禁句ですが、あえてここでは使用します。
『暴落』は市場の自律運動のひとつであり、
誰もそれを妨げることはできません。
(なお、当クリニックが考える『暴落』の定義ですが、主要な株価指数が直近の高値から概ね30%以上下落した状態を指します)
直近のマーケットを見てみましょう。
米国S&P500指数の「株価収益率(PER)」は8月24日現在、34.99倍です。
画像元:S&P 500 PE Ratio
明らかに「高い」状況ではないでしょうか。
しかし「高い」からといって
すぐに暴落が来るわけではないのです。
特に今回は『コロナ渦』という特殊要因が関わっています。
金融市場にどれほどの時間をかけ、どんな影を落とすのか、正確に予測するのはきわめて困難と言わざるを得ません。
マーケットが明らかに高い状況にあるときは、
難しく考えず、臨時のリ・バランスを行うことを推奨します。
(これは今回に限らず普遍的な対処策でしょう。
また投資家の「年代」にも関係がありません)
たとえば、株式と債券を7:3としている人は、
現状8:2になっていれば、
7:3に戻るまで株式を売却しましょう。
(これは今すぐ実施して良いと思います)
あるいは株式ファンドのみで運用している人で、
手元の預金(安全資産)の割合が
トータル資産から見てかなり『小さく』なっている・・
自分のリスク選好度から云って、
たとえば手元の預金(安全資産):株式ファンドは
3:7程度の割合にしておきたい。
でも今は?
1.5:8.5 くらいになってしまっている。
このときも
3:7に戻るまで株式ファンドを売却されるべきでしょう。
(これも今すぐ実施して良いと思います)
もうひとつの視点は、
年代別で見た株式市場の『暴落』への備えです。
20代~40代の人は
もし仮に、の話ですが、
『暴落』が今年の10月頃から始まったとしても、慌てる必要はありません。
嬉々としてよいと思います。
きき??
はい、喜ぶということですね。
あっと声が出てしまうほど株式市場が下がっても、
あるいはそのような低迷相場が長く続いても、
(暴落するマーケットが)
同じつみたて金額で
驚くほど多くの口数を稼ぐ『機会』を与えてくれていると思いましょう。
世の中の大半の人は
「うゎあ、暴落だ」と驚き、慌てふためきますが、
あなたは
『この機を逃すなんてもったいない!』という心境(逆にチャンスだと思う心境)になっても、ぜんぜん良いとわたしは思います。
が、しかし、
保有する投資信託の『損益状況』を見るのは止めたほうがよいでしょう。
実際わたしも去年の3月に「しました」が、
さて、ここから少し難しくなります。
50代のあなたです。
あなたはこう思われるかもしれません。
「定年退職」という看板が
ロードサイドの大型店舗のように遠くに見えてきて、
今『暴落』が起こってしまうと、
リタイア時に自分の運用資産が回復しないのではないかと。
果たして65歳時にすべてのリスク資産を売却するのでしょうか?
(それはないはず・・。)
少しずつ少しずつ時間をかけて
あたかも「つみたて投資」の逆バージョンのように
『取り崩し投資』を続けるはずです。
55歳 ・・ 65歳 ・・ 78歳。→ まだ取り崩しは続いています。
リスク資産の運用も?(もちろん)続いているわけです。
(一見短いように見えて)
資産運用の期間はまだまだ長いわけで。
『暴落』を過度に恐れる必要はありません。
ただし、すでに60歳を迎えている、あるいは超えているあなた。
具体的には週2~3日勤務程度になって、65歳が完全リタイア予定の人は、すでに「セミリタイア」モードに入っています。
今からリスク資産を大きく売却するのはアリだと思います。
ただし、
投資信託を全部売るという意味ではありません。
先ほどの例のように
個別株や株式ファンドで運用をしていて、
手元の預金(安全資産)の割合が
トータル資産から見て『小さく』なっていれば、
たとえば一例ですが、
手元の預金(安全資産):リスク資産を「5:5程度」に大きくシフトさせるチャンスではないかと、今のマーケット状況を見ていて感じます。
ブレーキを踏み、
アクセルを緩めるという『速度調整』には、
ある種の思い切りとタイミングが必要です。
最後に、60代後半、70代の『暴落』への対処法はシンプルです。
セカンドライフの基本比率を
安全資産:リスク資産「5:5」としている。⇒『暴落』が起こる。⇒ 安全資産:リスク資産「7:3」に変容。⇒ 安全資産を取り崩し、価格が下がったリスク資産を買い増しして「5:5」にリ・バランス。
ただ、それだけです。
カテゴリ:ポートフォリオ運用