投資信託あれこれ

「解約します!」から、現金が戻ってくるまで意外とタイムラグがあるのが投資信託です

2021年7月6日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

投資信託を解約する、
そしてそのお金を使うという作業は、

お金を増やすこととは『真逆のベクトル』です。

カウンセリングのお客様に
しばしば申し上げるセリフがありまして、
それは・・・

 

「今からファンドを解約して、
お金を使う練習をしておかないと、
急に方向転換は出来ませんよ!」というもの。

 

これホントです。

 

ー○○さんはお金を使うことを抑制してきたからこそ、
お金を貯め増やすことが出来たわけです。

ところが資産運用の最終目的は、
○○さんに合ったお金の使い方を実践することですから、

時間をかけて
「増やすモード」から「使うモード」にチェンジする必要があります。―

みたいなお話をしたところ、

 

そのお客様は実際に(試しに)
20万円ほど海外株式のインデックスファンドを解約されました。

ところが、
「カンさん。すぐにはお金が戻ってきません!!」というメールが。

ハイ、恐縮です
ここ、意外に盲点なのです。

 

 

実は投資信託は「解約します!」という意思表示から
現金が戻ってくるまで意外と時間がかかります。

 

その理由は形式上、
あなた(ファンド保有者)→ 販売会社 → 運用会社
運用会社 → 販売会社 → あなた(ファンド保有者)と経由する必要があるためです。

 

愚者小路さんが、
投資信託の現金化には何営業日かかるのか(備忘録)』という記事内でくわしく解説されています。

 

まず、販売会社がファンド解約の受付を
必ず当日にしてくれるとは限りません。

 

愚者小路さんの記事から引用しましょう。

 

投資信託には申込締切時間が定められていて、この時間までに注文すれば当日受付として処理されます。
多少の例外はありますが、ほとんどの場合は15時となっています。

 

時間の制約があるのは意外に知られていないのでは?

また、海外株式や海外債券ファンドの場合、
解約申込み日の基準価格ではなく、
その翌営業日のファンド価格が『約定金額』となるケースが多いです。

 

次に、販売会社を経由して解約の注文を受理した運用会社は、
(解約の資金を準備するため)

ファンド内の資産の売却を
「信託銀行(受託会社)」に指示します。

※運用会社自体はファンド資産を直接管理しません。
また、自ら銘柄を売ったり買ったりもしません。
あくまで「信託銀行(受託会社)」に指図するのです。

(運用会社の信用リスクを隔離するためですね)

 

ファンド保有者から見れば、
換金の資金が
運用会社を経由して
販売会社にたどり着くまでが「長く」感じられることでしょう。

 

 

愚者小路さんの記事によりますと、

(記事内では例として、
eMAXIS Slim 国内株式、先進国株式、新興国株式のインデックスファンドを挙げておられますが、)

それぞれ、

eMAXIS Slim(国内株式)TOPIX:4営業日目から
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス:5営業日目から
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス:6営業日目から

 

というふうに、
『受渡日』が記載されているのだそう。

 

『受渡日』とは?
ファンドの換金代金を用意するために必要な日数のことです。

 

 

愚者小路さんはココで
細かい注意喚起をされています。

 

受渡日については「換金申込受付日から起算して〇営業日目から」と記載されていることに注目。表記上は「換金申込受付日から起算して〇営業日目に」ではありません。

 

つまり状況によっては受渡が〇営業日より後になってしまう可能性もあるという含みが持たれているわけです。

 

なるほど。鋭い視点ですね。

 

実際の投資信託の解約でも
資金ニーズが発生する日から勘案して、
『余裕を持って』『早めに』ファンドの解約申込みを行うべきでしょう。

 

以上のプロセスを踏まえると、国内ファンドなど受渡日が短い商品なら4~6営業日(1週間前後)で現金化できます。


新興国ファンドや全世界ファンドといった受渡日の長い商品なら現金化に6~8営業日(2週間弱)は必要です。

 

はい、思ったよりファンドの換金には時間がかかるのです。

今後、投資信託がより広く
生活者の道具となってくれば、
「受渡日までの日数をもっと短くして!」というニーズは
より顕著になってくると思われます。

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