全世界株式インデックスファンドの意外なメリットについて
2021年6月25日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
ここだけの話、アメリカ人は海外投資が苦手です。
というか、その必要性をあまり感じていないのでは?
何しろ世界の最強国ですから・・。
全世界株式に投資を行う際の物差しに、
「MSCIオールカントリー・ワールドインデックス」があります。
同指数内でも
アメリカ株式の割合が56%あります。
おまけにドルは世界の基軸通貨なんだから、
別に海外の株なんて買わなくてもいいんじゃない?」
という理屈は、
分からないでもありません。
しかし一方で、
「MSCI ACWI」の56%程度が米国株式ということは、
残りの44%程度には未投資、ということになってしまうのでは?
『もし、アメリカ人が米国株式にしか投資をしなければ。』
いわんや、
「MSCIオールカントリー・ワールドインデックス」に占める日本株式の割合は7%程度ですから、
もし日本人が
日本株式にしか投資をしなければ、
残りの93%程度に未投資、という状態になります。
たとえば秤で量ったように、わざわざ7%だけ日本株式を買って、
残りの93%程度で別途海外株式を買うとか、あなたは出来ますか?
ココに、
「全世界株式インデックスファンド」のメリットがあるわけです。
世界投資を、
半ば強制されます。
ノルウェー人とか、シンガポール人とか。)
もうひとつ。
海外株式に投資を行う際、
いちいち円を「外貨」に替えて商品を購入すると、
いちいち「為替リスク」を意識します。
ほんとうは為替の変動は気にせず
粛々と購入していくべきなのに、
たちまち迷いのタネが育ってしまうのです。
ココにも、
「全世界株式インデックスファンド」のメリットがあります。
ファンド価格が「円建て」表示です。
あなたは円建てで当該商品を購入します。
これは為替リスクを取っていない、
という意味ではありませんよ。
ただ、決済の通貨が「円」で
価格も円建て表示なので、
よい意味で『外貨建て投資』の緊張感を和らげてくれるのです。
内訳をお話ししますと、
あなたがもし、
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を1万円分購入すれば、
円建て資産は700円程度。
残りの9300円はすべて外貨建ての株式となります。
(ドル建ての株やユーロ建ての株や、豪ドル建て株や、
台湾ドル建ての株や、インドルピー建ての株など多彩です)
広範に
「為替リスク」を負っています。
あなたは今後も『日本円』で給与をもらい続けますし、
リタイア後の公的年金も100%円資産です。
運用資産内で90%以上外貨建てになっても、
トータル資産のバランスがいびつになるわけではありません。
カウンセリングでは、
長期で運用を続けても水の泡になるのでは・・」
というご心配もいただきます。
が、豪ドル建て個人年金保険ならいざ知らず、
世界株式型のインデックスファンドは、
20以上の通貨に分散され、
そのどれもに対して長期で「円高」が続くとは考えにくいです。
さらに、
実際に為替リスクが実現するのは、
当該ファンドを『解約する』際であり、
これも一度に売るわけではありません。
少しずつ少しずつ解約を続けることになるでしょう。
したがって結果として
円高局面で売るときもあれば、
円安局面で売るときもあると考えるのが自然ではないでしょうか。
(為替リスクという名のブレはある程度抑えられるのです。)
このコロナ渦で、
日本人の個人金融資産は
1946兆円(3月末時点)まで膨らんでいます。
が、その大半は
まだ『円資産』で占められています。
わたしは根っからの円安論者ですが、
それには理由があります。
それは
多くの日本人が
リスク分散を開始するのは「これから」であるためです。
ちょっと想像してみてください。
たった10%(190兆円分)でも、
外貨建て資産に資金の「移動」が起きれば、
日本経済の頭打ち感が顕著になればなるほど、
保有資産の「非円化」は
ある程度のボリュームまで膨らむことになるのではないでしょうか。
大胆な外貨資産の保有が可能になるのも、
「全世界株式インデックスファンド」のメリットのひとつなのです。
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カテゴリ:インデックス投資全般