インデックス投資全般

果たしてインデックスファンドが巨象になって市場を歪めることになるのか?

2021年6月22日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

新型コロナウイルスの発生後、
過剰な『流動性相場』が形成され、
ちょっと意地悪な言い方をすれば、

 

〇 おまけの資金(支援金・給付金)を手にした、
〇 リモート勤務で時間が余った投資ビギナーが、
大挙して「金融市場」に押し掛けた。

 

そんな1年だったと感じています。

 

 

個別株のトレードに夢中な人が大勢いて、
暗号資産やNFT(代替不可の電子トークン)にも大量の資金が流れ込み、インデックスファンド(含むETF)も、流動性相場で大きな便益を受けました。

 

ただ、大局的に見た場合、

インデックス投資の隆盛が
市場の活性化を妨げていると危惧する専門家もいます。

このことをわたしは
クーリエ・ジャポンの以下記事を通じて知りました。

人気の高まるインデックスファンドは、市場の寡占を促進し、物価を上昇させている

 

 

 

 

自明の理ではありますが、
インデックス投資は
良い投資先、悪い投資先という『選別』をしません。

市場全体をざっくり包み込み、
より大きな企業を多く保有し、より小さな企業を少なく保有します。

 

インデックスファンドを買うことで
あなたが市場内の特定の銘柄に対して評価をする、すなわち「買う」「買わない」のジャッジを行うということはないわけです。

 

 

(もしあるとすれば、
それはインデックスファンドの型となる指数を組成する「指数提供会社」が、特定の銘柄を「組み入れる」「組み入れない」の判断を行うのみです。)

 

 

このような特徴から、
仮に、インデックス投資家が『多数派』になれば、

 

資本の「最適配分機能」が、損なわれてしまう危険があります。

 

 

 

 

上記記事内でも触れられていますが、

一投資家にとってインデックス投資は、
低コストで、長期的に見ればプラスのリターンをもたらす可能性が高い「手堅い投資手法」です。

 

しかし、
市場そのもの、経済全体から見れば、
さまざまな問題を孕むと記事は指摘しています。

 

何百万人ものアメリカ人にとって
市場に参加するというのは、

 

 

個別の株を選ぶことでも、
ポートフォリオマネジャーに株を選んでもらうことでももはやない。

 

 

それは、バンガード、ブラックロック、ステートストリートなどの大手金融機関が提供するインデックスファンドに資金を投入することを意味する。

 

まあ、実際そうなっていますね。

 

 

 

 

インデックスファンドは、非常に大きくなってしまった。

 

S&P500企業の90%の最大株主は
バンガード、ブラックロック、ステートストリートというビッグ3のいずれかであり、これらの企業が合わせて株式の20%以上を保有する。

 

・・なるほど。

 

加えて、バンガード、ブラックロック、ステートストリートという大口株主(ビッグ3)は、おとなしく、受動的な株主でもあります。

 

別にエクソンモービル1社の株主ではないため、
エクソンモービルやその他特定の企業に対して
積極的に『モノ言う株主』にはなれません。

(この大口株主は、あらゆる業種を横断して株式を保有しているため。)

 

 

 

 

ただし上記は、
インデックスファンドの問題というよりは、

多数の銘柄を同時に保有する
投資信託(含むETF)全体の問題であるといえるでしょう。

 

 

何もしないパッシブ投資家だけの世界においては、


資本は大企業にのみ配分され、
優良企業、有望企業、効率的な経営をする企業には必ずしも資本が配分されないということだ。

 

アクティブファンドのファンドマネージャーであれば、
有望と思われる企業をその予想(主観)に基づき、
掘り下げ、積極的に買い上げる。

という行為が可能になります。

 

 

逆に、

ネガティブと思われる企業をその予想に基づき
積極的に売却する。

という行為も可能です。

 

 

 

 

記事内ではバーンスタイン社のアナリストが、
インデックス投資を
『マルクス主義よりも悪いものだ』と辛らつに批判しています。

 

パッシブ投資家は、アニュアルレポートや市場の噂も気にしない。何に投資し、何を避けるべきかも調べようとしない。海外資産か国内資産か、株式か債券か、あるいは投資信託かETFかにかかわらず、市場の動きを反映するだけなのだ。

 

まさにその通り。

 

 

それでも、
銘柄を積極的に取捨選択する投資家が『多数派』である限り、

パッシブ投資家(インデックス投資家)も、
心地よく居座り続ける「場所」が確保できるとわたしは考えます。

 

 

何よりわたしが危惧するのは、昨今の、いわゆる『インデックス投資ブーム』、インデックスファンド最強論的な風潮です。

 

インデックス投資は決して最強ではありません。

「平均」ですから。。

 

 

それに、マーケットにおける大切な真理は、

 

市場の主役は・・『アクティブ投資』である。という点です。

 

 

 

 

 

マーケットの健全な『価値生成機能』は、
ひとりひとりのアクティブ投資家の「アニマルスピリット」があってはじめて機能します。

 

 

「パッシブな投資しかできない資本主義経済は、
中央計画経済や市場主導の能動的な資本管理が行われている経済よりも悪い」

 

ちょっと辛辣ですが、その通りなのでしょう。

 

 

 

 

わたしの個人的意見で申し上げれば、

 

人間のストレートな欲望、つまりは「他者を出し抜いて利益を上げたい」というは、そう簡単に廃れるものではないと思います。

 

特に株式市場が長めの「低迷期」に入れば、
アクティブ投資のシェアは盛り返してくると考えます。

(インデックスファンドが多数派になるのは、言うほど簡単ではないのです・・)

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