日本の企業型DCとアメリカの401(k)プランは『マッチング拠出』が逆になります
2021年6月10日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
覚え方はカンタンです。
「真逆、真逆!」と連呼してみてください。
日本の確定拠出年金(企業型DC)でいう
「マッチング拠出」とは、
2.あなたの給与からも「拠出」が可能ですよ。
それに対して
米国の確定拠出年金(401(k)プラン)は『逆』です。
「拠出」をしてくれれば、
もちろん勤め先によっては、
「マッチング拠出」に対応してくれない会社もあります。
「マッチング拠出」という『特典』を引き出すためには、
まずはあなた自身が拠出を行う必要があるのです。
アメリカの確定拠出年金の代表格
401(k)プランの「おさらい」です。
〇 アメリカの一般企業に
勤めている人が加入できる。
〇 401(k)プランへの加入はあくまで任意。
〇 自分の勤め先(企業)がプランを用意します。
そのプランでラインナップされている商品から選ぶ必要あり。
実は米国の『マッチング拠出』は、
あなた(従業員)が「拠出したいなぁ・・」と思いやすい、人間心理を突いた仕組みを備えています。
フィデリティ投信
【DCコラム Vol.19】コロナ禍における米国のDC(2021年第1四半期末):ポストコロナの時代へ
から拾ってみましょう。
再掲になりますが、
米国の401(k)プランでは、
〇 従業員自身が掛け金を拠出したら、
〇 会社側(雇用主)も
それに上乗せして掛け金を出してくれるよ。
という「マッチングのしくみ」です。
上記コラムから引用してみますと・・。
マッチング拠出の設計は自由ですし、
毎年でも変更することができますが、
一番よく見られるパターンは、
「加入者が掛金を出したら、
給与の3%分までは同額を上乗せ拠出
(100%マッチングといいます)し、
次の2%分(つまり給与の3%から5%まで)
に対してはその半額を上乗せ拠出
(50%マッチングといいます)する」というものです。
ん? ちょっと分かりにくいですか?
画像元:フィデリティ投信【DCコラム Vol.19】
『図表』のほうが↑分かりやすいかもしれません。
先ほど引用しました、
給与の3%分までは同額を上乗せ拠出
(100%マッチングといいます)
だけでも(実は)スゴイことです。
図表の、本人の掛け金(ブルーの帯のところ)を見てみてください。
毎月2000ドルの収入がある人が、
そこから6%の掛け金、計120ドルを拠出しています。
今のケースで申し上げると、
つまり給与の3%分については、
(従業員の拠出額(60ドル)に対しては100%)
つまり(最初の3%分については、)
・あなた自身の拠出 60ドル
・雇用主からの拠出 60ドルで、
60ドル分はタダ、なのです。
次の2%分である40ドル分については、
雇用主は半分の20ドルを拠出し、
次の1%分である20ドルについては
雇用主は拠出はゼロ。
というのが今のケースです。
〇雇用主からの掛け金 80ドル
月80ドル分は実質タダとなります。
(※どれだけマッチング拠出するのかは、あくまで企業側(雇用主)の任意である点にご留意ください)
もしも日本の確定拠出年金について
『グランドデザイン』を描き直すことが可能であるなら、
わたしは「企業型DC」も、
個人型の確定拠出年金に統合されるべきだと思います。
・企業・役所にも上乗せして拠出することとすれば(=マッチング拠出)
確定拠出年金に加入して、
掛け金を拠出しようというインセンティブも高まるでしょう。
今の公的年金制度の『厚生年金部分』も、
個人型の確定拠出年金に組み込まれるべきでしょう。
すでに厚生年金保険料では
従業員の保険料負担と『同額』を、
企業・役所が負担(=マッチング拠出)しています。
最後に、フィデリティ投信のコラムより。
加入者が主人公であるDCのような制度では、
人間の行動心理に基づいた設計をすることが成功のカギですので、
わが国でも十分に研究する価値があると思います。
カテゴリ:確定拠出年金(iDeCo・企業型)