もし投資に回せる800万円があったら、つみたてNISAに当てはめるべき?
2021年5月20日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
ずいぶん昔に出版した拙著「積立て投資術」をお読みいただき、
毎月5万円のつみたて投資(特定口座)を
愚直に続けている方からご質問をいただきました。
片岡さん(仮名)としましょう。
片岡さんのご質問は以下です。
「もし今、投資に回せる800万円があったら、
つみたてNISAに当てはめればよいですか?」
んー、ちょっと違うのでは?
片岡さんはずっと
通常の課税口座(特定口座)で
つみたて投資を続けてこられました。
毎月の収入から、
コツコツ月5万円をつみたて投資に回し、
今では運用資産が600万円を超えています。
毎月ベースのつみたて =「特定口座」!
という感覚なのかもしれません。
もちろん、今投資に回せる800万円があるというのは素晴らしいことです。
が、それを「つみたてNISA」に回していくと、
年間の投資限度額が40万円ですから、
投資資金を投入し終えるまでに『20年』かかります。
20年!
仮にですが、
〇 iDeCo 2.3万円/月
(年金制度がない会社員の例)
〇 つみたてNISA 3.3万円/月とし、
双方の優遇口座にお金を拠出し続けても、
年間の掛金枠は 67.2万円。
この場合でも、
まとまったお金800万円の「投資執行」を終えるまでに、12年近くかかってしまいます・・。
これって、どう思われますか?)
あまりにも長い年月をかけて、
資金を分割してしまうと、
ポテンシャル【潜在可能性】が、損なわれてしまうと思いませんか?
わたしは、
「つみたてNISA等に投資しなくてよい」と申し上げているわけではありません。
基本、毎月の生活で残ったお金から、
『掛金』を出してくださいね、という設計なのです。
投資には【ふたつのポケット】があります。
〇 ひとつは、
毎月の収支の中から。
〇 もうひとつは、
まとまったお金の中から。
片岡さんが「つみたてNISA」という制度に気付き、
それを利用したいという気持ちはまさに『正解』なのです。
しかし「つみたてNISA」は
フローベースの器ですから、
今、毎月で投資に回せるお金が仮に5万円なら、
その5万円のうちの「3.3万円」を
『つみたてNISA』に回すべきなのです。
なぜなら、
課税口座である『特定口座』は
投資資金の上限がなく、
選択できる投資信託の数も桁違いに多いためです。
(フリーハンドを有しているのです)
先ほど、
800万円というお金の
ポテンシャル(潜在可能性)を考えてあげましょう。と申し上げました。
ある程度『期間』を限って、
多めの「つみたて金額」で
つみたて投資を実践してあげる・・
すなわち800万円のお金については、
特定口座で『拡大つみたて』を実践することをお勧めします。
(もちろん「自動引き落とし」のしくみを利用します)
・20万円 × 40か月
・32万円 × 25ヵ月 のように・・。
仮に「毎月20万円のつみたてを、40ヵ月だけ実施する」を選択したとしましょう。
『3年と4カ月後』には、
まとまったお金の、
『拡大つみたて』については、
長くても5年くらいまでで資金を入れてしまう、
ある種の思い切りが必要でしょう。
投資元本 × 利回り × 投資期間 です。
・まったく同じ投資スタイルで、
・まったく同じ投資信託を利用し、
・同じ30年の投資期間があったとしても、
〇 40ヶ月で
800万円を投入し終えたケースと、
〇 20年(240ヵ月)かかって
800万円を投入し終えたケースでは、
前者のほうが実現リターンは高くなるはずです・・。
カテゴリ:NISA活用法