バランスファンド

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの「災い」と「幸い」

2021年5月19日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

以下、少し古いチャートで恐縮ですが、
ふたつの「バランスファンド」の騰落率のグラフです。

A

 

B

 

あなたがこれから投資を始めるとして、
どちらの『投資信託』を選びたいですか?

 

(やっぱり)Bですか・・?

 

実はAは、
「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」
Bは「世界経済インデックスファンド」です。

セゾンバンガードは2007年3月の運用スタート。
一方、世界経済インデックスファンドは2009年1月の運用開始です。

たった22ヶ月の違いなのですが、
その間に『リーマン・ショック』が発生したため、

過去の成績に関して云えば、
2つのファンドはまるで
『違った景色』に見えるのです。

(しかし、)実は
ふたつのファンドの成績そのものはそんなに変わらず、

以下、両ファンドの直近10年の騰落率グラフですが、

 

画像元:ヤフーファイナンス

一度暴落を経験しているセゾン・バンガードのほうが
かえって成績が若干良いくらいです。

ここからちょっと「哲学的」なのですが、

「災い」が「幸い」に転じることって、
私たちの人生でもありますね。

 

たとえば、
先ほど見ていただいたような、
セゾン・バンガードの
ちょうど2008年から2009年にかけての、

『災い』の塊とでも言うべき大きな下落に、
どこか『幸いな部分』ってあるのでしょうか?

わたしは、あると思います。

 

セゾン投信に
口座を開設した投資家の人たちの進むべき方向、
なんと云いますか、
ファンド保有者の【性格・質】のようなものが固まる過程で、
この『災い』のように見える暴落が、
重要な役割を果たしたとわたしは思っています。

 

 

もし、
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドが、
初めから右肩上がりの成績だったとしたら、

途中で解約する人が相次いで、
こんなに大きく成長することは
なかったかもしれない・・。

 

かつてセゾン投信『8周年記念セミナー』の中で、
中野晴啓社長(現会長)は上記の旨のこと言われていました。

 

わたし自身一投資家として、

たとえば、2008年の10月や11月の
つるべ落としのような『下げ』を経験しました。
(身もすくむような恐さを感じたものです・・)

 

 

当時の
セゾン・バンガードの保有者も、

実際的には(大きな下落を目の前にして)
『動けなくなった』面があると思います。

 

しかし、
最初に【大きな試練】を経験した皆さんは、
投資家として鍛えられたのではないでしょうか。

 

「これがマーケットの本質なのだ」と、
いやいやながらも
悟らざるを得ない状況になったのです。

血も涙もない、
マーケットの激変に晒され、

「もう止めようか」、
「今は休もうか」と思いつつ、
積み立てをなんとか続け、

「ワタシって運が悪いのかな」
「まあ、耐えることも投資のうちなのかなあ・・」と、

半信半疑の気持ちで
毎月セゾン投信から届く『お客様へのメッセージ』を眺め、

 

でもやはり、

 

続けることでしか、
『答え』は見えてこないかもしれないと、
ファンドを持ち続けた多くの投資家が、
今のセゾン投信の顧客気質の
『コア』を形作っているのだとわたしは思います。

 

 

運用会社(セゾン投信)にしても同じです。

長期投資です、積立ですと、
運用方針はきちんと掲げてスタートしたけれど、

「これはタイヘンだ、
こんな激変がやって来るとは・・・」

兜の緒を締め直して、
心の底から全員に届くよう『長期投資・分散・積立!』と、
繰り返し繰り返し説いていかなければ・・・。

 

つまり、
「災い」とも呼べる暴落が起こったことで、
セゾン投信自身も腹が据わり、決意が漲った状態に昇華できたのではないでしょうか。

5月18日現在、
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」の純資産額は約2590億円となっていますが、
この成長は、
まさに運用会社とファンド保有者が手を携えて歩んできた結果なのです。

 

これから先も
私たちは『災い』としか思えない、
市場の激変を経験することがあるでしょう。

そのとき
あなたは
あなた自身もまだ気づいていない、
『投資家としての強さ』を発見することになるかもしれません。

(先は、長いのです・・) 

 

カテゴリ:バランスファンド

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