8資産均等型のバランスファンドは、リタイア時の『あがり』の道具です(当クリニックのお客様、長尾さまの場合)
2021年5月14日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
先日の記事では、
8資産均等型のバランスファンドは
みな同じくらい、信じていない。
という言い方をしました。
バランスファンドは初心者向けのツールと解されますが、
それは物事の片方しか見ていないと思います。
バランスファンド、特に『8資産均等型』は
これからリタイアを迎える人のための道具でもあります。
わたしが長年お付き合いがある長尾さん(仮名)を
具体例として挙げさせてください。
長尾さんは
個別株、投資信託、外国債券、ワンルームマンションなど、
20年前は実にさまざまな形態の資産をお持ちでした。
カウンセリング後、ETFを中心としたポートフォリオに組み替えられ、
リタイアメントを機に
8資産均等型の投資信託と、
預貯金プラス個人向け国債10年物という、
超シンプルなご資産体制に、2年前移行されました。
リタイア後は『資産を取り崩す生活』が始まったわけですが、
リスク資産は8資産均等のファンドのみとなり、
「取り崩しがほんとうに楽。」とおっしゃっています。
以下、長尾さんの資産全体の『配分割合』です。
(個人向け国債10年物含)
少し中途半端な数字ですが、
これは8資産均等型のファンド内で12.5%「国内債券」を保有するため、これと32%の預貯金等を含めて、
安全資産をおおよそ40%にされたかったためです。
長尾さんは毎年1月に、
トータル資産(預貯金等+投資信託)の3.5%を、
その年の「生活費充実」のために取り崩しています。
正確にいえば、
毎年1月に、
預貯金等32% 8資産均等型68%
預貯金等からも、8資産均等型ファンドからも、
資産の取り崩しを行っているのです。
7月は、純粋なリ・バランスのみを実施しています。
(つまり1月、7月の年2回の「リ・バランス」
毎年1月に年1回「取り崩し」というスケジュールです)
リタイアした人にとって大切なのは
より高いリターンを実現することではなく、
リスクをきちんと制御することです。
どの国・地域の
どの資産が(来年)有利になるかは分からないという、
自分の感情、自身の予測の触発によって
特定の投資対象を買い増したり、解約したりすることがないよう、
8資産均等型のバランスファンドでリスク資産を『固定』する。
上記は、一見簡単そうに見えて、
かなり「高度な判断」を要する戦略です。
先ほど長尾さんがさまざまな投資手法を実践されてきた旨、
ご説明しましたが、
数多の投資スタイルを試されてきて、
最終「バランスファンド」に辿り着くことを
当クリニックでは『ブーメラン現象』と呼んでいます。
最後に、
やがて来る相続のことを考えても、
バランスファンドにリスク資産を絞ることは合理的でしょう。
なぜなら、各相続人に「平等に」「分けやすく」「渡しやすい」ためです。
カテゴリ:バランスファンド