わたしのFP修行

不動産営業時代の苦い思い出

2021年4月28日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

手元資金に乏しい人が
大きな「借り入れ」を起こして住宅資産を買えば、
その時点で不動産がメインの資産になってしまいます。

(しかも多大なリスクを負いながら・・)

わたしはこの事実を橘玲さんの書籍を通じて学びました。

 

が、それは
不動産会社を辞めた後のことです。

わたしはFPとして独立する前、
神戸市内の小さな不動産会社に勤めていました。

住宅金融公庫、年金融資をはじめとした
住宅ローンを斡旋しながら、
不動産売買の仲介の仕事をしていたのです。

 

 

何十回とお客様と物件をお供し、
㎡数に「0.3025」を掛け、土地の坪数を算出したりして、

「借りるより買ったほうが絶対にお得ですよ。」
というセールストークを繰り返していました。

 

知らない(無知)とは恐ろしいことです。

 

たしか宅地建物取引主任者の資格を取った年だと思います。
懇意にしていた会社の社長から、

「カンくん。土地探して欲しいんや。
その上にマンション建てて人に貸そうと思ってる。」
というお話をいただきました。

土地を探すのに9ヶ月くらいかかって、
紆余曲折はありましたが、
めでたく売買契約を結びました。

 

 

そして 複数の建設会社から見積りを取り、
建物の請負契約も無事済みました。

(そのときは土地売買の『仲介手数料』だけでなく、
建設会社も紹介したため『紹介手数料』も入ってきました。)

トータルで3億円強の出費になりましたが、
社長はおよそ8割を銀行ローンで賄われました。

 

建物の上棟式が行われたその日に、
わたしは気付いたのです。

 

家賃収入から諸経費を引いた「実収入」と、
社長が毎月銀行に返済する「ローン返済額」がほとんど変わらないことに。

 

一室でも「空き」が出れば、
お金の出入りで考えると明らかにマイナスだと。

 

 

これは果たして投資と言えるのだろうか・・。

 

英会話スクールに行くことも、
会社を経営するのも、
不動産の所有も、
そして株式や債券でも、

 

「いくらお金をつぎ込んで、
どれくらいの効果(収益)が期待できるか?」

 

これを吟味する必要があります。

それが「投資を行うマインド」ですね。

 

わたしは売買の契約を取ることしか頭になく、
「投資のマインド」をいっさい持ち合わせていなかったことに、そのとき初めて気づいたのです。

(まさに井の中の蛙でした。)

 

この先も、お客様の利益を深慮することなく、契約だけを追いかける営業マンに終始すれば、自分が成長する余地が限られてしまう・・

 

 

そう感じたわたしは決死の覚悟で井の外に出て、
たまたまFPというものに出会うことになります。

 

不動産会社での経験は反面教師として、
今もわたしの体内に宿っています。
(十字架を背負っていると感じることもあります)

わたしが現在、金融商品をあっせんしたり販売したりしないのも、
紹介手数料をお断りするのも、
かつてそのようなことをしたという事実があるからなのでしょう。

FPとしてのわたしの原型は、決して美談ではないのです。

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