インデックス投資全般

世界初のインデックスファンドは、50年前の旅行鞄メーカーの年金運用に遡ります

2021年4月16日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

SMTインデックスシリーズ コラム Vol.7
インデックス運用の歴史』を読むと、

人に歴史あり、
また製品に歴史ありと、しみじみ感じます。

上記コラムの中で、
『世界初のインデックスファンド』が紹介されています。

今からちょうど50年前の1971年に、
サンフランシスコのウェルズ・ファーゴ銀行が
企業年金向けに立ち上げた米国株式ファンドが、

「インデックスファンドの元祖」なのです。

 

 

まず、
ウェルズ・ファーゴ銀行のジョーン・マックーンに登場してもらいましょう。

実はジョーン・マックーンが、
シカゴ大学のビジネスマン向けセミナーで『効率的市場仮説』を学んだことが、インデックスファンド開発のきっかけと云われてます。

 

『効率的市場仮説って?』

 

現在の株価は、将来に対するあらゆる情報を織り込んだ上で形成されているため、世の中にすでにある情報をもとに、投資で恒常的に利益を上げることはできないという考え方を指します。

 

(転じてここから『市場平均』を金融商品化するアイデアが生まれたわけです。)

 

 

マックーンはこのとき、
シカゴ大学ビジネススクールの生徒だったチャールズ・シュウェイダーと接点を持ちました。
(シュウェイダー自身も効率的市場の理論に関心を持つ学生でした)。

マックーンから、
市場平均との連動を目指す商品開発の話を聞いたシュウェイダーは興味をそそられ、父親に以下のような提言をしたと云われます。

 

「お父さんの会社の年金運用を、市場平均との連動を目指す手法でやってみたら?」

 

実はシュウェイダーという学生は、
旅行鞄で有名な「サムソナイト」を経営するシュウェイダーさんの息子だったのです。

 

 

上記、嘘のようなホントの話なのですが、

このような経緯でウェルズ・ファーゴ銀行は1971 年7月 、
世界初のインデックスファンドを組成するに至りました。

(「サムソナイト」の企業年金の運用として。)

わたしは今、何気に文章として記しましたが、
当時の運用業界の常識からすると、かなり・かなり突拍子もないコトなのです!

 

さて、当初の運用元本はおよそ600万USドルでした。

 

ジョーン・マックーンたちは最初、
ニューヨーク証券取引所に上場するすべての株式 1,500 社を同じ割合で保有し、バランスを保とうとします 。
(市場平均の概念はまだ手探りの状態だったのです・・)

 

また、運用の実態はたいへんお粗末で、
全銘柄の組み入れ割合を同じに保つため、
運用チームは頻繁に『リ・バランス』を繰り返します。

71年当時はまだ株の売買手数料は自由化されておらず、
リ・バランスのために莫大なコストがかかってしまったのです。

 

結局1973 年、
ウェルズ・ファーゴ銀行の運用チームは、
S&P500指数との連動を目指す運用に切り換えました。

このときはじめて
『株価指数』が、市場の体温計から、金融商品に昇華したのですね。

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