バンガード28.5%、ブラックロック36.7%、米国上場ETFの純資産残高シェアが激変していた・・
2021年3月29日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
以下ブルームバーグの記事より。
『ブラックロック、8300億円のスタイル型ETFの手数料ほぼゼロに』
(3月23日)
記事の主旨そのものは、
米国ETF業界の熾烈なコスト競争を紹介するものですが、
わたしが驚いたのは以下の円グラフです。
~米国上場ETF、各運用会社の純資産残高シェア~
画像元:ブルームバーグ
「バンガードのシェアの伸び様がすごい。。」
わたしは自身の古いブログ記事を、カタコト検索してみました。
すると、
2007年9月末現在。
~米国上場ETF、各運用会社の純資産残高シェア~
が出てきました。
State Street 24.2%
Vanguard 6.8%
Bank of New York 5.7%
Powershares 2.5%
ProShares 1.4%
1位の『BGI』とは?
バークレイズ・グローバル・インベスターズの略です。
従前の「i シェアーズETF」の運用会社であり、
2009年にブラックロックに「i シェアーズ部門」を譲渡しました。
つまり、この14年弱で
i シェアーズETFのシェアは
56.3% ⇒ 36.7% に、
バンガードETFのシェアは
6.8% ⇒ 28.5% へと変化しているわけです。
(ETF業界の勢力図が一変したことが分かります。)
ブルームバーグの別記事
『バンガード、今年のETF資金流入で首位-ブラックロックなど上回る』
(2020年12月26日)によりますと、
昨年(2020年)は
バンガードのETFが資金流入においてブラックロック(i シェアーズ)を上回ったのだそう。
コロナ渦を経て、
かつては「ブラックロック」「ステートストリート」「バンガード」3社の寡占と言われた市場が、徐々に「ブラックロック」「バンガード」という2社の寡占に移行しつつあることが分かります。
バンガードが米国ETFのシェア「1位」になるのは時間の問題と考えます。
その理由は、以前こちらの記事でご紹介した通り、
ブラックロック、ステートストリートと異なり、
バンガードはETFの運用会社であると同時に、
ETFをツールとして
幅広い顧客に資産管理のメンテナンスサービスを提供する、
巨大なアドバイザリー会社でもあるためです。
参照記事)
バンガードの『Vanguard Personal Advisor Services』ってなに?
つまり、
資産管理のメンテナンス業を通じて、
(自然と)より多くの「自社ETF」を提供できる体制になっているのです。
最後に、
米国上場ETFに限らず、
日本のインデックスファンド業界においても、
コスト競争の結果、大手のシェアが膨らんでしまうのはインデックス商品としての『宿命』とも云えます。
しかし、中長期で見れば、
大手の寡占が進むことで製品(プロダクト)の『革新性』が損なわれる危険性があることを私たちは肝に銘じておくべきでしょう。
カテゴリ:インデックス投資全般