投資家の感情リスク

コロナバブルでもう売ってしまいたいと思ってしまうあなたへ

2021年3月24日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

わたしにとっての『現場』は
運用相談の中での瞬間、瞬間です。

相談者さまの何気ない吐露のひとつが
今のマーケット状況を具現していることがあります。

『どうすればいいか分からない・・』と悩まれるのはある意味当然でしょう。


たった1年のうちで、
30%以上も市場平均が下がり、
そこから40%以上も上がるマーケットを、
少なくともわたしは今まで見たことがありません。

マニア向けの「ローラーコースター」に乗っているようなものです。






しかもその原因が、
経済停滞でも金融不安の再熱でも紛争でもなく、
世界的な『感染症流行』によるものなのです。

ヒトは他者との接触を避け、外に出ずに、
普段よりずっとお金を使わなくなっているので、
『政府』が代わりにお金を使うしかありません。

(経済とは、壮大な自転車操業ですから!)


コロナが中期的にどの程度経済に影響を及ぼすのか、
その大きさが計り切れないために、
財政面でも金融面でも、

「お金のポンプ」を緩め足りないよりは、
十分緩めておくほうがよいだろうということで、

四方八方から、
潤沢なお金の供給を進めている状況です。



ですので、
世の中的に見た『景気の悪さ』と
金融市場の『不思議な好調』という相反が発生しているわけです。

 

もしかすると、
「世の中の景気はいうほど悪くないよ」と感じる人もいるかもしれません。

経済の物差しでいえば
今年後半にはアメリカでは、
劇的な回復を予想する声が増しています。

それはそれで悪いことではありませんが、
経済成長(GDP)に占める
『政府のお金の割合』が半端なく膨らんでいるのを見過ごしがちなのでは?


そのような状況下で、

症状その1)

今年に入って
『いったんファンドを売却したほうが良いのでは』
『含み益の分だけも売ってしまったほうが良いのでは』

というお悩みを吐露される相談者さまが増えています。

 


お気持ちはよーく分かります。

頭の片方では
大きく調整するリスクを感じながら、
もう片方でコツコツつみたて投資を続けることって、相当にストレスです。

 



 

分不相応に?増えた『利益の数字』を見てみます。
すると思わず首を傾げたくなります。

今の金融市場の上昇が『不自然に』思えて仕方なく、
気持ちがそわそわし始め、
いったんリセットしたくなる(=売りたくなる)と、

あるお客様が言われていました。


また、3月に入って
石ころにつまずくように
市場が調整しかけたりすると、

ヒトはまた
早くしないと、もっと下がってしまい、せっかくの利益が萎んでしまうのでは・・』と焦るわけです。


この3週間ほどは、
下がって、また戻して、また下げてを繰り返していますが、

なんともいえない方向感のなさ、
不自然さがマーケットの内外に漂っています。

 

実際、投資信託を売ってしまえば、気持ちはラクになるかもしれませんが、そのあとがタイヘンではないでしょうか?

 

売却して利益を確保できたとホッとしても、
手元に戻ってきた『そのお金』の使い道がなく、
けっきょくまたファンドを積み立てることに・・?

 

「いや、カンさん。次の暴落が来たとき用にお金は待機させておきます。」


なるほど・・。

でも万一、次の暴落が『6年と10か月後』だったら・・
あるいは暴落が来なかったとしたら・・

難しいです。

手元にお金を置いておくだけではせっかくの『収益の機会』を逃すことになってしまいますし。

話題は変わりますよ。

わたしは先ほど、

分不相応に?増えた『利益の数字』を見てみます。
すると思わず首を傾げたくなる自分が・・。

今の金融市場の上昇が『不自然に』思えて仕方なく、
気持ちがそわそわし始め、
いったんリセットしたくなる(=売りたくなる)


と述べました。

 


行き過ぎた低迷相場の中では、
上記と真逆の『不自然さ』をあなたは経験するかもしれません。

分不相応に?増えた『含み損の数字』を見てみます。
すると思わず首を傾げたくなる自分が・・。

今の金融市場の下落が『不自然に』思えて仕方なく、
気持ちがそわそわし始め、
いったんリセットしたくなる(=売りたくなる)


はぁー、




金融市場とはそもそも、
『不自然な』動きをするところなのです。

竹で割ったようにスッキリ明快に、
合理性を持って、
いつも上がったり下がったりしてくれるわけではないのです。

このような不自然さ、
いや『不条理』そのものと、
嫌々ながら付き合い続けることが、すなわち長期投資なのです。



インデックスファンドをひたすら積み立てるシンプル投資は、しばしば「放ったらかし」と揶揄されますが、このような「不条理」と付き合い続ける耐力への報酬として、プラスのリターンは存在するのではないでしょうか?

つみたて投資もなかなかにタイヘンなのです。

続く)

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