指数のお話

新興国指数(中国) VS. 先進国指数(アメリカ)

2021年1月14日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

MSCIエマージングマーケット指数は
「新興国の株価指数」です。

一例ですが、
「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」は、同指数との連動を目指します。

意外に思われるかもしれませんが、
新興国指数の2020年の成績は、
先進国の指数(MSCI World)を上回っています。

「1Yr」のところ。↓



画像元:MSCI


ただ、海外の株式に広く投資を行う際は、
まず『先進国の指数』との連動を目指すインデックスファンド(正確には除く日本)が候補に挙がります。

それは新興国の株式に比べ、
マーケットの規模が圧倒的に大きく、
流動性に富んでいるため。

だけでなく、

過去10年のスパンで見た場合、
先進国(MSCI World)が新興国の指数を大きく上回るパフォーマンスとなっているためです。

右端「10Yr」のところ。




画像元:MSCI

なるほど・・。


こういう事実を目にすると、
「もう、新興国株式は要らなくね?」という気持ちになるのも無理はありません。

が、しかしです。

「もうこれ要らなくね?」という感覚が宿ってきた頃に、実は投資妙味が増すということは往々にしてあります。



エマージングマーケット指数でカギを握るのは「変化力」です。
これまで「先進国」の中でも(もちろん)栄枯盛衰はありました。

が、新興国(エマージングマーケット)の構成国の変わりよう、そして組み入れ株式の変容の度合いはよりドラスティックなのです。

1988年に『エマージングマーケット指数』が設定された当初、構成国はたった10ヵ国。

 



画像元:ピクテ 


2020年末時点で、
エマージングマーケット指数の構成国は27ヵ国になっています(11月にクウェートが加わった。)

国別組み入れ割合では
中国が39%を占めます。


画像元:MSCI


「株価指数を標榜しながら、
一ヵ国の組み入れ比率が大きくなりすぎていないか。」


と感じられるかもしれません。

が、先進国の指数(MSCI World)では
アメリカ一ヵ国の比率が「66%」にもなっています。

それで文句を言う人はいませんね。


20年のタームで振り返っても
新興国指数の中で中国株式の伸び方は圧倒的です。

MSCIという指数算出会社の枠組みでは
中国A株の組み入れも始まっており、その傾向に拍車がかかっています。

 


短期的に見ても、
新型コロナウイルスの災禍からいち早く回復した中国は、
今年8%以上の経済成長を見込んでいます。

他の国々もコロナからの回復の足掛かりとして
中国の需要を当て込んでいるふしがあります。

 

まさに、新興国の株価指数は「中国」を中心に回っていくと言っても過言ではありません。


いっぽう先進国の指数は?
「アメリカ」ですね。


実は
軍事、外交を含めた国の経済力として、
中国がアメリカの背中をすでに捉えているという意見もあります。

ことAI技術に関しては、
データ量こそが「資源」と考えると、中国の優位性は覆りそうにありません。
(良い・悪いは別として)

 


インデックス投資の世界は「無色」かつ「冷徹」なので、

 

株式市場の規模(時価総額)が大きくなれば、
自然に組み入れ比率が伸びていくわけです。


今、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の、新興国株式の比率は「13.1%」です。わたしはこの割合が逓増していくと考えます。

エマージングマーケット指数の中でも、
たとえば韓国、台湾がいずれ「先進国指数」に鞍替えになると考えれば、

エマージング指数の下の『フロンティア指数』から、
ベトナム、モロッコ、ルーマニア、ケニアなどが格上げされる可能性があります。


「全世界株式」というカンバスに
新興国指数(主に中国)と先進国指数(主にアメリカ)という色を塗る場合、
今後は新興国指数が(先進国とは)違った値動きをしてくる可能性があるでしょう。

 

投資信託クリニック

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