経済よもやま話

「上り」があれば「下り」もある。それは市場も人も国も同じ。

2020年12月22日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

わたしはFPとして仕事をしていますが、
これまで一度もお客様に向けて
『キャッシュフロー表』を作成したことがありません。

わたしがキャッシュフロー表を作らない理由は、

あなたの年収が毎年2%ずつ伸びるとか、
インフレ率が年1.5%で推移するとか、
家計の支出が毎年2%ずつ増えていくとか、

そういう
現在分かっている状況が、
単純明快に【未来の状況】に繋がるとは思えないためです。


現在の状況と
未来の状況の差を
世の中では【変化】と呼びますが、

これほど【変化】の方向性、大きさが読みにくい時代は久方ぶりなのではないでしょうか?

時代のタームでいえば、
1868年の明治維新、
1945年の終戦に続く、時代の大きな節目なのかもしれません。

 

しかもその【変化】はすでに始まっており、
この先何十年もかけて私たちに変貌を強いるものになりそうです。

外的な変化は・・?

明白でしょう。
社会のデジタル化です。

アナログでリアルな事象も
限りなくデータとしてやり取りされ、
蓄積されるようになります。

このデータ(情報)を最大の資産として、
あらゆるビジネスで争奪戦が繰り広げられるのです。


内的な変化は?

日本という国でいえば人口オーナス、人口減少です。

それぞれの国には人口動態上で見た
人口ボーナス期』というものがあります。

人口ボーナスとは
子供と高齢者の割合が減り、
働く世代(生産年齢人口)の割合が高くなった状態。

人口ボーナス期には、
豊富な労働力によって経済活動が活発になり、
資本が蓄積されやすくなります。


日本の人口ボーナス期は
1965年頃から2000年頃であったとされます。
(そのピークがちょうど1990年頃・・)

日本に限らず、
高度経済成長が起こるのは
基本的に人口ボーナス期であり、
これはひとつの国で原則1度しか経験できません。

 




人口ボーナスの反対が『人口オーナス』。

日本もすでに人口オーナス期に入っており、
労働生産人口の割合が減少、
社会の高齢化によるコスト増が
経済成長を圧迫する構図が明らかになりつつあります。

それに加えて『人口減少』もこれから顕著になります。

 

2012年に国立社会保障・人口問題研究所が公表した
中位予想ですら、

2020年の『人口』を100%とすると、

2030年は94%、
2040年は86%
2050年は78% というように減少を続けます。

(人口減少でいえば、韓国、ロシアなどは、日本よりさらにいびつな未来が待っているのです)



一国の【経済力】とは、
一人当たりの生産性×人口 ですから、
パイとしての名目GDPが逓減していくことは避けられません。

 

国から適度な距離を置き、
自分という眼鏡で世の中を見、
自分自身で判断していったほうがいい。


わたしは年を重ねるごとにそう感じます。

若い人は特に、
いちばん遠くの未来が見えているはずですから、
この思いが強いのではないでしょうか?

 

このような時代において、

「大きな箱」の中の
なるだけ「多数派」の、
「集団」の中に居続けようという考えは果たして賢明なのでしょうか?

 



大きな衣をまとわず、
たくさんのモノを持たず、
できるだけ、動きやすい格好と心構えを用意し、

いつでも『動ける』ようにしておく・・。

市場にも、一介の人間にも、そして国にも、
「上り」もあれば「下り」もあるのが自明の理。

 

時代の「ボラティリティ」に合わせて、
自分の「生活設計」を施し直す。

そこでは自ら『変化』することが、
長期的な『安定』を買う行為になるのです。


「人生時間」と照らし合わせると、

・思ってもみない仕事に変わったよ。
・思ってもみない場所に住むことになったよ。
・思ってもみない人と付き合うようになったよ。
・思ってもみない感慨に今、浸っているよ。

というような
思ってもみない】が、

この先あなた自身に
何度か訪れるだろうとわたしは予想します。


先ほど、
「国から適度な距離を置き」と言いましたが、

あなた自身が
日本とカナダと台湾に三等分で存在することは出来ません。

しかし、あなたのお金なら、
世界の20数か国の国に、
それぞれの通貨建てで長く待機させておくことが可能です。

どんな時代でも
お金は柔軟性に富んだあなたの「お守り」になるのです。

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