2021年は『潰れるリスク』を頭の隅に置いておきましょう
2020年12月3日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
普段、私たちは『潰れるリスク』をあまり想起しません。
ところが『潰れるリスク(倒産リスク)』とは、
それ自体が忘れ去られたときに、
突如顕在化してくるものです。
新型コロナウイルスによる
経済への打撃、また人に対する打撃は、
来年(2021年)より表面化してくるのではないでしょうか?
今後、貸し倒れの件数が増えてくると、
銀行(特に地方の銀行)にとっては不良債権が増すことになります。
以前、水瀬ケンイチさんが
【日本初ペイオフの日本振興銀、払い戻しは4年かかって一律58%のみ】という記事を書かれていました。
銀行の『倒産リスク』が目に見える形で出現し、
その結果どうなったのかを押さえておくことは、たいへん意義深いと考えます。
(1000万円を超える部分については)
預金者は42%の損失を被ったこととなります。
また、個別の株式を保有する人は、
株主責任として企業の『倒産リスク』を背負っています。
(これはとても分かりやすい『潰れるリスク』でしょう)
あるいは、生命保険でもかつて
『倒産リスク』が顕在化したことがありました。
1990年代末から2001 年にかけて、
東邦生命、第百生命、大正生命、
千代田生命、協栄生命など、
多くの生命保険会社が破たんしました。
協栄生命で
個人年金保険に入っていた弊所のお客様は、
年金額の4割程度が削られることとなりました。
『早期解約控除』が設定されたこと・・。
保険会社が破たんした場合、すぐにでも解約して
資金を引き上げたいと思いますが、
お客様が保有していた「個人年金保険」では、
破たん後、一定期間内に解約すると
解約返戻金が(余計に)削減されてしまうという非情さでした。
会社が発行する債券(社債)のリスクも思い出されます。
2001年当時、
「マイカル債」を保有していた当クリニックのお客様がおられました。
マイカルは
2001年に民事再生法を申請、
その後、個人の債権者に対しては
額面の30%を上限に弁済が行われることとなりました。
(つまりは?「7割の損失」です)
そして大事な「ファンド」です。
ココ、よーくお聞きくださいね。
ファンドには、
信託という機能を備えたファンドと、
そうでないファンドがあります。
私たちは「投資信託」と呼びます。
(ETFも信託機能を備えています)
信託という機能を備えていない
俗称としての「ファンド」には実にいろいろあります。
その一つが匿名組合契約による、
自称『ファンド』です。
ホテルファンド、映画ファンド、
エネルギーファンド、ワインファンドなど、
さまざまな匿名組合契約による『ファンド』があります。
匿名組合契約による『ファンド』を買う投資家は、
身分としては『匿名組合員』となります。
組合員は【営業者】に対して
お金を出資するわけですが、
これは、
【営業者】に対して有する
利益分配請求権や出資返還請求権であり、「債権」の一種に過ぎません。
画像元:やまばた税理士事務所
万一【営業者】自身が破たんした場合、
預けていたお金が返ってこないリスクが存在するのです。
つまり、
匿名組合契約においては、
貸付債権の『保全措置』あるいは『分離措置』が、
適切になされているかどうかを必ずチェックする必要があります。
逡巡してみますと、
お金を増やそうとする中で
数多の金融商品を取捨選択している私たちですが、
ほんとうにシンプルな消去法を用いると、
毎日毎日「価格形成機能」があり、
毎日自由に「売り買い」ができ、
『潰れるリスク』を隔離できるという点で、
投資信託ほど革新性に富んだ金融商品はないと改めて思うのです。
カテゴリ:金融機関にモノ申す