投資の発想法

まとまった米ドルがあるので、バンガード社のインデックス商品を買い付けるってどうでしょうか?【あなたの疑問に答えます!】

2020年11月5日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

当クリニックのお客様から頂戴した
さまざまな『質問』にお答えしていく、

その名もズバリ、
あなたの疑問に答えます!




第7回!
立花さま(仮名)東京都


だいぶ前に買った米ドルを、
為替のタイミングもあり今も保有しています。

まとまった米ドルがある場合、
たとえばバンガード社のバランスファンド等のインデックス商品を直接買い付けるというのはアリですか?

(カンさんのコンサルを受けて、普段は円建てで、楽天バンガードのバランスファンドへ一定金額積立てを行っています)

 

答え)

米ドルがあるので、
米ドル建ての商品を買うという発想は要注意です!



立花さん、ご質問ありがとうございます。

お気持ちよーく分かります・・。

実は多くの相談者さまから、

外貨預金を解約した結果、
あるいは駐在していた米国での給与が積み上がった結果、

けっこうな額の「米ドル」があるので、
米ドル建ての商品を買うのはいかがでしょうか?という『質問』をいただきます。

 



まず、立花さん。

残念ながら、
バンガードのインデックスファンドは日本国内から直接購入できません。

バンガードで口座を開設しないと買えないのです。
そして米国のバンガード口座は米国の居住者でないと基本開くことが出来ません。


これって、
日本で設定されたインデックスファンドが基本、
日本の居住者にしか購入できないのと同じ・・。

(ただし、バンガードのETFは米国の株式市場に上場するため、
私たちは日本に居ながらドル建てで購入することができます。)


ところで、
「米ドル」で持っているので → 「米ドル建ての商品」を買う。
これって正しい思考法なのでしょうか?

 

「豪ドル」を持っているので、
豪ドル建ての世界開発銀行の「債券」を買う?

んー、ちょと変ですよね。

 



 

決済通貨』というものは、所詮『決済通貨』に過ぎません。

わたしはよくルイヴィトンの鞄を例に挙げます。






各国の空港の免税店でルイヴィトンの鞄を買うとき、
決済通貨』は基本、その国の通貨となるはず。



イギリス・ヒースロー空港



ポンド建て)


アメリカ・ジョン・F・ケネディ空港



米ドル建て)


フィンランド・ヘルシンキ・ヴァンター空港


ユーロ建て)

ニュージーランド・オークランド空港


ニュージーランドドル)


中国・北京首都国際空港


人民元)


日本・羽田空港


日本円建て)


でも・・売っているのは、
同じ「ルイヴィトンの鞄」です(^^)


つまり、
「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」は、
日本で購入するので「円建て」で買い、

アメリカの全世界株式インデックスファンド
Vanguard Total World Stock Index Fund」を購入する際は
アメリカで購入するので「ドル建て」で買っているだけ。

※中身は同じであるにもかかわらず・・。


もしわたしがオーストラリア人だったとしたら、
オーストラリアにも
たくさんの投資信託がありますが、

かの地では「オーストラリアドル」を出して、
たとえば「アメリカ株式ファンド」を買ったりするわけです。


ココ、伝わっていますか?)


たまたま持っている通貨が「米ドル」なので、
「じゃあ米国のETFを買おう」というのは要注意だと思います。

立花さんが「米国上場のETF」に興味があって、
かつ、「米国上場のETF」が自分に合っているから買いたい!
という『発想』ではないためです。

 



もし立花さんが冷静に、
国内で設定されているインデックスファンドと、
米国上場のETFを比較して、

―まあ、どちらも立派なインデックス投資なのですが、―

インデックスファンドのほうがよりシンプルで長く付き合えそうと思ったら、
今保有する「米ドル」をいったん「日本円」に換えて、
インデックスファンドを購入すべきでしょう。


『決済通貨』は、所詮『決済通貨』に過ぎないのです。


仮に立花さんが
「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」を購入するとします。

保有する米ドル → 日本円 → 【そこから全世界株式ファンドを購入】 → 米ドル(約55%)その他外貨建て(38%)円建て(7%)の株式を保有されることになります。←結局「通貨」も国際分散されるのです。


立花さんにとって常に重要なのは、

・どんな運用方針に基づき、
・どのような金融商品を購入するか? です。


くれぐれも、
保有する「通貨」を主人公にして
「金融商品」を選択してしまわないようにしましょう。

立花さん、このたびはご質問ありがとうございました!

カテゴリ:投資の発想法

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