定年が見えてきた。安全資産:リスク資産はどんなふうに変えていくべきですか?【あなたの疑問に答えます!】
2020年11月2日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
当クリニックのお客様から頂戴した
さまざまな『質問』にお答えしていくウィーク続きます(^^)
その名もズバリ、
『あなたの疑問に答えます!』
第5回!
古手川さま(仮名) 中国(仕事で赴任中)
今後、定年・退職期を迎えるにあたり、
現金と投資信託資産のバランスを、
どのように維持・変化させていくと良いでしょうか?
(現在55歳です。
現時点での資産構成は現金25%、投資信託75%の比率です。
投資信託は全てインデックス型で毎月定額積立てしており、
グローバル株式80%、グローバル債券20%です。)
古手川さん、
ちょうどよい時期にご質問をいただいたと思います。
これから10年をかけて、
規則的かつ断続的に『安全資産』を増やしましょう。
仮に古手川さんの完全リタイアを65歳とします。
仕事を辞め、仕事からの定期収入がなくなる時期が
半ば確定しているのなら、
その『地点』に向けて、
現役時代とは異なる資産運用の骨太方針、
すなわち、
安全資産(現預金)とリスク資産(投資信託)の「割合」を再設定する必要があると思われます。
ざっくりと、シンプルに申し上げますと、
〇 リタイア後の安全資産:リスク資産
ふたつの型(かた)を持たれるべきなのです。
古手川さんが完全リタイアされる前後で、
株式市場が暴落しないとは限りません。
そのとき
「嗚呼、こんなに多くのリスクを取るべきではなかった!」と悔恨されるよりは、
リタイア時に向け、
計画的に『リスクの総量』を減らしておいたほうが賢明ではないでしょうか。
わたしも古手川さんも、
また数多の運用者も、
別に『資産運用リターン選手権』において、
もっとも高いプラスの数字を競い合っているわけではありません。
個人の資産運用とは何でしょう?
きわめて「個人的な作業」ではないでしょうか。
古手川さんの個人的なニーズはリタイア後、
経済的に「余裕のある」生活を実現することでは?
あくまで古手川さんの人生スケジュールに合わせて、←ココ、重要。
『リスク資産の割合』を抑えていく・・。
これこそ、リタイア時に向けた基本的な資産管理の考え方なのです。
すなわち、古手川さんには
65歳の「地点」に向け、
安全資産(現預金):リスク資産(投資信託)= 50:50 の「割合」にシフトされることをお勧めします。
毎年毎年、向こう10年、株式市場のアップダウンに関わらず、一定割合ずつリスク資産を減らしていきましょう。
・・ちょっと保守的に聞こえますでしょうか?)
しかし古手川さん、
たとえ同じ『マイナス25%!』でも、
現役時代とリタイア後では、その感じ方は大きく違ってきますよ。
仮に、ですが、
65歳時点トータル資産6000万円で、
安全資産 3000万円、
リスク資産 3000万円とします。(50:50です)
リスク資産の中身(資産配分)は変える必要はありません。
今のポートフォリオの中身、
グローバル株式80%、グローバル債券20%における
最大損失幅を「40~45%程度」とすると、
そのリスク資産を、
「半分」だけ保有される古手川さんですから、
トータル資産から見れば、
最大の損失幅は「20~22.5%」程度となります。
この、最大損失幅「20~22.5%」程度が、
古手川さんの許容範囲かどうか、ということです。
もしNOであれば、
安全資産の割合をもっと上げてあげましょう。
そもそも、自身の都合に合わせて、
「リスク量」を変更できるのが個人の資産運用の利点ですね。
さて、現状は「安全資産25% リスク資産75%」ですから、
これから10年をかけて、
毎年『2.5%ずつ』
安全資産を断続的に増やしていくことになります。
といっても、
リスク資産をどんどん売却していく、
ということではありません。
(税金もけっこう取られますし・・)
毎月、より多くのお金が「安全資産」に残れば、
ストックベースでも安全資産の割合が増していくはずです。
リスク資産への『つみたて』をゼロにしても、
なかなか安全資産の割合が増えない状況なら、
計画的かつ断続的に、投資信託を解約していきましょう。
ネット証券の「定期売却サービス」を利用しても構いません。
最後に、リタイア後は
安全資産:リスク資産 = 50:50 をずっと維持してまいります。
そう、古手川さんの『長生きするリスク』に応じるためにです。
(このたびはご質問ありがとうございました!)
カテゴリ:ポートフォリオ運用