投資家の感情リスク

「損」して「得」取れ!(まだ投資に触れていないあなたへ)

2020年10月2日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

今年は計4回
マネックス証券オンラインセミナー」に登壇しているのですが、
先月はテーマを『つみたてNISA』に絞ってお話ししました。

すると意外な発見があったのです。

すでにつみたてNISAを実践している人も
相当数おられたのですが、

終盤、数々の「質問」を拝見する中で、

明らかに
まだ投資に触れていない、
『ピュアなビギナー』の方の息遣いが伝わってきました。


たとえばこんな主旨のご質問がありました。



ここでは仮に
質問の主を 山田さん(仮名)としましょう。

 

つみたてNISAをやりたいが、
お金が減るのは耐えられないです。
貯金しかやったことがないので怖いです。


これは・・

質問というより
お気持ちの「吐露」に近いですね。

 

 

 

 

ちょっと投資に怯える人(でも投資に興味があり)に出会うことが、わたしの場合、現実にはなかなかありません。


そういった意味でも先月のセミナーは
やらせていただいて本当に良かったと感じています。

 

逆説的に云えば、
『つみたてNISA』という制度が、

未投資家の人にとって
投資につながる最初の最初の「扉」になっているということではないでしょうか。




もう一度、山田さん(仮名)の質問に戻りましょう。

 

つみたてNISAをやりたいが、
お金が減るのは耐えられないです。
貯金しかやったことがないので怖いです。



ハイ、怖いのは当然だと思います。
「まるで知らない世界」=投資 ですから。



また、お金が減るのは耐えられないというのも当然でしょう。
これまで「お金を預ける」= 元本保証 が当たり前、

かつ唯一の道だったわけですから・・。

 

人は、
これまで見たこともない
「新たなフィールド」に足を踏み入れることを躊躇します。



でも、興味がないわけではないわけです。

 

 

 


「変わりたい」けれど、
でも「変わりたくない」?

アンビバレントな気持ちですね。



私たちはいつの時代も、
「変わりたい」と「変わりたくない」の間で、無意識の綱引きを行っています。


山田さんが「変わりたい」の意思表示をしているのは、
「つみたてNISAをやりたいが、」の部分でしょう。

いっぽう、
貯金しかやったことがない
お金が減るのは耐えられない、の部分は、

変わりたくない」の発露?


でも、本当に山田さんが変わりたくなければ、
マネックス証券のセミナーも観ないでしょうし、
わざわざ質問もされないでしょう・・。

山田さんは
(ほんとうは)

「変わりたい。」
けれど、
なかなか「変われない。」

そういう心境でいらっしゃるのでは?




(話はいきなり変わりますが、)

 

あなたは小学生の頃、
はじめて自宅以外で泊まる経験をしませんでしたか?



親戚のところ?
お友達の家? キャンプ? 臨海学校?

 

そのときの心境は?
とっても「行きたい」けれど、
でも「行きたくない」。


そんな気持ちになりませんでしたか?


考えてみれば、

一人暮らしをする(しない)、
仕事を変わる(変わらない)も、

好きな人との出会いも別れも、
引っ越しする(しない)も、

「変化」と「現状維持」の綱引きですね。


何を隠そう、わたしはこう見えて、
「変化」に貪欲とか、そういうことは全然ありません。
現状維持、毎日同じ生活を好むタイプです。

これまでは、向こうからやってくる「大波に」
必死に対応する中で、
いつの間にか「変化」せざるを得なかったよね、という人生でした。


山田さんもあまり「変化」を大げさに捉え過ぎないことです。



変わるときはけっこう大変だと思いますが、
変わってしまったあとでは?



(少し時間はかかるかもしれませんが、)
新たな景色がいつの間にか日常になり、

それに慣れてしまっている自分を、
なにげに発見することになります。

 

〇 人の諸営では、
「変化」も、味わい深い「消費」のひとつなのです。

 


もちろん、
「変わりたくない」の気持ちが強く、
変わらずにじっと同じ場所に居ようとする人もいます。



でも、結局、
その人も「立ち位置」は知らぬ間に変わっているのです。

なぜなら、
周りの景色、人、モノ、しくみが「移り変わっている」からです。


結局のところ、山田さん。

 

 

やってみないと(自分がどう感じるかは)分かりません。
また「死ぬこと」がゴールとすれば、
やったこと(=経験したこと)しか残らないわけです。



ただし、一点。
これは注意喚起です。

つみたてNISAにおいては
どんな商品を選ばれても、
山田さんのお金は『一時的に減ります。



生鮮食料品と同じように、
投資信託の「時価」は不規則に変わるためです。

 

 



価格が上がったり下がったりする中で、
「損」も経験されるわけです。

この点、こと「お金」に関することなので、
決して無理をして投資をすることはありません。

でも、「損」を経験していない投資家は(実のところ)居ないわけで・・。

妙な言い方かもしれませんが、
「損の目」が出ないと、
「得の目」(=お金が増える)も出てこないのです。



現実的なアドバイスとなりますが、
山田さんがつみたてNISAを始めるなら、

『たわらノーロード 最適化バランス(保守型)』のような、
安定資産(債券)の割合が
80%を超えるようなローリスク型の投資信託をお勧めします。

価格のアップダウンは極めてゆるやかになります。
(しかし、)ときに損失は発生しますよ。


まずは月1,000円、10カ月間だけ
トライアル」積み立てをしてみてください。

どうしてもイヤだったら、11カ月目からは
お金を積み立てなければよいのです。

価格の上がり下がりにどうしても我慢ならなくなったら、
ファンドをすべて売ってください。

つみたてNISAの口座は別にそのまま放置しても、
管理手数料が取られるわけではありません。

(投資がイヤになったら)物事には向き不向きがありますから、縁がなかったと思って(黙って)サヨナラすればよいのです。


ただし、「やってみる前から」
あまり考え過ぎるのはよくありません。

やってみないと(自分がどう感じるかは)所詮分かりませんから。


仮に投資元本1万円で、
1000円の「損失」が発生したとしましょう。

でも、それは「損」ではなくて、
投資という「経験」を買うためにお財布から出した代金(1000円)だと思ってくださいね。

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