インデックス投資全般

インデックスファンドで超低コスト化が実現。しかし、大口投資家の手数料水準に近づいただけとも云えます

2020年9月26日


こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

コスト(手数料)を巡る攻防は、
供給者と需要者の「力関係」の発露でしょう。

個人目線で見た場合、
2013年、ニッセイアセットマネジメントが
<購入・換金手数料なし>シリーズを設定し、

SBIアセットマネジメントが
EXE-i(エグゼアイ)シリーズの運用を始めた折、

「ん?何か変わり始めるかも・・」と感じ始めました。


2015年、
「たわらノーロードシリーズ」が登場し、

当時の「運用管理費用(税抜)」で

『たわらノーロード 日経225』 0.195%、
『たわらノーロード 先進国株式』 0.225%という、
驚くべきコスト水準を実現させます。


その後は、つみたてNISAの効果もあり、
現在『たわらノーロード 先進国株式』
『eMAXIS Slim先進国株式インデックス』の運用管理費用は税込で0.10989%に、

<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは、
税込で0.1023%となっています。

まさに「超低コスト化の実現」と云ってよいでしょう。

 


が、しかし、です。

冷めた目線で振り返ると、
投資信託という商品では長らく
大口のお客さま』がメインであったわけで・・。



「1億円をポンと預ける・・」どころではありません。

大口投資家、
たとえば企業年金などの運用資金は「何百億規模」にもなるため、

その人たちは昔から
『超低コスト』の手数料体系を享受できたわけです。

(※ 運用会社のほうも、
「報酬のパーセント」は低くしても十分ペイ出来たため「よし」としてきた。)


経済評論家の山崎元さんが、

「企業年金が支払う
投資信託の運用管理費用はいくらぐらいなの?」という疑問に、
具体的に答えてくれています。

山崎元『ホンネの投資教室』
リテール投信、DB年金、DC年金の運用手数料の歴史的覚え書き

国内株式の運用を例に取ると、
リテール向けの投資信託であれば

アクティブファンドで顧客が払う
税抜きの信託報酬が年率150bp
(bp:ベイシスポイント。100bp=1%)程度で、

うち運用会社の取り分が70〜80bp程度であることが多い。


一方、この同じ運用会社が
年金基金向けに行うアクティブ運用は、

「運用会社要覧」(投資顧問業協会編)にある
料率表(詳しくは後述)ベースで、

10億円までの小口で45bp、
100億円〜200億円の間で15bp、
500億円を超える金額の運用では12bpとぐっと安い。


(※ 信託報酬とは「運用管理費用」のこと。)

スゴイですね・・。

企業年金(年金基金)って
運用委託資産が500億円規模を超えると、

国内株式の『アクティブ・ファンド』でも、
運用管理費用が 0.12%程度になるのですね。



「じゃあ、インデックスファンドでは?」

おそらく、大口投資家なら、
0.1%を切るコスト水準になるのでしょう・・。


(※ 余談ですが、
企業年金の運用になかなかETFが採用されないのは、

インデックスファンドで運用してもらったほうが
継続コストがより安くなるケースが多いからとわたしは推察します)


乾いた視点で申します。

『たわらノーロード 先進国株式』の運用管理費用
0.10989%(税込)というのは、

大口投資家の手数料に
【やっと近づいてきた・・】と云える水準なのです。



 

さて、ここからが本題。

時間を横軸に広げ、
できるだけマクロの視点を持ちたいと思います。

どうして近年、
複数の運用会社が
半ば『先行投資』のような形で、
個人向けのインデックスファンドの『超低コスト化』に踏み切ったのでしょうか?

 


これ『旅行業界』と同じなのです。

「??」

むかしは旅行業界の大半を占めたのは「団体旅行」でした。
まさにドル箱ですね。




個人旅行のニーズ、市場の規模など、
本当に「おまけ」のような存在だったのです。


そう、・・

この「団体旅行」こそ、
確定給付型の企業年金の運用資産。

「個人旅行」とは?
私たち、個人の資産運用のこと・・。



投資信託のマーケットは長らく、

キング・・ 大口投資家さま(企業年金など)
おまけ・・ 個人投資家さん だったのです。

 




しかし、変化の渦が押し寄せ始めます。

日本という国では

・就業人口が減り、
・長く同じ会社に勤める人も減り、
・おまけに「確定拠出型の」年金制度の普及で、

・従来型の企業年金(確定給付型年金)の運用規模は
今後、尻すぼみになっていかざるを得ません・・。

そもそも、会社がリスクを負って、
従業員のために利回りを確約した運用をやってくれるような時代は、終わりかけているのです。


ということは?

投資信託の運用会社から見れば、
今後の『成長マーケット』にシフトし
なんとか生き残っていかなければならないわけで・・。


成長マーケットとは?

確定拠出年金(DC)であり、
個人投資家向けの市場です。


半ば先行投資の形で始めた
インデックスファンドの超低コスト化が
ビジネスとして実を結ぶかどうかはまだ分かりません。

しかし、私たちユーザー側からすれば、
先進国株式インデックスファンドの
運用管理費用が0.1%になることが、

超低コストかどうかは、分からないという視点を持つことが重要でしょう。


「カンさん、なにホラを吹いているの!」と

 

あなたは言われるかもしれませんが、

個人向けの市場が10倍になり、
インデックスファンドの世界でも、
純資産額が5兆円、10兆円、15兆円のファンドがいくつか出てくれば、

0.02%の運用管理費用も、
ふつうの感覚になる可能性があります。

なにせ日本ではまだ
10人中、2人くらいしか投資を実践していないわけですから。


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