三菱UFJプライムバランス(8資産)(確定拠出年金)から見えてくる、DC専用ファンドの情報開示のちぐはぐさ
2020年9月18日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
突然ですがあなたは、
『三菱UFJプライムバランス(8資産)(確定拠出年金)』というバランスファンドをご存じですか?
多くの人は NO だと思います。
なぜなら当該ファンドは
「確定拠出年金(DC)専用ファンド」であるためです。
ひとつの「シリーズ」をなしており、
「安定型」
「安定成長型」
「成長型」
「8資産」の4本が存在します。
「あー、そういうの、なんかあった。」と感じた方はおそらく、企業型の確定拠出年金(企業型DC)に加入されている人では。
わたしは、
『三菱UFJプライムバランス(8資産)(確定拠出年金)』を、悪くないバランスファンドだと思っています。
資産の分散もしっかりしており、
株式に関しては国内・外国の比率もいびつではなく、運用管理費用も年0.352%と低廉です。
画像元:三菱UFJ国際投信
ところで、
『プライムバランス(8資産)』の各種情報掲載ページを見ると、
画像元:三菱UFJ国際投信
あれ?
何かが足りません。
そう、「月次の運用レポート(最新の月報)」が載っていないのです!
ココ、運用会社さんの怠慢だと思います。
(なにも三菱UFJ国際投信だけではありません。
ほとんどの運用会社では、
DC専用ファンドの情報開示において、
「運用レポート」の掲載を怠っています!)
ちょっと目を転じてみましょう。
22年3月末現在、企業型DCに加入する人は 約782万人 です。
そのうち、
投資信託を実際に買っている人が4割位しかいないとしても、
その数はおよそ313万人。
そのうち、バランスファンドを買っている人は
3割くらいしかいないと見ても、約94万人。
そのうち、
わずか2%の人が、
『三菱UFJプライムバランスシリーズ』の、
いずれかのバランスファンドを積み立てているとしても、
その数は18,800人もいます。
企業型DCの『商品ラインナップ表』を拝見してきましたが、
『三菱UFJプライムバランスシリーズ』は
もっとも頻度高く拝見したバランスファンドのひとつです。
何が言いたいのか?
現実に、自社の商品(ファンド)を買ってくれている人が相当数いるはずなのに、
(銀行や証券会社を通じて購入する投資信託では)
「最新の月報」を掲載しつつ、
確定拠出年金専用ファンドではそれをしなくてもよい。
という論法はないですよ!ということ。
DC専用ファンドでも、きちんと『月次運用レポート(月報)』を載せてください!
正直、
企業型DCを通じて投資信託と出会っている人、半信半疑でコツコツ積立をしている人って、とても「細い糸」で投資とつながっているのです。
「細い糸?」
そうです。
その人と、投資信託は
なんとか「つながっている」状態ではありますが、
そもそも自分から望んで
投資信託に興味を持ったわけではありませんし。
なんか企業型DCみたいな制度があるみたいだから、
せっかくだから「運用」というものにもトライしてみようかなと、
ぼんやり『前向き』という名の看板を見上げている状態かもしれません・・。
そういう人たちが、
分からないながらも、
時系列で、かつ定期的に、
投資信託の知りたい情報について閲覧できるのが、
何を隠そう「運用レポート(月報)」なのです。
わたしは運用レポートこそ、
投資信託における「最重要コンテンツ」と思っています。
最新の、ファンドが組み入れる各資産の割合、
最新の、ファンドが組み入れている銘柄、
ファンドの基準価格と純資産額の傾向、
その他諸情報の確認のために、
最新の月報(運用レポート)が見られるか否かは、
一介の、ファンド保有者にとって『死活問題』なのです。
さて、お話はまったく違う方向に向かいますよ。
先ほどの
『プライムバランス(8資産)』の情報掲載ページを再見すると、
画像元:三菱UFJ国際投信
あれ?
担(PDF)という項目があって、
『運用担当:インデックス運用部』と書かれてあります。
なんとここには、
『三菱UFJプライムバランス(8資産)(確定拠出年金)』の、
運用担当者に係る事項として、
当ファンドの運用に関わる
運用者(責任者)の『名前』まで掲載されているのです!
画像元:三菱UFJ国際投信
恥ずかしながら、わたくし今まで見落としていました。。
これって、
一般の投資信託、
つまり、ふつうに銀行や証券会社を通じて購入する、
たとえば、
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の情報掲載ページには、
画像元:三菱UFJ国際投信
載っていません。
なんだか「ちぐはぐ」ですね・・。
三菱UFJ国際投信さん、
逆に、『運用担当:・・』のような貴重な情報は、
DC専用ファンドに限らず、
すべての投資信託について
積極的に情報開示をお願いします!
(あっ、もちろん他の運用会社さんも、ぜひぜひお願いします!)
カテゴリ:確定拠出年金(iDeCo・企業型)